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潜む彼らの密談。

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 らしくなく本心の滲む声でぼやくレオカディオを、しかしクストディアは冷淡に嘲笑う。

「フン、俗物ね。あの子にも言ったけど、私とシャムはそういうのじゃないわ。結ばれたいなんてこれまで一度も思ったことはない。ただ、お互いを一番近くに置いていたいだけ。親族どもの条件を飲むことでそれが叶うんだから、むしろ好都合ってものよ」

「えー、ほんとかな?」

「煽っても無駄、残念だったわね。自らその好例になろうとしない傍観者気取りのお兄ちゃん。身近にあんたみたいのがいるからあの子の情操教育に悪いのよ」

「返す言葉もない……。それで、話は戻るけど、どうだったの?」

 自分の不利を悟り、不自然を承知で話の転換を図る。気楽に話せるのが面白くてつい茶化してしまうけれど、あまり長居をすれば従者へのごまかしも難しくなるし、奥の談話室を陣取っているファラムンドたちがお開きとなる前に戻らなくてはいけない。
 立場上、こうしてクストディアとふたりきりで話せるのはこの夜が最後だろう。素面で話せる貴重な相手として惜しくはあるが、そこれもこれも、全て仕方のないこと。
 返答を急かすレオカディオに、クストディアはしばし考える間を置いてテーブルに頬杖をつく。

「どこがどうってハッキリ言えるわけじゃないけれど、たしかに、前とは少し印象が違うわね」

 リリアーナは一年前に訪れたサルメンハーラで事件に巻き込まれ、ひどく頭を打った影響で記憶に障害が出ているとクストディアの元にも早くから情報が入っていた。だが今は傷も癒えて日常生活に支障はなく、後遺症と言うほど大したものではない、と。──そう聞いていたのに。
 自室へ残してきた友人・・の言では、「中身が欠けている」そうだ。
 彼女の言う「中身」が何なのかあまり理解はできなかったけれど、ヒトとして不可逆的な欠損があり普通の状態ではないと言っていた。しばらく会話をしてみても特に不自然なところはなく、前と変わらないようにも思えたけれど、そう言われてみればたしかに、どこかが違う。
 二日前、人目を忍んで自室を訪れたレオカディオが妙な依頼をしてきた時は話半分に聞いていたものだが、今なら部外者を頼った理由も何となくわかる。
 おそらく身近な人間ほど、不自然さを感じにくい差なのだ。

「でも、記憶に欠けがあれば会話に齟齬が出ることもあるでしょう? 大怪我をした後なんだからもう少し長い目で見て、専門家に診せるなり療養なりさせれば良いのではなくて?」

「記憶喪失なんて僕も専門外だからよく分からないけど。でも、そういう変さじゃなくってさ……兄さんもカミロも口を揃えて何もおかしくないって……でも、こう……」

 子どもっぽく唇をとがらせ、もどかしそうに説明を試みるレオカディオの言葉を手のひらで遮る。

「言いたいことは何となく分かってるわよ。あんたの言う通り、確かに少し違う雰囲気も感じたわ。……何なのかしらね。記憶と一緒に、薄気味の悪い部分まで消えてなくなったみたい、あの子はそこが面白かったのに」

「ひとの妹を薄気味悪いだの面白いだのと酷いなぁ。でもそれって、普通の女の子らしくなってきたって意味? 尖った個性や突飛な部分が均されていくのはつまり、大人になるってことでしょ」

「何よそれ、私のことを揶揄しているつもり?」

 クストディアが睨みつければ、わざとらしく降参のポーズで両手を上げ、そのまま流れるように恭しい礼へと変えるレオカディオ。反応も返答も全てわかった上でやるからたちが悪い。

「まっさか。もう僕なんかが軽々しく揶揄できる立場でもないし、サーレンバーとは今後も良好な関係を築いていきたいと思ってるんだから、点数下げるようなことは言わないさ。今回の件を含め、信頼して連携を取れる領が隣にあるって助かるよねぇ。歴代の友好関係に感謝しないと~」

「あんたがタダでそんならしくもない媚びを見せるとは思えないわ。関係維持に固執するたちでもないでしょうに。……まさかとは思うけど、そっち、そんなに状況が悪いの?」

 今晩、イバニェス領北部の森で何が行われているのか、クストディアも協力する側として一応聞かされてはいる。だが中央やクレーモラ内部との駆け引きは全てファラムンドの手のひらの上、自分の掴んでいる情報がどれも断片──それもわざと零されたものに過ぎないことは、クストディア自身もよくわかっていた。
 この抜け目のなさ、そしてサーレンバー領すら都合よく利用した今回の計画は、性格的にカミロが描いたものではないだろうか。だとすると、レオカディオすらも全容は把握できていないに違いない。
 敬愛する兄が一体何をやらされているのか、このブラコンのシスコンのナルシストが全て知っていたら、こんな顔でここにはいないだろう。
 そんな思惑をおくびにも出さぬよう注意しながら訊ねれば、そのブラコンのシスコンのナルシストは珍しい真顔を見せた。

「ただの勘、何の根拠もない話って前提で言うけど。クレーモラとのごたごたに、こんな簡単にケリつくのは妙じゃないかと思って。サルメンハーラの件も、もっと遡れば領道の崩落も未だにハッキリしないままだし。まだ、父上も見落としているような何かがある気がして……ずっと、嫌な感じがするんだ」

 ぞわりと、背筋を冷たいものが走る。
 つい先ほど全く同じ言葉を、別の少年から聞かされたばかりだ。見送りを断った彼は去り際、「嫌な感じがする、せいぜい気をつけて過ごすように」と神妙な顔でリリアーナとクストディアへ忠告じみた言葉を残した。
 もっと、具体的に言いなさいよ! ……白い顔を思い浮かべて胸の中で悪態をつくが、彼も詳細がわかっていたら一言添えるなりしただろう。お気に入りらしいリリアーナへの注意でもあるのだから。

「い、いやなこと言わないでちょうだい。どうせそれ、他に言える相手がいないからって私にこぼしてるんでしょう、不安のなすりつけになんて付き合ってられないから廊下の壷にでも頭突っ込んで好きなだけぼやいてなさい!」

「相変らずつれないなぁ。まぁ、そこが君の良いとこだよね。ぶっちゃけ今だから言えることだけど、君がサーレンバー領主を継がずにウチに来てくれるんだったら、僕個人としては別にそれでも良かったんだ」

「良いって、何がよ?」

「君が、僕のお嫁さんになるって話。ブエナおじいさんが前からずっと言ってたでしょ?」

「ハァァ?」

 人目を忍んだ密会であることも一瞬忘れ、素っ頓狂な声が出る。
 なぜ今さらここでその話を蒸し返すのか。首から上が熱くなるのは取り乱したことへの羞恥だ、クストディアはそう自分に言い聞かせて済まし顔でいる少年をきつく睨みつける。
 方々の令嬢や貴婦人を手玉に取って良いように扱っているレオカディオとは違い、そういう方面には全く免疫も経験もない。普段は外面を塗り固めることでそれを覆い隠しているけれど、幼い頃から知った仲の少年は棘の中身もお見通しだろう。そこを突いて動揺を誘うとは本当に趣味が悪い。

「あんたみたいに口数が多くて性根の悪い男なんか願い下げよ。頭の中身だけは買っているけど、どうまかり間違っても有り得ないわ。……そうでなくたって、私たちはダメ、いくらなんでも偏りすぎる。進んでバランスを崩すようなことをすれば中央や聖堂が黙っていないでしょう」

「継承権を放棄してくれれば可能性はあるかなって思ったんだけどー。残念。君の鋭角的な容姿と物言いは、わりと好みだったのに」

「フン、口先だけなら何とでもおっしゃい。……私たちみたいな立場の人間が、望む相手と添い遂げるなんて、余程の無理を通さなければ叶うものではないわ。あんたのとこの両親みたいにね」

 この話はここで終わりと言外に告げ、顔を背けて言葉を切る。
 意趣返しに母親のことを持ち出してやれば、案の定レオカディオは黙り込んだ。
 互いに相手の性格も、ウィークポイントも知り尽している。似た者同士だからこそ、ブエナペントゥラの望み通り婚約話が進んでいたとしてもきっと上手くはいかなかっただろう。付き合うにはいけ好かない男だが、そうなった時にリリアーナが自分の義妹となることだけは、ほんの少し惜しいと思うクストディアだった。

「……そろそろ、戻らないとだね。手間をかけて悪いけど、しばらく妹のこと頼んだよ」

「手間なんてかからないわ、どうせあの子はおじい様が用意した図書室に籠りきりでしょう。ああ、でも将来は私みたいになりたいと言っていたから、今回の滞在中に色々と仕込んであげるつもりよ。楽しみにしていらっしゃい」

 背けていた顔を戻して悪い顔で笑うクストディアに、レオカディオはいつもの調子でおどけて見せる。

「えぇー、リリアーナが君みたいになるのはちょっと……」

「さっきは好みだとか抜かしたじゃないの! ふん、この機会にじっくりとガラス工芸店や交易品の秘密を聞き出してやるんだから」

「そんな愚かな妹だったら、僕ももうちょっと楽だったよ」




 そうして、ふたりの密会は幕を閉じた。
 
 これが最後と分かっていながら簡素な別れの言葉を告げる少年と少女。見目の良いふたりが繰り広げるテラスでの応酬は、まるでその空間だけが切り取られた舞台のようでもあった。
 部外者の立ち入れない本棟の奥、領主一家の居住エリアは使用人すら立ち入れる者は限られている。だからこそレオカディオも従者や護衛を連れずに訪れ、クストディアの方も玉の友人を私室に置いたまま会話に臨んだ。誰にも見られていない、知られるはずがないという油断と慢心。
 確かに会話を聞かれるような範囲には誰もおらず、シャムサレムが控えているため闖入者の心配もない。その常であれば絶対安全なはずの舞台には、ただひとりの観客があった。

「なんで……っ」

 テラスが面している手入れのされた庭、その木陰に大きな身を縮めるようにしてひとりの少年が潜んでいた。
 一家で招待されたものの、いつも通りパーティ会場へは踏み入らずに空いている客間で時間を潰していたサーレンバー領主家の傍系。ブエナペントゥラの弟の孫にあたる少年、アントニオ。
 丸々と肥えた体を大樹の陰に押し込みながら、楽しそうに語らうふたりを見上げて歯噛みする、そのギリギリという掠れた音が虫の声に混ざり込む。

 朝の広間で美しく着飾った彼女を見た。聖堂で輝かしい継承式を見た。屋敷へ戻ってからはドレスを着替え、大人びた佇まいで凛と胸を張る姿を見た。
 ずっと見ていた。
 かわいそうなクストディア、両親を失ってひとりぼっちになったクストディア。
 ずっと強がって、泣き虫なのに我慢して、虚勢を張って辛辣に振舞っているのを自分だけが知っている。
 だっていつもそばで見てきたから。

「なのに、なんでだクストディア、なんで君はわからないんだ、イバニェス家なんかと付き合うから、そうだ、だから変わってしまった、君は変わってしまったんだクストディア……!」

 あんな悪い噂しかない男にまんまと騙されて、クストディアは世間知らずだから何もわかっていない。
 兄が兄なら、妹も妹だ。あの小生意気な娘、クストディアへ近づかないよう牽制してやったのに言うことをまるで聞かず、今でも彼女になれなれしくしている。
 イバニェス家はだめだ、あんな危険思想の奴らに関わればきっとサーレンバーにも良くないことが起きる。クラウデオ夫妻が死んだのだってファラムンドと親しくしたせいに違いない。絶対にそうなのに、その証拠だってあるのに、無知蒙昧な両親は話を聞こうともしない。どいつもこいつも愚か者ばかり。
 アントニオは内ポケットに隠し持っていた手記を取り出し、忌々しげに握り締める。

「僕が何とかしないと。僕が何とかしないと。僕が何とかしないと。かわいそうなクストディア、かわいそうに、僕が助けてあげないと!」

 ひとりぼっちのクストディア、かわいそうなクストディア。
 自分だけが理解してあげられる、世界中で自分だけが本当の彼女を知っている、クストディアは頭が悪いからそれに気づいていないだけで、全部わかればきっと感謝してくれる。
 だからさっさとイバニェス家なんかとは手を切るべきなんだ、近寄っちゃいけない、そばにいたらだめだ。あんな置物の鎧男よりも、へらへらしている顔だけの男よりも、誰が一番の理解者なのかきっともうすぐ気づけるはず。

 かわいそうに。かわいそう。かわいそうなきみ。うつくしくて、ひとりぼっちで、つよがりで、なきむしで、よわくて、おろかで、なにもしらない、ぼくだけがわかる。……かわいそうで、かわいいおんなのこ。
 だからクストディアは『かわいそう』でないといけない。

 淀んだ目で見上げるテラスからは灯りと人影が消え、何も見えなくなった。
 部屋に戻って何をするつもりなのだろう、あの鎧男も一緒なのか、廊下を張って客室へ戻るのを確認するべきか。その瞬間を狙って騒ぎでも起こせば、未婚の新領主を狙った不埒者として罪を着せることができるかもしれない。
 じりじりと後退させた足が何かにぶつかり、振り向いたアントニオの目の前に見知らぬ男の顔があった。驚きに悲鳴を上げようとした口を片手で塞がれ、呼吸まで止まる。

「悪い子だなぁ、こんな時間にこんな所でコソコソと」

「……っ!」

「おや? きみ、なんだか面白そうなものを持っているねぇ?」

 豪奢な金髪の男はアントニオの手中にある古ぼけた手記に目を止め、口角を上げた。
 形ばかりの無感動な蛇の笑み。
 捕食者を前にした少年は、身を震わせるのみでその場から一歩も動くことができなかった。




 
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