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第一章 欲張り転生

no9...熱き戦い

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 私は情報の整理を終えると、地底湖を目指すため神剣カグラを握りしめ、再び先ほどの広い空間に出た。

〉お、歩き始めたぞ
〉またさっきの悪魔出ないかな
〉しっかし、あの剣捌きはすごかったよな

「ねぇカグラ。水魔法を使うモンスターを倒したら、水を出す魔法が手に入る可能性ってある?」

『あるだろうな』

 よしよし、これから向かうのは地底湖だから、モンスターが出たらカグラに倒してもらって、水魔法をGETしよう! 私はルンルン気分でエンシェントデビルと戦った場所を通過すると、左の壁に沿ってゆっくりと歩を進めた。

〉さっきのモンスターもういねぇのかなー
〉レベル的には100超えてそうだったな

「うーん。もう少し、この光魔法が明るくなるといいんだけど」

『魔法のレベルアップは 使用回数や使用時間による蓄積が基本だ』

「じゃぁこのまま使っていれば?」

『レベルは上がるはずだ』

「基本って言ってたけど、他にもあるの?」

『《神剣献上》で同じスキルを手に入れると 強制的にレベルは上がる』

「本当?! それいいね!」

 しばらく歩いていると、パッと前方が赤く光ると同時にカグラの声が響いた。

『右へ飛べ!』

 とっさに地面を蹴って右へ飛ぶと、私のいた場所に高速で火炎弾が飛んできて着弾、破裂音と共に岩壁を焦がした。

「熱っ!」

 襲撃だとすぐに分かった。私はカグラを再度握りしめると、火炎弾が飛んできた方へ視線を向ける。そこには二足歩行する大きなネズミが立っていた。すかさず《ちょっと鑑定》を発動。

〉おい、あれはなんだ?
〉ファイアーラットに似てるな
〉いや、デカくすぎるだろ
〉ファイアーラットって小型モンスターだぞ

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名 前:フレアラット
種 族:動物 レベル:116
固 有:火耐性【大】
スキル:煉獄魔法Lv4 小食 MP節約 連続魔 リキャストLv1
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 そのネズミは黒い体に赤い模様が入ったネズミで、大きさは子供の四歳程度。げっ歯類の特徴である前歯をカチカチと噛み合わせると、再びその口から火炎弾が飛び出してきた。

「うわっ!」

 今度は左に避けると、怒ったりフレアラットは地団駄を踏んだ。

「ミュイ! ミュイ!」

「凶暴だけど鳴き声だけは可愛い!ってまた来た!」

 よく見れば火炎弾の速度自体は、それほど速くない。

『ふむ フレアラットか やはりおかしいな』

「何がおかしいの?! それより早く倒してよ!」

『阿呆め 貴様が近づかなければ 我は何もできぬと言っただろう』

「あ、そうだったって! わ!」

 次々に私に向かって火炎弾が降り注ぐ、なんとか避けてるけど、この身体って結構運動神経良くない?! 私の反射神経がいいの?!

 フレアラットの火炎弾は、私がいた場所にまっすぐ飛んでくるので、比較的私でも避けやすい。

「ミュイ!」

〉ファイアーラットじゃねぇな
〉ああ、あいつは火炎弾3発がMP的に限界だし
〉ってことは、上位種か
〉弱点も同じで雷なんかな?
〉絶死ダンジョンの内部なんて誰も見たことないからな

 いいヒントきたー! 弱点は雷! 私、持ってる! テイムの時もそうだったけど、この世界の魔法は詠唱がいらないみたいだから、さっき調べた魔法名を言えば出るはず!

『避けてばかりいては勝てぬ 近づけ』

「私にいい考えがあるの!」

『ほお 見せてもらおうか』

 フレアラットのMPってどうなってるの?ってくらい、バカスカ撃ってくる。そういえばMP節約をスキルを持っていたね。

「危なっ!」

「ミュィン!」

 何かあいつの注意を引くものは無いかな? それに雷魔法が使えるとはいえ初めて使うし、上手くフレアラットに当てられるのか……。

 そうだ!

「カグラごめん!」

『む?』

 私は火炎弾が一瞬途切れたタイミングに合わせて、手に持っていたカグラをフレアラットに思いっきり投げつけた。

『ぬぁぁあああああ!』

 カグラがフレアラットに向かって飛ぶと、それをみたフレアラットが一瞬固まる。今だ!

「《雷神魔法》ライジングボルト!」

 バリバリと私の右手に紫色の雷が帯電すると、フレアラットの側に落ちたカグラが避雷針となり、フレアラットとカグラを紫色の雷が直撃した。

 バリバリバリ! 

『ぎぃやぁあああ!』
「ミュイイイイィ!」
「やったーーーー!」

〉なんだそりゃー!
〉あいつ! 雷魔法なんか使えたのか?!
〉いや、紫の放電だ! あれ上位の雷神魔法だぞ!
〉どうなってんだよ!
〉てか、最下層の癖にモンスターが弱いじゃねぇかよ!

 フレアラットを倒したことで、また私の頭の中にレベルアップを告げる声が鳴り響いた。

【レベルが上がりました】

――配信累計時間:2時間56分
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