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第一章:光属性の朝日さんの堕とし方
第32話:一世一代の大告白
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「え? ど、どういうこと……? 最高の……?」
突然現れて、意味不明なことを宣った俺に流石の朝日さんも困惑してる。
不意打ちのダイスロールに成功して、イニシアチブを取った確かな手応えを感じる。
基本性能で劣る俺がここから彼女を倒すには、とにかく奇襲を決めるしかない。
「あれは先週の金曜日……中間試験を無事に乗り越えた俺は、帰り道にエナジードリンクを買いためて足早に自宅へと帰ったんだ。目的はもちろん、その日の為に積んで積んで積みまくってきたゲームをやるために」
急に語り始めた俺に、朝日さんはますます頭の上に大量のはてなマークを浮かべる。
それでも彼女にはきっと、これが通じるはずだと続けていく。
「家について、すぐにパソコンからその中の一つを起動した。当然、全てから解放された俺にとってそれはもう楽しくて楽しくて仕方がなかった。それから丸一日間……画面の中の世界にだけ没頭した。一睡もせず……たまに、思い出したかのように出前で頼んだ食べ物をエナジードリンクで流し込む。不健康で、不健全で……でも最高の時間だった」
当時の感覚を思い出しながら、更に話を続けていく。
「それで……つまり何が言いたいかって言うと……」
呼吸を整え、心を落ち着かせてポカンとしている彼女の目をしっかり見据える。
「今年はこれから、一年を代表するような大作が何本も控えてる。だから今度は……君と一緒に、そんな体験をしたい。何の気がかりもなく……発売前は事前情報で盛り上がって、発売したら一緒に遊んで、クリアしたら感想を語り合いたい」
これは期待や応援なんて綺麗なもんじゃない。
日野さんには悪いけれど、やっぱり俺は朝日さんが必ずしも重圧に打ち勝つべきとは思わない。
だから、これは闇属性の俺からの呪いだ。
逃げたいなら、とことんまでに楽な方へと逃げたってもいい。
「それがどんな朝日さんであっても、俺の隣で心から笑ってくれるなら……それは俺にとって、きっと更に最高の体験になると思うから……」
その末にどんな選択を取ったとしても、最後は彼女が笑顔でいてくれるための。
「……うん」
長々と暑苦しく語った俺に対して、短く二文字で返す朝日さん。
涼しい夜風が火照った頭を冷やすと、自分の言葉の意味を徐々に理解する。
これって、ほとんど告白したようなものなのでは……?
「つまりは……えーっと……端的に、二人でまた遊びたいってくらいの話で……他意はない……わけではないんだけど、その……半分くらいは勢いも混ざってて――」
「私も、そうしたい」
朝日さんが震える声で俺の言葉を遮る。
「この先、自分がどうなるかは分かんないけど……。もし他のことが全部ダメになっちゃっても……影山くんと二人でゲームをしてる時だけは、心から笑って楽しみたい……それでもいいかな……? そんな私でも……いい?」
「……もちろん、今度は朝までバカゲーをやって一生分笑おう」
目に涙を貯める彼女に真正面から答えて、金網越しに手のひらを合わせる。
どちらのか、あるいは両方かは分からないが、火照った体温が交換される。
あの時は俺たちを隔絶しているかのように思えたそれは、所詮ただの金網でしかなかった。
「光ー! 何してるのー!?」
コートを挟んで向かい側から、彼女の母親らしき女性の声が響く。
朝日さんは『すぐ戻る』と応えて、もう一度俺の方に振り返る。
「練習、戻らなきゃ……それじゃ、またね」
「うん、また」
服の裾で涙を拭った彼女は、やっぱり戦うことを選んだ。
母親のところへと戻り、ラケットを握りしめた彼女は、あの日と同じ輝きを放ったように見えた。
その後、自宅に戻ってベッドで今日の自分を思い出して悶えていると、朝日さんからPINEで一通のメッセージが届いた。
『今度の土曜日に大会があるから、影山くんにも観に来て欲しい』
そこには強い決心が伝わってくるような言葉と共に、試合の場所と日時が添えられていた。
突然現れて、意味不明なことを宣った俺に流石の朝日さんも困惑してる。
不意打ちのダイスロールに成功して、イニシアチブを取った確かな手応えを感じる。
基本性能で劣る俺がここから彼女を倒すには、とにかく奇襲を決めるしかない。
「あれは先週の金曜日……中間試験を無事に乗り越えた俺は、帰り道にエナジードリンクを買いためて足早に自宅へと帰ったんだ。目的はもちろん、その日の為に積んで積んで積みまくってきたゲームをやるために」
急に語り始めた俺に、朝日さんはますます頭の上に大量のはてなマークを浮かべる。
それでも彼女にはきっと、これが通じるはずだと続けていく。
「家について、すぐにパソコンからその中の一つを起動した。当然、全てから解放された俺にとってそれはもう楽しくて楽しくて仕方がなかった。それから丸一日間……画面の中の世界にだけ没頭した。一睡もせず……たまに、思い出したかのように出前で頼んだ食べ物をエナジードリンクで流し込む。不健康で、不健全で……でも最高の時間だった」
当時の感覚を思い出しながら、更に話を続けていく。
「それで……つまり何が言いたいかって言うと……」
呼吸を整え、心を落ち着かせてポカンとしている彼女の目をしっかり見据える。
「今年はこれから、一年を代表するような大作が何本も控えてる。だから今度は……君と一緒に、そんな体験をしたい。何の気がかりもなく……発売前は事前情報で盛り上がって、発売したら一緒に遊んで、クリアしたら感想を語り合いたい」
これは期待や応援なんて綺麗なもんじゃない。
日野さんには悪いけれど、やっぱり俺は朝日さんが必ずしも重圧に打ち勝つべきとは思わない。
だから、これは闇属性の俺からの呪いだ。
逃げたいなら、とことんまでに楽な方へと逃げたってもいい。
「それがどんな朝日さんであっても、俺の隣で心から笑ってくれるなら……それは俺にとって、きっと更に最高の体験になると思うから……」
その末にどんな選択を取ったとしても、最後は彼女が笑顔でいてくれるための。
「……うん」
長々と暑苦しく語った俺に対して、短く二文字で返す朝日さん。
涼しい夜風が火照った頭を冷やすと、自分の言葉の意味を徐々に理解する。
これって、ほとんど告白したようなものなのでは……?
「つまりは……えーっと……端的に、二人でまた遊びたいってくらいの話で……他意はない……わけではないんだけど、その……半分くらいは勢いも混ざってて――」
「私も、そうしたい」
朝日さんが震える声で俺の言葉を遮る。
「この先、自分がどうなるかは分かんないけど……。もし他のことが全部ダメになっちゃっても……影山くんと二人でゲームをしてる時だけは、心から笑って楽しみたい……それでもいいかな……? そんな私でも……いい?」
「……もちろん、今度は朝までバカゲーをやって一生分笑おう」
目に涙を貯める彼女に真正面から答えて、金網越しに手のひらを合わせる。
どちらのか、あるいは両方かは分からないが、火照った体温が交換される。
あの時は俺たちを隔絶しているかのように思えたそれは、所詮ただの金網でしかなかった。
「光ー! 何してるのー!?」
コートを挟んで向かい側から、彼女の母親らしき女性の声が響く。
朝日さんは『すぐ戻る』と応えて、もう一度俺の方に振り返る。
「練習、戻らなきゃ……それじゃ、またね」
「うん、また」
服の裾で涙を拭った彼女は、やっぱり戦うことを選んだ。
母親のところへと戻り、ラケットを握りしめた彼女は、あの日と同じ輝きを放ったように見えた。
その後、自宅に戻ってベッドで今日の自分を思い出して悶えていると、朝日さんからPINEで一通のメッセージが届いた。
『今度の土曜日に大会があるから、影山くんにも観に来て欲しい』
そこには強い決心が伝わってくるような言葉と共に、試合の場所と日時が添えられていた。
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