254 / 262
第四章
[ 248 ] 総力戦4
しおりを挟む
僕がピヨとザイードの元へ向かうと、テトラが防御主体、レーヴェとアルノマールが遠距離で火炎攻撃、ハリルベルは隙を見て接近攻撃。シルフィがサポートに回っていた。
「あ? あの小僧……。ゼクトとリシトはどうした?!」
まずい、僕が接近することで気付かれてしまった。ゼクトは隠れてるもう1人の護衛班を倒しに向かってる。回復術師って話だけど、口ぶりからして相当強いのだろう。
またザイードやリシト、ゼクトがそうであるように、僕と同じようにダブル持ちの可能性が高い。
「「ヘルブランランツェ・オルト・ヴェルト!」」
レーヴェとアルノマールが無数の青白い火の槍を放つも、それを余裕で交わすザイード。でかい図体のわりに本当に動きがいい。
「さっきから回復がこねぇと思ったら、そういうことかよ」
ヘルブランランツェを華麗に避けながら、こちらの意図が読まれてしまった。
「みんな! ザイードを逃さないで!」
ザイードは風と雷のダブルだ。どっちも移動に優れた属性で、組み合わせればこっちが何人いようと逃げるのは容易だ。
「あばよ! フリューネル・オルト!」
後方へ引くザイードを、全員で追う……。いや逃げるのにフリューネル・オルト? もっと逃げるのに適した魔法があるのに、まさか罠?
気づいた時には遅かった。
「ハッハー! 死ね! ツァイト!」
「なんだと?! 体が動かん……!」
「どうなってんだ?!」
ザイードを追っていた全員の動きが固まる。いや草木や空中を舞う木の葉さえ、その場で停止している。
「うごかねぇ! まさか時間を止めてるのか?!」
「息苦しい……」
いや、それなら喋れる道理はない。おそらく風魔法の練度★7か8で、見える範囲内の空気を固めているんだ。
「あばよ! ヴァイスレーヴェ!」
横に落ちる雷! 練度★7の魔法だ。魔力が足りずフリーデルシルドは使えない。どうすれば……!ここはテトラさんに任せるしかない。
「テトラ!」
「ザントシルド・オルト・ヴェルト!」
地面から砂の盾が……出ない。風魔法と練度の差が激しすぎて、練度★1のザントシルドが固められた空気を突破できない。
「アルヒテクトゥーア」
ピンチを救ったのは船に乗って王都を目指してるはずのアウスだった。唱えたのは土魔法の練度★7。土のない場所に土を作る魔法。それがザイードの放った雷魔法を一瞬で包んで無効化してしまった。
「ち、アウスか……。厄介な奴が来たぜ」
「どうにもこっちが気になってね。私だけ船を降りて合流させてもらったよ」
「そうかよ。裏切りモンが」
「その話は君を捕まえた後でゆっくりさせてもらおう」
流石に練度の高い土魔法使いが加わったことで、ザイードの顔色が変わった。
「蒸し焼きにしてみるか。アルヒテクトゥーア」
さらに練度★7の魔法を唱えるとザイードが土に包まれた。そこへ火魔法使いの3人が追撃を加える。
「「ヘルブランランツェ・オルト・ヴェルト!」」
「ヘルブランランツェ・オルト!」
ハリルベルだけ、ヴェルトが使えないのでオルト止まりだけど、無数の火の槍がザイードを包んだ土へ突き刺さる。
「よし、王都がどうなったのか、王の不老不死の研究がどこまで進んだのか、ザイードから聞くか」
アウスが土魔法を解くと、どさりと落ちたザイードはパシャっと水になって崩れた。
「なんだと?! 水の分身魔法か!」
「いつの間に……」
どうりで……。クローネ魔法を使わないから不思議に思っていたが、まさか分身だとは……。
「あ! まずい! ゼクトのところに急ぎましょう!」
「ロイエ、それはどう言う意味だ?」
「話しは向かいながら説明します!」
ジオグランツで全員を軽くすると、シルフィ、フィーア、ピヨの風魔法でゼクトの向かった方へと飛んだ。
「あ? あの小僧……。ゼクトとリシトはどうした?!」
まずい、僕が接近することで気付かれてしまった。ゼクトは隠れてるもう1人の護衛班を倒しに向かってる。回復術師って話だけど、口ぶりからして相当強いのだろう。
またザイードやリシト、ゼクトがそうであるように、僕と同じようにダブル持ちの可能性が高い。
「「ヘルブランランツェ・オルト・ヴェルト!」」
レーヴェとアルノマールが無数の青白い火の槍を放つも、それを余裕で交わすザイード。でかい図体のわりに本当に動きがいい。
「さっきから回復がこねぇと思ったら、そういうことかよ」
ヘルブランランツェを華麗に避けながら、こちらの意図が読まれてしまった。
「みんな! ザイードを逃さないで!」
ザイードは風と雷のダブルだ。どっちも移動に優れた属性で、組み合わせればこっちが何人いようと逃げるのは容易だ。
「あばよ! フリューネル・オルト!」
後方へ引くザイードを、全員で追う……。いや逃げるのにフリューネル・オルト? もっと逃げるのに適した魔法があるのに、まさか罠?
気づいた時には遅かった。
「ハッハー! 死ね! ツァイト!」
「なんだと?! 体が動かん……!」
「どうなってんだ?!」
ザイードを追っていた全員の動きが固まる。いや草木や空中を舞う木の葉さえ、その場で停止している。
「うごかねぇ! まさか時間を止めてるのか?!」
「息苦しい……」
いや、それなら喋れる道理はない。おそらく風魔法の練度★7か8で、見える範囲内の空気を固めているんだ。
「あばよ! ヴァイスレーヴェ!」
横に落ちる雷! 練度★7の魔法だ。魔力が足りずフリーデルシルドは使えない。どうすれば……!ここはテトラさんに任せるしかない。
「テトラ!」
「ザントシルド・オルト・ヴェルト!」
地面から砂の盾が……出ない。風魔法と練度の差が激しすぎて、練度★1のザントシルドが固められた空気を突破できない。
「アルヒテクトゥーア」
ピンチを救ったのは船に乗って王都を目指してるはずのアウスだった。唱えたのは土魔法の練度★7。土のない場所に土を作る魔法。それがザイードの放った雷魔法を一瞬で包んで無効化してしまった。
「ち、アウスか……。厄介な奴が来たぜ」
「どうにもこっちが気になってね。私だけ船を降りて合流させてもらったよ」
「そうかよ。裏切りモンが」
「その話は君を捕まえた後でゆっくりさせてもらおう」
流石に練度の高い土魔法使いが加わったことで、ザイードの顔色が変わった。
「蒸し焼きにしてみるか。アルヒテクトゥーア」
さらに練度★7の魔法を唱えるとザイードが土に包まれた。そこへ火魔法使いの3人が追撃を加える。
「「ヘルブランランツェ・オルト・ヴェルト!」」
「ヘルブランランツェ・オルト!」
ハリルベルだけ、ヴェルトが使えないのでオルト止まりだけど、無数の火の槍がザイードを包んだ土へ突き刺さる。
「よし、王都がどうなったのか、王の不老不死の研究がどこまで進んだのか、ザイードから聞くか」
アウスが土魔法を解くと、どさりと落ちたザイードはパシャっと水になって崩れた。
「なんだと?! 水の分身魔法か!」
「いつの間に……」
どうりで……。クローネ魔法を使わないから不思議に思っていたが、まさか分身だとは……。
「あ! まずい! ゼクトのところに急ぎましょう!」
「ロイエ、それはどう言う意味だ?」
「話しは向かいながら説明します!」
ジオグランツで全員を軽くすると、シルフィ、フィーア、ピヨの風魔法でゼクトの向かった方へと飛んだ。
0
お気に入りに追加
416
あなたにおすすめの小説
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました
久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。
魔法が使えるようになった人類。
侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。
カクヨム公開中。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる