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第2章 五歳の誕生日

エスティエインの社

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その後、シルヴァとノエルにお礼のマフィンを与えつつ(結局クッキーもあげた)早速社に今日のおやつのクッキーをお供えしてみた。もう文化は違うし、神も日本の神じゃないけど、一応二礼二拍手一礼しつつ、目を閉じて祈る。エスティエイン、約束どおり神殿を作ったよ。まだ人の力を借りて作ったものだから、いつか僕が立派なものを作るからね。
しばらくそうしていて、気がつくと目の前にぼんやりした白い足が見えた。

「うふふ、レオ。久しぶりね!!!」
「わぷっ」

エスティエインに思い切り抱きしめられる。今の体格差でやられると窒息死するんだけど!!しばらくバタバタもがいていると気がついたエスティエインはすぐに手を離してくれた。

「あらあら、ごめんなさいね!あまりにも早くお願いを叶えてくれるものだから、嬉しくなってしまったわ。ありがとう、レオ。あなたの気持ちが嬉しいわ!」
「はは、それはよかった…」

やっぱこっちの世界の人は神も含めて何事にも結構ストレートだな。特に嬉しい気持ちを伝えるときは。こういうところはぜひ見習うべきだな。

「これで、レオの作った料理をお供えしてもらうこともできるし、こうやって会いに来ることもできるわ!」
「これって幻影?他の人にも見える?」
「いいえ、貴方だけよ。他の人からは貴方が熱心に祈っているようにしか見えないわ。まあ、他の加護持ちにはまた、違ったように見えるようだけど…」

ふいに、エスティエインは僕から視線を外して、中庭をぐるりと一周見渡した。

「……いいお庭ね」
「庭師さんが、頑張ってくれてるからね」

その庭師さんはなんと大工でもあるため、今は領内を駆け回って大工の仕事をしているらしい。朝早く、庭師の仕事は終わらせていくらしいんだけど、実はまだ見たことがない。
基本的に人手不足のグレンヴィル領だけど、そのぶん本当にハイスペックな人ばかりだ。人誑しだったと聞く父が連れてきたのか、母が集めたのか。皆マルチな才能を持っている。
この街は、活発でとてもやる気に溢れている。

「いい場所に転生させてくれて、ありがとうね」
「ふふ、私は選んでないわ。レオの持つ縁がそこへ導いたのよ」
「そっか…」

「そうだ、伝えておかなきゃいけないことがあったわ」
「ん、なに?」
「貴方にこれから会いにくる子がいるわ。貴方と同じ、神の加護を持つ子がね。どうかその子が訪ねてきたら、受け入れてあげてほしいの。きっと貴方のいい友人になれるわ」

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