上 下
125 / 431

毒見の習慣

しおりを挟む
 曽祖父は毒殺された。
 聞かされた言葉への理解が染みて、リリアーナは息を飲んだ。
 俄かには信じがたい話への真偽を疑うよりも、それがどういうことなのかわかってしまったからこそ衝撃を受ける。
 頬杖をついたままじっと様子をうかがうリステンノーアを前に、瞠目したまま言葉が出てこない。

 驚きは勿論あったし、そういった過去があるからこそ毒見の習慣ができたのかという納得もあった。
 とはいえ、血縁者といえど一度も顔を合わせたことのない曽祖父の話だ。他者によって害されたことへの憤りは覚えても、生まれる前にそんな事件があったのかという程度にしか思えない。
 屋敷の使用人が淹れたお茶が原因だという件だって、自分の周囲の者たちは信じられるから、今それを聞かされたところで彼女らへの信頼が揺らぐことはない。

 衝撃を受けたのは過去の出来事などではなく、今現在のこと。
 前領主が毒殺されたという事件が起きて、毒見の習慣が徹底されるようになったのなら。つまりリリアーナの食事に対して行われている毒見だってただの習慣などではなく、本当に毒が含まれている可能性があると認識した上でがされているということだ。

 幼い頃から毎日の食事を取り分けて、持ち回りで確認をしていたお付きの侍女たち。
 屋台で購入したブニェロスをちぎって、ためらいもなく口にしたトマサ。
 外部から持ち込まれたビスケットを割り、先に食べて見せたカミロ。
 裏庭のテーブルでそつなく毒見を済ませたエーヴィ。

 これまで当たり前だと思っていたこと、そういうものだと見過ごしてきた日常の風景。
 ただの習慣だと思ってさして気にも留めずにいた自分だけが、何も知らないまま守られていたのだと、わかってしまった。
 たとえ領主ほど重要な立場ではないにせよ、その血縁者として狙われる危険性があると判断したからこそ、生まれてから今日まで毎日その習慣が続けられていたのだろう。
 安全のための確認作業。いつも侍女たちに面倒をかけていると思っていたその実、命をかけさせていたことに気づきもしなかった自身の迂闊さに目蓋を伏せる。

 ――侍女もカミロも、自らの命を試験紙として食事の毒見を請け負っていた。

「あぁ、そうか。それでか……」

 そのことに気づかされ、同時に理解してしまう。
 カミロは今まで言わなかったのではなく、言えなかったのだ。
 この事実を知ってしまえば自分が毒見を拒否する、もしくはその習慣に対して忌避感を示すとわかっていたから。
 過去の事件や状況を飲み込んで納得のできる年齢になるまで、明かすのを待っていたのだろう。
 おそらく十歳記の日になれば、そうしたことも教えてくれる予定だったのではないかと思う。それを決めるのは他でもない父親のファラムンドだ、仕える立場にあるカミロの一存で打ち明けられるわけもない。
 情報を伏せていることには理由があると、ちゃんと頭ではわかっていたはずなのに。
 ただ知りたいからと気が逸るあまり、ノーアまで利用して口を開かせた。職務に忠実たらんとする男に対し悪いことをしてしまった。

 視線を上げると、眼鏡越しに静かな目がリリアーナを見ていた。
 望まれない謝罪は飲み込んで、先に確認しておきたいことを持ち出す。

「侍女たちは、このことを知っていて……?」

「もちろんです。採用試験とは別に、お付きを決めるにあたり毒見に関しての知識や心構えを試すテストも必ず行っておりますから」

 カミロはそこで、何か痛ましいものでも思い返すように指先で眉間を押さえた。
 使用人の採用については試験があると以前フェリバから聞かされたこともあったが、お付きの侍女を決めるにも何らかの基準やふるい落としがあったようだ。皆よく働いてくれているし、厳しい審査を通過しての人選なら納得もできる。
 しかし、行われた試験で何か問題でもあったのか。眉を寄せて言いよどむカミロを見つめ、話の先を促す。

「……『こちらはお嬢様へお出しするお茶なのですが、毒が入っているようです。どうやって確かめますか?』と実地試験でたずねたら、躊躇もなく飲み干されたことがございまして」

「フェリバか」

「ええ、フェリバです」

 思わずカミロと同じように額を押さえて俯く。見てもいないのに、その時の情景が目に浮かぶようだ。

「なぜそこで飲み干した。……腹が丈夫だから自分は問題ないとか、舌が肥えているから飲めばすぐわかる、とでも言ったか?」

「ええ、その通りです。よくお分かりに」

「フェリバは、フェリバだなぁ……」

 実際は『毒が入っているかもしれない』からこそ、取り分けて念のため確認をするのが毒見というものだ。
 だが『毒が入っているようです』と言われて、ためらいもなく飲み干すフェリバの豪胆さが逆に不安だ。他に何か方法は思いつかなかったのか。……つかなかったのだろうな。

 おそらくその試験は、どうやって毒の有無を確認するのか知識や手技を試すものだったはずだ。銀製のスプーンを浸すとか、花瓶の花を漬けてみるとか、きっとトマサのほうはそうして確かめてクリアしたのだろう。
 いきなり飲み干されたカミロはさぞ驚いたろうなとか、良く採用したなという思いに加え、何かしら侍女のやらかしを聞くと即座にフェリバだと断定するのは、ここが始点だったのかと納得もした。
 ……危ないものは口に入れてはいけないと、屋敷へ戻ったらフェリバには良く言い聞かせておかなければ。

「何なんだ、さっきから、そのフェリバっていう人は……本当に領主邸の侍女なのか?」

「まぁ、フェリバだからな、仕方ない。侍女としては有能なんだ、よく働くし、よく動くし、力持ちだし」

「力持ち……?」

「ああ。フェリバのことが気になるなら後でいくらでも教えてやるから、今は話を戻そうか」

「別に気になってない、あと先に脱線したのは君たちのほうだ!」

 ノーアは歯噛みして、小さく抑えた声で怒鳴るという器用なことをした。
 テーブルの上で両手を握りしめているが、温かいお茶が効いたのか、先ほどまでよりも頬の血色がだいぶ良くなっている。手指や首など見える範囲の細さに加え、顔色の悪さが気掛かりだったから血液の循環が改善してきたなら何よりだ。
 ブレンドらしきお茶には、何かそういった作用をもたらすものが入っていたのかもしれない。

「ふむ、それもそうだな。カミロ、もうひとつだけ訊いておきたいのだが良いか?」

「お答えできる範囲でしたら」

 顔を向けた先で、男はゆっくりと首肯する。そう予防線を張っておきながら、おそらく知っていることならば何でも答えるのだろうと思った。
 聞かされた後のことを委ねられているのであれば、きちんとその責任は取らなくてはならない。自戒を新たにしながら、祖父の件について気がかりだった部分を訊ねる。

「使用人の淹れたお茶に毒が入っていたという話だが。本当に使用人が犯人だったのか?」

 怨恨、利害、依頼など、他者を殺害するに至る理由は様々あるのだろう。
 だがヒトの側のそういった事情には疎く、感情由来の行いであれば理解し難い部分も多いし、それがあまりよく知らない人物についてならなおさらだ。
 だから動機などはひとまず置くとして、ノーアの言った「使用人の淹れたお茶を飲んで毒殺された」という点が気になっていた。
 領主邸の使用人には採用の試験もあるそうだし、領主へお茶を淹れられるような立場なら余程信頼の置かれている者のはずだ。娘のお付きの侍女などより、もっと厳重な審査もされているはず。
 それにカミロが慕うほどの領主が、自身へ害意を持つような相手を見抜けないままそばに置くものだろうか?

「……事の詳細はまた日を改めてご説明をさせて頂くとして。犯人か否かというご質問でしたら、否です。毒物はあらかじめ仕込まれていたものだと調べがついており、お茶を淹れた使用人は罪に問われてはおりません」

「そうか、わかった」

 一息に言い切ったカミロの言葉から、それ以上の情報は問われない限りここで明かすつもりはない、という意思を言外に感じ取る。
 外出時の茶飲み話で済ませるようなものでもないと理解しているから、こちらも短くそう応えておいた。

 本当の犯人は誰だったのか、その使用人はどうなったのか、どういった経緯で毒物が仕込まれたのか。……それらのことは、正式に聞かせてもらえる段階になったら問えばいい。
 もう過ぎたことであり、毒見が習慣付けられるきっかけ以外、今の自分が知ったところで何が変わるわけでもない過去の出来事だ。
 それも同族殺しなんていう、あまりふれたくもない案件。力こそがものを言うキヴィランタと違い、ヒトの個体は持ち得る力の多寡に大した差はないのに、なぜそうも同族で殺し合うのだろう。
 手の中にある丸いカップを撫でながら、首を振る。

「……うん、この話はここまででいい。すまなかったな、無理に聞き出すようなことをして」

「いいえ。我々のほうこそ、リリアーナ様のご年齢よりも、その聡明さを見て打ち明ける時期を決めるべきでした」

「ノーアも、この話はおしまいということでいいな?」

「僕は別に……無関係だし」

 少年はそう言うとむすりとした顔で横を向き、小指から接地させながらカップを置いた。

「教えてくれたことには感謝する。でも、わたしでも知らないようなイバニェス家の事情をお前が知っているとはな」

「むしろ君が知らないことに驚いたけど」

「む、そうか。……まぁいい、詳しいことは後日聞かせてもらう。うっかりノーアが漏らした茶飲み話だが、わたしは屋敷に着く頃には忘れている。だからお前たちも、今ここで話したことは忘れてしまえ」

 口の前に人差し指を立てながらそう言えば、対面の男と少年は揃ってうなずいた。
 ふたりはそれに気づいて互いを見てから、視線を逸らし黙り込む。知り合いというわけではないらしいが、先ほどから漂うこの微妙な緊張感は一体何なのだろう。
 不自然に視線を背ける男たちに首をひねりつつ、リリアーナは無意識に固くなっていた体から力を抜いた。
 だらしなくない程度に椅子の背もたれへ体重を預け、ひっそりと息を吐く。

 生きているうちに一度話をしてみたかったと思った曽祖父が、そんな事件で命を落としていたことは正直残念だった。
 それに、ファラムンドが先に領主となることで一代飛ばされたという祖父。これまで名前すら知らされなかった彼らについても、きっとその時になったら教えてもらえるのだろう。
 場所と状況を借りた例外的な「おねだり」はここまで。その他の情報解禁については、大人たちが立てているらしい予定に任せるとしよう。
 自分の十歳記まであと二年足らず。秘されているうちのどこまで教えてもらえるのかは定かではないけれど、教えても構わないとファラムンドたちに認めてもらうことができれば、もっと突っ込んだ話も聞き出せるかもしれない。
 自分が八歳児だという自覚は一応持っているが、おそらく一般的な八年を生きただけの女児はここまで知りたがったりはしないのだろうとも思う。
 ヒトの娘の『リリアーナ』として生きるのであれば、生前のように知識欲に任せて何でも情報を得たがる癖は控えるべきだ。
 書斎が開かれるまで五年も耐えたのだから、あと二年くらいはきちんと待とう。

 一息ついて、手で包んだカップのお茶が空になる頃には、日頃から侍女たちに命を張らせていたことへの動揺もすっかり落ち着いていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

処理中です...