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第四章

[ 248 ] 総力戦4

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 僕がピヨとザイードの元へ向かうと、テトラが防御主体、レーヴェとアルノマールが遠距離で火炎攻撃、ハリルベルは隙を見て接近攻撃。シルフィがサポートに回っていた。

「あ? あの小僧……。ゼクトとリシトはどうした?!」

 まずい、僕が接近することで気付かれてしまった。ゼクトは隠れてるもう1人の護衛班を倒しに向かってる。回復術師って話だけど、口ぶりからして相当強いのだろう。

 またザイードやリシト、ゼクトがそうであるように、僕と同じようにダブル持ちの可能性が高い。

 「「ヘルブランランツェ・オルト・ヴェルト!」」

 レーヴェとアルノマールが無数の青白い火の槍を放つも、それを余裕で交わすザイード。でかい図体のわりに本当に動きがいい。

「さっきから回復がこねぇと思ったら、そういうことかよ」

 ヘルブランランツェを華麗に避けながら、こちらの意図が読まれてしまった。

「みんな! ザイードを逃さないで!」

 ザイードは風と雷のダブルだ。どっちも移動に優れた属性で、組み合わせればこっちが何人いようと逃げるのは容易だ。

「あばよ! フリューネル・オルト!」

 後方へ引くザイードを、全員で追う……。いや逃げるのにフリューネル・オルト? もっと逃げるのに適した魔法があるのに、まさか罠?

 気づいた時には遅かった。

「ハッハー! 死ね! ツァイト!」
「なんだと?! 体が動かん……!」
「どうなってんだ?!」

 ザイードを追っていた全員の動きが固まる。いや草木や空中を舞う木の葉さえ、その場で停止している。

「うごかねぇ! まさか時間を止めてるのか?!」
「息苦しい……」

 いや、それなら喋れる道理はない。おそらく風魔法の練度★7か8で、見える範囲内の空気を固めているんだ。

「あばよ! ヴァイスレーヴェ!」

 横に落ちる雷! 練度★7の魔法だ。魔力が足りずフリーデルシルドは使えない。どうすれば……!ここはテトラさんに任せるしかない。

「テトラ!」
「ザントシルド・オルト・ヴェルト!」
 
 地面から砂の盾が……出ない。風魔法と練度の差が激しすぎて、練度★1のザントシルドが固められた空気を突破できない。

「アルヒテクトゥーア」

 ピンチを救ったのは船に乗って王都を目指してるはずのアウスだった。唱えたのは土魔法の練度★7。土のない場所に土を作る魔法。それがザイードの放った雷魔法を一瞬で包んで無効化してしまった。

「ち、アウスか……。厄介な奴が来たぜ」
「どうにもこっちが気になってね。私だけ船を降りて合流させてもらったよ」
「そうかよ。裏切りモンが」
「その話は君を捕まえた後でゆっくりさせてもらおう」

 流石に練度の高い土魔法使いが加わったことで、ザイードの顔色が変わった。

「蒸し焼きにしてみるか。アルヒテクトゥーア」

 さらに練度★7の魔法を唱えるとザイードが土に包まれた。そこへ火魔法使いの3人が追撃を加える。

「「ヘルブランランツェ・オルト・ヴェルト!」」
「ヘルブランランツェ・オルト!」

 ハリルベルだけ、ヴェルトが使えないのでオルト止まりだけど、無数の火の槍がザイードを包んだ土へ突き刺さる。

「よし、王都がどうなったのか、王の不老不死の研究がどこまで進んだのか、ザイードから聞くか」

 アウスが土魔法を解くと、どさりと落ちたザイードはパシャっと水になって崩れた。

「なんだと?! 水の分身魔法か!」
「いつの間に……」

 どうりで……。クローネ魔法を使わないから不思議に思っていたが、まさか分身だとは……。

「あ! まずい! ゼクトのところに急ぎましょう!」
「ロイエ、それはどう言う意味だ?」
「話しは向かいながら説明します!」

 ジオグランツで全員を軽くすると、シルフィ、フィーア、ピヨの風魔法でゼクトの向かった方へと飛んだ。
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