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決意
変化
しおりを挟む後日、照りつける太陽を背に浴びながら
現役自衛官が直接説明してくれるという
友達の家に向かった。
「おせーよ!もう来てんだぞ!」
「いやいや、俺のせいじゃねぇよ、エアコンが俺を抱きしめて離さねんだもん」
「そーゆーのいいから!早く上がれ!」
「はいはい…」
この俺を急かしてくるのが
『田中 慎吾』
小学校からの仲で、中学は部活が一緒
親が自衛官で、それに憧れて自衛隊を目指す純粋な少年だ。
顔はイケメンだし、ギャグセンも高くてめちゃめちゃ面白い、だが気持ち悪い
とにかく気持ち悪い。
そんな慎吾に部屋に入るよう促される。
ドアを開けた瞬間、ひんやりとした冷たい空気が全身を包む。
「あぁ、幸せ…」
「言ってる場合か…!」
至福の時は秒で終わり、目の前には
背筋がピンッと伸び、凛々しい顔をした
いかにも現役自衛官ですよと言わんばかりの人が正面の椅子に座っていた。
「君が溝口くん?初めまして、陸上自衛隊○○地域事務所の斎藤です」
「あ、どうも…今日はよろしくお願いします」
軽く会釈をして、席に着く。
座っているだけなのに、漂うオーラに圧倒されて人見知りの人みたいな受け答えになってしまった。
『結局堅苦しそうじゃん…』
心の中でそう思ったのは俺だけじゃなく
読者のみんなもそう思ってくれてると信じている。
「溝口くんはさ、自衛隊に興味あるの?」
唐突に聞かれた質問が、場の雰囲気から
面接じゃないかと思うくらい頭が真っ白になる。
「いやっ…興味というか、やりたいことが見つからなくて…」
「なるほどね!大丈夫!自衛隊はその人にあった職種を選べるんだよ!
何か得意なこととかあるかな?」
「そうですね…機械とかいじるのが得意ですかね」
「そうなんだ!ならピッタリなのがあるよ!」
そう言った斎藤さんは持っていた鞄の中から一冊の冊子のような物を見せてきた。
「陸海空の自衛隊の中にも、沢山の職種があって、自分に合った職種を選ぶことができるんだ、機械が得意なら通信科とか、武器科とかいいんじゃないかな?」
「すっげぇ…めちゃめちゃ種類ある…」
その冊子の中には様々な種類の職種があった。
確かに通信科や武器科は写真の中でも、
機械だったり武器を分解したり組み立てたりしている。
すごく興味が湧いた。
ただ、1番興味を惹かれたのが…
「あの…この普通科ってのは何をするんですか?」
「お目が高いね、普通科は簡単に言えば前衛部隊、災害派遣とかで救助してる映像見たことある?」
「はい!あります!」
「普通科だけじゃないけど、積極的にそういった救助活動を行なったりするんだ」
俺の気持ちは、人を最前線で助けたい。
それ一色に染まっていた。
こんななんの力もない凡人の俺が、最前線で人を助ける。
めちゃめちゃかっこいい。
「でも、やっぱり体力とかいりますよね?」
「心配ない!約半年の教育の間に、教官達が全力で体力をつけてくれるよ!」
少しニヤッとしたのが不安を煽るが、
好奇心には勝てなかった。
「俺!普通科に行きたいです!」
言ってしまった。
もう後戻りはできない。
「よし!なら今度願書とか持ってくるから一緒に書こうか!」
「よろしくお願いします!」
「よーし、今度未来の若い自衛官に飯でも奢ってあげよう!」
「いいんですか!いただきます!
その時またお話聞かせてください!」
「全然いいぞ!なら、僕は次に行くところがあるから、この辺で!」
そういって席を立ち玄関に向かう。
外に出て、斎藤さんを見送ったあとに
慎吾と話した。
「お前マジでいいの?」
「なにが?」
「普通科めっちゃキツいらしいよ?」
「マジ…?」
若干の後悔を残しつつも、今考えても仕方ない。
今度の食事会の時に不安なところは斎藤さんに聞けばいいさ。
慎吾とはその後軽く世間話をした。
気がつくと夕方の18時を回っていたので慌てて家に帰る。
家に帰ると母親がキッチンで料理をしていた。
「母さん、やっぱ俺、自衛官になるよ」
「え?警察官は?」
「堅苦しい」
「意味わかんない」
「マジでかっこいいんだって、自衛隊」
「まぁ、あんたがなりたいのを否定はしないわよ、頑張りなさい」
「任せとけ」
そう言って自室に行き、鞄に入っていた警察官の問題集を乱雑にゴミ箱にぶん投げた。
ご飯を食べて風呂に入り、即行で布団に入る。
自分が迷彩柄の服を着て、人を助けているところを想像した。
「やっべ…めっちゃかっこいい…」
そう独り言をもらして、目を閉じた…
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ありがとうございます!
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