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飼主さんに捨てられた

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 飼主さんとお出掛けの日。

 マントのような赤いコートを羽織らせてくれる。凄く肌触りがいいの。いつも裸だから、くすぐったいけど凄く新鮮。何回も手で触って確かめちゃう。
 そんな私を飼主さんは楽しそうに観ている。

 首輪をつける。
 金属製の細い輪っかがいっぱいついたチェーンの首輪。冷たくて重くて、その存在を忘れることができない首輪。
 でも、飼主さんに繋がれてると思うと嬉しくて堪らなくなるの。

 今日はどこにいくんだろう?

 お出掛けは滅多にないけど、私も大好き。いつもと違う飼主さんも好き。

 SMバーは他のお客さんに色んなことされていつも泣いちゃうけど、飼主さんが最後はヨシヨシしてくれるから、やっぱり好き。



 飼主さんは私を車から下ろす。此処はどこかな?でも、飼主さんとならどこでも良い。


 狭くて暗い路地。

 普段、二本足で歩かないから転びそうでこわい。私は服は着ていたけど裸足だったから、足の裏も小さな砂粒がいっぱい食い込んで痛いの。

 じめじめした打ちっぱなしのコンクリートに囲まれた、人が一人やっと通れるかのような狭い階段を降りていくと、古びた木の扉があった。

 SMバーかな?

 私はそう思った。

 飼主さんがちらっと私を一瞥したから、私も飼主さんを見上げる。飼主さんはなぜか憂いを含んだ顔で目を細め、また私の頭を撫でた。そして扉を開けた。



 その扉の奥に入った瞬間に、つま先から頭の天辺まで硬直して、手の指がぶるぶる揺れた。
 
 飼主さんが首と繋がった鎖を引っ張ったけど、私はピクリとも動けなかった。
 だって、、だって、、

 おいで。と言って飼主さんが、また鎖を引いた。首を吊るように上に引き上げられたから、ぐえっと声がでてしまった。
 
 複数の視線を感じながら、引きずられて店の奥に移動する。
 それでも私は素直になれずに、体が強張ったまま。

 鎖は緩まり、私はその場に力尽きたように座り込んだ。
 床を見ておきたいのに、髪の毛を掴まれて上を向かされる。
 と、思い出したくもない顔がそこにあった。

 髪の毛はなくて、肉付きのいい丸い大きな顔の、、、

「久しぶりじゃないか。元気にしてたか?」

私を前に飼っていた男だった。

 や....、や.....

 男に髪の毛を掴まれたまま、私は呟くように声を絞り出した。
 そして、飼主さんを目だけでなんとか見る。

 隣に立っていた飼主さんは私の視線を無視して、持っていた鎖を店の男に渡してしまった。

「心配しなくても、ちゃあーんとまた飼ってやるから安心しな」
 男に耳元で囁かれて、私は蒼白になる。

 飼主さん、、、私のこと要らなくなっちゃったの?

 あんなに毎日、毎日、、可愛いって言ってくれたのに?


 愕然とする私に、男は命令する。
「いつまで服を着てる?人間のつもりか?さっさと脱げ」

 はっとする。そうだ、まだ私はコートを着ていた。でも、脱ぎたくない。このコートは飼主さんが私のために買ってくれたお出掛け用の大事なコートなんだ。
絶対にヤダ。

 私はコートの端も全部抱き抱えて、床に丸まった。絶対ヤダ。絶対に脱がない。

「早く脱げ!」
 ごりっと音がして、靴底で頭を床に強く押し付けられたけどそれでも私は動かなかった。余計にコートを持つ手を強くする。 

けれど
「脱いで」
淡々と、、でもどこか優しげなその声に、小刻みに揺れるほど強く掴んでいた拳を緩めてしまう。飼主さんの声だった。

 私が顔だけをあげると、飼主さんは私の横でしゃがんで背中を撫でた。
「服が汚れるからね」
 .....。

 私は上半身を起こした。息が苦しかった。

 飼主さんはいつものように私の頭を撫でると、私からコートを脱がした。
 脱ぎたくなかったけど、、脱いじゃダメな気がしたけど、私は素直にされるかままになって、飼主さんの言う通りにしたかった。いつもは嬉しいのに凄く凄く逃げ出したい気持ちになった。

 いつものように裸になった。
 いつもと同じなのに、、すごく不安に駆られた。

 飼主さんはコートを持ったまま立ち上がると、私を一瞥する。その顔は微笑んでるようにも見えた。 


 あ...あ...!
 
 その場から去ろうとする飼主さんを追いかけようとしたが、とっさに男が私の腹を蹴りあげた。悲鳴をあげて、お腹を抱えてしまう。

「今日からまた、俺が主人だといったろ」
店主が冷酷に口の端をあげた。

 私は口の中の苦い味を飲み込んで、首を横にふった。そんなの違う。

 私は飼主さんを探した。

 でも、暗い店内はタバコの煙がゆらゆらと蛍光灯に揺らされるのがわかるだけで、、、。人影はいくつも見えるけど、顔までははっきりとは見えなかった。

 目から自然と涙が溢れてきた。前が霞んで何も見えない。

 どうして...?  

  私、いい子じゃなかった?

 茫然自失で私が虚空を見つめていると、鎖を引っ張られ私は悲鳴をあげて床に転がった。間髪入れず逆方向に鎖を引かれ、無理やり引き起こされる。
わたしの髪の毛を鷲掴みにし
「何をしてる?今日から俺が主人だとわからんのか?豚が」
と、店主の男がそう言ったとたん、鋭い痛みが私のお尻に走った。
「や...」
 ばちん。声を出した途端、激しい痛みが太ももに刺さるように貫く。皮膚が裂けそうに痛い。

 店主は長くて細い棒を持っていた。

 じんじんと熱くて痛くて。
「...や、、ぎゃ、、ひ、、やっ。。。!

 また打たれた。今度は3回。4回。5回。6回。7回。8回。打たれるたびに痛くなって我慢できなくなって、体が勝手に暴れようとしてしまう。

「や...」 
 それでも声を出そうとすると、髪の毛を上に引っ張られて無理やり立たされ、そのまま前方にぶん投げられた。
 私は人形のように飛んでいき、何かにぶつかって床に体を打ちつけた。
 頭も体も痛くてすぐに顔を上げられない。でも、誰かが私の鎖を持ったのを感じた。

 飼主さんかな?
 私は、どきっとしてその瞬間は痛みも忘れて見上げたけど、、

「へー、これが噂の子かあ」
「子っていうほどのもんじゃないよ。ただの玩具さ。なあ、親父さんそうだろ?」
 
 知らない男たちが私を蔑むように見ていた。この店の客たち。

 私はすぐに視線を逸らしたけど、あっという間に知らないと男たちに囲まれたのがわかった。

 何人いるかわからない。いっぱいいる。飼主さんを探そうにも、、どこにも見えなかった。
   
「何してもいいの?」
「金払ってるんだからいいだろう?」
 
「や、や、や、や.....!」

 やだ。やめて。触らないで。恐い。痛い。飼主さんどこいったの?

 でも、私の声など誰も聞こうとしてなかった。
  
 

 客たちはを鎖を交代しながら持ち、自分の元に私を引き寄せた。
 私の髪の毛を掴んみる人、私の頬を叩いてみる人、尻を叩く人、私の体を触る人、私の体の中を触ろうとする人。
 客たちは、店主が私にするよりはずっとずっと優しかった。
 けど、

「い、、やっ!!ひい、ぎゃー!!!あ゛ーーー!!!」

 私がちょっとでも嫌がる素振りを見せると、しなる棒が背後から容赦なく打ちつけられる。

 痣だらけになっていくうちに、客たちも段々、私への扱いが乱暴になった。
 
 でも、私は痛くて、、棒が怖くて、、素直に従うのに必死になった。それでも、何回も何回も打たれた。
 

  散々、打たれて身体中が腫れ上がって動くのも辛くなった頃、
店主の男がわたしの視線のちょうど先の床にどかりと座って口を開く。
「お前の飼主はだれだ?」

......。

 どきんと心臓が強くなったのがわかった。辺りを見回してもきっと飼主さんはいない。。
 それどころか、飼主さんを探す素振りを見せれば、またいっぱい打たれてしまうかもしれない。

 私はぎゅうと下唇を強く噛んで、四つん這いで、店主の元に行った。
 そうするしか私には思いつかなかった。

 店主は足元まで来た私の顎を掴んで乱暴に上を向かせる。
「ちゃんとみんなの前で忠誠を誓え。覚えてるだろ?」

 チュウセイ....。

 忘れていた過去が走馬灯のように走って、私の頭が熱くなった。心臓の鼓動が激しくなって、浅い呼吸を口からしないと息ができなくなる。

「早く」

 太ももを細い棒がピタピタと叩く。ほんの軽くしか打ってないのに、私にはそれだけで十分すぎるほどの恐怖だった。

 私は手を伸ばし、店主の股間からすでに硬くなったそれを取り出した。赤黒くて大きくて、身震いする程、気持ち悪いと思った。

 私のそんな気持ちを見透かしたのか、頬に店主の手が飛んできて、頬を叩かれ、横にそのまま倒れ込んだ。
 痛かったのかもよくわからない。けれど我慢してた糸が切れたように、涙が溢れて床にぽたぽたとシミを作った。
 私はそれでも反射的に起きあがると、その気持ち悪いものに唇をつけた。溢れてきた透明な汁を舌の腹で舐めて、ちらりと店主の顔を見る。
 欲しいのか?と問われ、私は頷いた。それ以外にどうしたらいいのかわからない。   

 ぎゃあ!

 私は悲鳴をあげて、床にまた転がった。店主がまた棒で尻を打ったのだ。既に腫れて皮も破けて血を滲み、触れるだけでも痛いのに。。。
 
「欲しいか?」
また聞かれて、私はうなずく。今度ははっきりわかるように、首を縦に振る。

 びゅっと空気を切る音がして、
 私の絶叫が店内に幾度となく木霊した。

 痛い。痛い。痛い。。。体のどこもかしこも、、全て痛かった。

 
「ほし、、ほし、、い、、」

 私は号泣しながら、店主の肉棒にしゃぶりついて懇願した。欲しかった。痛みから逃れたかった。このグロテスクなものが堪らなく欲しかった。 
 涙とよだれで顔がベトベトになりながら、私は心の底から懇願した。

 店主は鼻で笑って、顎で許可した。

 私は店主の男に背を向けると、そそり立ったものを自ら自分の尻にいれた。店主の足の間に座るように、体重をかけるとずぶりと、すんなり入って。
 久々の感触に腸が蠢く。。。
    
 この状況でも私は飼主さんのことを考えていた。何かが変わるとは思えなかったけど、考えていたら少しは、、気持ちが楽になった、、、の。

 あ......う...ん、、

 それなのに自然と喘いだような声が出てしまう。体の奥から脳天まで痺れるような感覚が走るのだ。
私は指示されずとも、次にどうすればいいかわかっていた。

 膝を立て、自ら腰を揺らす。回す。はあはあと息を吐きながら、それだけに集中する。

「もっと足を開け。見えないだろ!もっと!」
言われるがまま、膝を開いて秘部を晒す。客たちがみんな見てる。

 私はもう、何も考えてなかった。
 飼主さんのことも考えない。
 でも、頬を伝ってぽたりぽたりと顎から水滴が落ちてとまらないの。

 びくりと体が跳ねた。客の1人が私の局部に指を入れたからだ。何本入ったかな。1人じゃないかもしれない。
 また別の手が伸びてきて、私の胸を掴んだ。誰かが口の中に指を入れた。髪の毛も掴まれる。顔に何かすりつけられる。

 はあはあはあはあ......
 
 ああ.....

 私は腰を揺らして揺らして、自分の弱いところを自ら責めつづけた。


 何度も何度も無理やりに痙攣させられた。その度に、イイって大声で叫ばされた。

 だんだん、自分が何をしてるのかわからなくなって.....

 放心して、本当の人形のようにガクガクと揺れるだけになった。けど、涙だけは枯れることなく溢れ続けた。

 
____________
_________
_____
__


 何かが頭を触ってる気がして、私は目を開けた。誰かいる。また叩かれる!
私はバネのように飛び起きた。
 防御するように頭を手で抱えて丸くなった。
 けど、痛みは降ってこなかった。
 そっと振り返って、、、
 
 あ....あ...

 私が呟くと、
 その手が伸びてきて優しく頬をなぞり
「よく泣いてたなあ。おまえがあれだけ泣いているのを見るのは初めてだよ」
と笑った。

 私は声の主を凝視してした。だって、、、だって、、、

「どうした?」
何事もなかったように言ったその人に、、飼主さんに、、
私は我慢できずに飛び込んで、その胸に顔を擦り寄せた。
 止め処なく溢れる涙。

「捨てられたと思った?」
尋ねられて、私は泣きながら頷いた。
飼主さんは私の頭を優しく撫でるとそのまま首元に手を回し、繋がった鎖を上に引き上げて軽く喉を締める。
「捨てる時は首輪を外すさ。俺の首輪だからな」
と言った。

 

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