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第三章
[ 137 ] ミアさんと
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「連れて行けって……その」
「言っただろ面白そうだなと」
「では、一緒に行きます?」
「ああ」
「グイーダさん、この依頼って二人で受けても良いですか?」
「もちろん構いませんが……。Sランクのミアさんが一緒なら報酬の配分はランクに応じて変動しますので、ロイエさんの取り分は最低の銅貨一枚になると思いますが……」
そうだった。ナッシュの炭鉱でリーラヴァイパーの討伐依頼をやった時も、ハリルベルやクルトさんが報酬のほとんどを持っていったな……。
「報酬はいらん。その依頼の幽霊屋敷に行ってみたいだけだ」
「え? なら別に一緒に行く必要は……」
「お前、俺が一人で辿り着けると思っているのか?」
そんな上から目線で迷子宣言しなくても……。
「俺はお前に同行するだけだ。調査と報告書の作成はお前がやるんだ。その代わり報酬は全てやる」
「わ、わかりました」
「グイーダさん、そういうことでミアさんと二人で依頼を受けます」
「いいですけど……。Sランク冒険者と一緒に依頼を受けれるなんてまたとない機会だと思うので、頑張ってくださいっ」
「はい! 色々学び取りたいと思います!」
「ふ、超巨大幽霊が出たら俺に任せろ」
そんな幽霊は出ないと思うけど……。まぁ戦闘の面で頼りになるのは折り紙つきだ。
「では、依頼者の店長さんとの顔合わせは、いつ頃いきますか?」
「そうですね……。明日の港の合否がわかってスケジュールがわかりし「今日だ」
「え……」
「依頼主とやらのところに今すぐ行くぞ。これから日が落ちるんだ。幽霊が出る時間だ」
どうしよう。ミアさん、マジで幽霊に会おうとしてる。
「日が暮れる前に準備を整えるぞ」
「グイーダさん、すみません。今日やるそうです……」
「そう……ですか。それなら依頼主である店長さんには、いまから二人で顔合わせしてきて貰って良いですか?」
「……はい」
グイーダさんから依頼に関する書類を受け取ると、依頼達成までの流れを説明して貰った。
「あのミアさん、迷子にならないでくださいね?」
「俺に言われても困る」
「じゃあ誰に言えばいいんですか!」
「ならば、この紐で結んでおくのはどうだ?」
ミアさんが出してきたのは市販の紐だ。それなりの太さがあるので、乱暴に扱っても切れることはないだろう。
「わかりました。では互いに腰のポーチに繋げましょうか」
「ああ、それで頼む」
グイーダさんに手伝って貰って、紐で僕らは結ばれた。
「それじゃあ、行きましょおえ!」
「お? 何をしている早くしろ」
グイグイとミアが紐を引っ張る。
「ちょっと! 待ってくださいよ! 順序ってものが……」
「順序などない。店長とやらのところに行くぞ」
「待ってください。店の場所知らないですよ?!」
こうして、ミアと一緒に幽霊屋敷の調査依頼を受けることになった。ミアはとにかく幽霊を見たいらしく、一人はしゃいでいる。
僕は生前、病院の当直などで夜間も一人で見回りなどしていたし、お化けは別に怖くない。なんなら見たこともある。
僕らはギルドを出ると、グイーダさんに昼間連れていって貰ったオンボロ喫茶店へと向かった。すぐそこなのに何度もミアさんに紐で引っ張られて腰がやや痛い。
「ミアさん、こっちですよ」
「早く受付を済まそう」
カランコロン
店内を見渡すと夕飯前ということもあり、客は一名のみ。空いている時間ならそれほど迷惑にならないだろう。
「いらっしゃいませ」
昼間もいた女の子店員さんだ。僕の顔を見るなりキッチンへと戻っていった。
「よぉ、こんなに早く来るとは思わなかったぜ。この街について少しは調べてきたか?」
キッチンの奥から、エプロン姿で帽子を被った店長が姿を現した。僕の脳は必死にグイーダさんに習った事を思い出そうとフル回転させた。
「言っただろ面白そうだなと」
「では、一緒に行きます?」
「ああ」
「グイーダさん、この依頼って二人で受けても良いですか?」
「もちろん構いませんが……。Sランクのミアさんが一緒なら報酬の配分はランクに応じて変動しますので、ロイエさんの取り分は最低の銅貨一枚になると思いますが……」
そうだった。ナッシュの炭鉱でリーラヴァイパーの討伐依頼をやった時も、ハリルベルやクルトさんが報酬のほとんどを持っていったな……。
「報酬はいらん。その依頼の幽霊屋敷に行ってみたいだけだ」
「え? なら別に一緒に行く必要は……」
「お前、俺が一人で辿り着けると思っているのか?」
そんな上から目線で迷子宣言しなくても……。
「俺はお前に同行するだけだ。調査と報告書の作成はお前がやるんだ。その代わり報酬は全てやる」
「わ、わかりました」
「グイーダさん、そういうことでミアさんと二人で依頼を受けます」
「いいですけど……。Sランク冒険者と一緒に依頼を受けれるなんてまたとない機会だと思うので、頑張ってくださいっ」
「はい! 色々学び取りたいと思います!」
「ふ、超巨大幽霊が出たら俺に任せろ」
そんな幽霊は出ないと思うけど……。まぁ戦闘の面で頼りになるのは折り紙つきだ。
「では、依頼者の店長さんとの顔合わせは、いつ頃いきますか?」
「そうですね……。明日の港の合否がわかってスケジュールがわかりし「今日だ」
「え……」
「依頼主とやらのところに今すぐ行くぞ。これから日が落ちるんだ。幽霊が出る時間だ」
どうしよう。ミアさん、マジで幽霊に会おうとしてる。
「日が暮れる前に準備を整えるぞ」
「グイーダさん、すみません。今日やるそうです……」
「そう……ですか。それなら依頼主である店長さんには、いまから二人で顔合わせしてきて貰って良いですか?」
「……はい」
グイーダさんから依頼に関する書類を受け取ると、依頼達成までの流れを説明して貰った。
「あのミアさん、迷子にならないでくださいね?」
「俺に言われても困る」
「じゃあ誰に言えばいいんですか!」
「ならば、この紐で結んでおくのはどうだ?」
ミアさんが出してきたのは市販の紐だ。それなりの太さがあるので、乱暴に扱っても切れることはないだろう。
「わかりました。では互いに腰のポーチに繋げましょうか」
「ああ、それで頼む」
グイーダさんに手伝って貰って、紐で僕らは結ばれた。
「それじゃあ、行きましょおえ!」
「お? 何をしている早くしろ」
グイグイとミアが紐を引っ張る。
「ちょっと! 待ってくださいよ! 順序ってものが……」
「順序などない。店長とやらのところに行くぞ」
「待ってください。店の場所知らないですよ?!」
こうして、ミアと一緒に幽霊屋敷の調査依頼を受けることになった。ミアはとにかく幽霊を見たいらしく、一人はしゃいでいる。
僕は生前、病院の当直などで夜間も一人で見回りなどしていたし、お化けは別に怖くない。なんなら見たこともある。
僕らはギルドを出ると、グイーダさんに昼間連れていって貰ったオンボロ喫茶店へと向かった。すぐそこなのに何度もミアさんに紐で引っ張られて腰がやや痛い。
「ミアさん、こっちですよ」
「早く受付を済まそう」
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店内を見渡すと夕飯前ということもあり、客は一名のみ。空いている時間ならそれほど迷惑にならないだろう。
「いらっしゃいませ」
昼間もいた女の子店員さんだ。僕の顔を見るなりキッチンへと戻っていった。
「よぉ、こんなに早く来るとは思わなかったぜ。この街について少しは調べてきたか?」
キッチンの奥から、エプロン姿で帽子を被った店長が姿を現した。僕の脳は必死にグイーダさんに習った事を思い出そうとフル回転させた。
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