6 / 11
6
しおりを挟む魔幻とくしの動きを抑える。
明花は頭の中で、反時計回りに舞い上がる風をイメージしている。
回る風は、周辺にさらなる風の力を呼び起こして、さらに風は力を増していく。
やがて、風は熱を帯びて、さらに加速する。風の勢いは、さらに高まる。
『明花…!』
「速撃大風衝波!!」
明花の腕輪にある呪文詠唱装置が反応し、その腕輪のハート型モニターに呪文詠唱文が表示される。
魔法発動。
魔幻とくしを中心に、高速回転する風が、地面から空に向かって、吹き荒れる。
その回転はいびつで、堪えようとする魔幻とくしの身体を、四方八方に飛び散らす様な勢いを持つ。
「…ァァァ!明花!!ま、まだ、魔幻となった僕の勇姿、君には、見せてないのにィィィ!」
魔幻とくしは、歯を食いしばり、明花の風の魔法を堪え忍ぼうと、身を屈める。
「…そのままだと、死んじゃうよ!?」
明花は、魔幻とくしに警告する。
「ふ、ふ、それは、違う…」
「とくし君…?」
魔幻とくしの2つの閉じた瞼が徐々に上がり、目を開こうとしている。
「僕わぁ、幼い頃に親から捨てられ、施設で育った。こんな僕にも、触らずに物を動かしたり、割ったり、不思議な力があって、これが僕のぉ、人より劣っていないって思える瞬間なのさァ!そんな僕が、こんな事くらいで、負けるはずが、ない!」
魔幻とくしの2つの目が見開き、それと同時に、口から著しく発達して伸びていく犬歯は、大型肉食獣の様な牙となり、口の外に剥き出しになる。
彼は、まとわりつく風魔法を、咆哮と共に、己の魔力を一気に増幅させ、かき消した。
「僕わぁ、大きな魔力というものを手に入れるために、無理矢理、目を塞がれていたんだ。その時は絶望したけど、再び目が見える様になった時は、今まで感じた事のない、爽快な気分になったよ!!邪魔なものは消し、手に入れたいものは、手に入れる!それができるのが、この僕…」
「魔幻とくしィィィ、ダァだぁあぁ!」
魔幻とくしは、身体の中の骨をポキポキと鳴らし、体格を1.5倍増しにしていく。
『明花、こいつの魔力…!膨れ上がってきた。それでも、まだ貴女の力には敵わないはず。落ち着いて、対応…』
メデナリンジェの心の声が、全て届く前に、魔幻とくしが、明花に声を上げて突撃してきた。
一歩より二歩目、二歩目より三歩目、魔幻とくしの地を蹴り、駆け寄る速さは、伸びる様に上がっていく。その速さに、明花はタイミングを合わせられないでいた。
腰が引けた状態で、魔幻とくしの突撃を受ける明花。魔法戦闘服の覆われていないお腹に、勢いのついた魔幻とくしの頭突きを食らい、吹き飛ばされていく。
魔法戦闘服で覆われていない肌を直接攻撃されていても、自動魔法防御が身体全体のどの箇所に対しても働くため、魔幻とくしの攻撃は、明花には大して利いていない。
しかし、魔幻とくしの突撃をまともに食らって頭を大きく揺らされた明花は、意識を朦朧とさせていた。
「あ…ぅ…」
『明花!!』
明花は落下時、しゃがんだ様な格好で両足を着き、尻餅をつく。そして、地面に背中をついて、そのまま気を失ってしまった。
明花は頭の中で、反時計回りに舞い上がる風をイメージしている。
回る風は、周辺にさらなる風の力を呼び起こして、さらに風は力を増していく。
やがて、風は熱を帯びて、さらに加速する。風の勢いは、さらに高まる。
『明花…!』
「速撃大風衝波!!」
明花の腕輪にある呪文詠唱装置が反応し、その腕輪のハート型モニターに呪文詠唱文が表示される。
魔法発動。
魔幻とくしを中心に、高速回転する風が、地面から空に向かって、吹き荒れる。
その回転はいびつで、堪えようとする魔幻とくしの身体を、四方八方に飛び散らす様な勢いを持つ。
「…ァァァ!明花!!ま、まだ、魔幻となった僕の勇姿、君には、見せてないのにィィィ!」
魔幻とくしは、歯を食いしばり、明花の風の魔法を堪え忍ぼうと、身を屈める。
「…そのままだと、死んじゃうよ!?」
明花は、魔幻とくしに警告する。
「ふ、ふ、それは、違う…」
「とくし君…?」
魔幻とくしの2つの閉じた瞼が徐々に上がり、目を開こうとしている。
「僕わぁ、幼い頃に親から捨てられ、施設で育った。こんな僕にも、触らずに物を動かしたり、割ったり、不思議な力があって、これが僕のぉ、人より劣っていないって思える瞬間なのさァ!そんな僕が、こんな事くらいで、負けるはずが、ない!」
魔幻とくしの2つの目が見開き、それと同時に、口から著しく発達して伸びていく犬歯は、大型肉食獣の様な牙となり、口の外に剥き出しになる。
彼は、まとわりつく風魔法を、咆哮と共に、己の魔力を一気に増幅させ、かき消した。
「僕わぁ、大きな魔力というものを手に入れるために、無理矢理、目を塞がれていたんだ。その時は絶望したけど、再び目が見える様になった時は、今まで感じた事のない、爽快な気分になったよ!!邪魔なものは消し、手に入れたいものは、手に入れる!それができるのが、この僕…」
「魔幻とくしィィィ、ダァだぁあぁ!」
魔幻とくしは、身体の中の骨をポキポキと鳴らし、体格を1.5倍増しにしていく。
『明花、こいつの魔力…!膨れ上がってきた。それでも、まだ貴女の力には敵わないはず。落ち着いて、対応…』
メデナリンジェの心の声が、全て届く前に、魔幻とくしが、明花に声を上げて突撃してきた。
一歩より二歩目、二歩目より三歩目、魔幻とくしの地を蹴り、駆け寄る速さは、伸びる様に上がっていく。その速さに、明花はタイミングを合わせられないでいた。
腰が引けた状態で、魔幻とくしの突撃を受ける明花。魔法戦闘服の覆われていないお腹に、勢いのついた魔幻とくしの頭突きを食らい、吹き飛ばされていく。
魔法戦闘服で覆われていない肌を直接攻撃されていても、自動魔法防御が身体全体のどの箇所に対しても働くため、魔幻とくしの攻撃は、明花には大して利いていない。
しかし、魔幻とくしの突撃をまともに食らって頭を大きく揺らされた明花は、意識を朦朧とさせていた。
「あ…ぅ…」
『明花!!』
明花は落下時、しゃがんだ様な格好で両足を着き、尻餅をつく。そして、地面に背中をついて、そのまま気を失ってしまった。
1
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
悩ましき騎士団長のひとりごと
きりか
BL
アシュリー王国、最強と云われる騎士団長イザーク・ケリーが、文官リュカを伴侶として得て、幸せな日々を過ごしていた。ある日、仕事の為に、騎士団に詰めることとなったリュカ。最愛の傍に居たいがため、団長の仮眠室で、副団長アルマン・マルーンを相手に飲み比べを始め…。
ヤマもタニもない、単に、イザークがやたらとアルマンに絡んで、最後は、リュカに怒られるだけの話しです。
『悩める文官のひとりごと』の攻視点です。
ムーンライト様にも掲載しております。
よろしくお願いします。

邪悪な魔術師の成れの果て
きりか
BL
邪悪な魔術師を倒し、歓喜に打ち震える人々のなか、サシャの足元には戦地に似つかわしくない赤子が…。その赤子は、倒したハズの魔術師と同じ瞳。邪悪な魔術師(攻)と、育ての親となったサシャ(受)のお話。
すみません!エチシーンが苦手で逃げてしまいました。
それでもよかったら、お暇つぶしに読んでくださいませ。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿

どこにでもある話と思ったら、まさか?
きりか
BL
ストロベリームーンとニュースで言われた月夜の晩に、リストラ対象になった俺は、アルコールによって現実逃避をし、異世界転生らしきこととなったが、あまりにありきたりな展開に笑いがこみ上げてきたところ、イケメンが2人現れて…。
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる