転生したそうです。

ノノ

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リリアーナとジェラルド。

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あの日から月日は流れ、私はリリアーナとして、そして私として生きていた。
この頃になると以前の私の記憶を思い出すことがなくなっていたし、リリアーナの身体の記憶も自分の一部として受け入れていた。

ジェラルドとは少しは距離が縮んでいると思うけど、以前のように積極的に私に触れることはなくて。
そんなジェラルドに私は不安になっている。

ジェラルドには好ましいと、妻でいて欲しいと言われた。だがよく考えれば、それはグロスター公爵家の当主としてという意味かもしれない。
そう考えると何となく今のジェラルドとの距離感に納得したら、無性に泣きたくなってしまった。

人目を避けるように屋敷から出た私は、庭園の奥にある東屋で隠れて泣いた。
リリアーナになってから、涙脆くなったのかな…。
私は自分をリリアーナとして受け入れているけど、ジェラルドは違うのかもしれない。その証拠にジェラルドの口からリリアーナと呼ぶ事がなくなったから。
それでもジェラルドと会話をしない訳ではないし、食後の2人で過ごす時間もそれなりにある。

私は我儘なのかな。
ジェラルドと過ごせるならそれでいいのに。それ以上を望むなんて。

「リリィ、こんな所にいたんだね。」

背中から覆い被さるように優しく抱きしめられた。
その事にも驚いたけど、今…。


「リリィって…」

「だめだった?」

少し照れたように言うジェラルドが可愛くみえる。私は頭をフルフル横にふる。

「リリィがもうリリアーナであることはわかっているんだけど、何でかな…。私だけの呼び方でリリィを呼びたかったんだ。」

私はもうリリアーナだけど、『リリアーナ』が存在していた事を忘れることはできないし、今回の件で全て納得した訳ではないことをジェラルドは話してくれる。

「リリィ、少し時間がかかってしまったけど…。」

そう言いながら私の手をとると、青色の石がついた綺麗な指輪を嵌めてくれる。

「私と夫婦になってくれるかい?」

ジェラルドの美しい顔で言われて断れる人なんていないと思う。
それに…

「そういうのは指輪を嵌める前に言うものじゃない?」

「ふふ、それもそうだね。どうやら気が急いたみたいだ。」

楽しそうに笑うジェラルドに、私もおかしくなった。

「ジェラルド、私を妻にして下さい。」

「喜んで。私の可愛い奥さん。」


頬に手を添えられるとジェラルドの顔が近付いてくる。
私は急に恥ずかしくなって目をギュッと閉じた。心臓が飛び出してしまいそうだ。

チュッ

おでこに温もりを感じて目を開ける。
ジェラルドは楽しそうに笑っていた。
ジェラルドの指が私の唇を優しくなぞる。

「ココはまだ我慢することにするよ。」


私の顔はボンッと音がしそうなほど真っ赤になった。





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