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第4話:帰宅
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――数時間後――
「ふぅ……、ただいま~って俺一人か……、や~れやれだぜっ!」
タクヤはア自宅アパートの一室の扉の鍵をガチャりと解錠し、帰宅が完了する。
先程は幼女にとんでもなく高度な魔法を見せつけられたのと、不審者に間違えられたのと、その他諸々あり非常にくたびれている。
「さ~て、飯! 風呂!寝る! だ!これ彼女や嫁がいるんだったら“ご飯にします?お風呂にします?それともワ・タ・シ?”、な~んつって!なはははははは!はは……ハァ――」
そう、タクヤには彼女がいない。
「俺、今年で21かぁ……、彼女いない歴も、21かぁ……、とほほ……」
それも、年齢イコール彼女いない歴である。
タクヤはお気に入りの赤いバッシュを乱暴に玄関へ脱ぎ捨て、玄関からリビング部屋につながる引き戸をガラガラぴしゃっと勢いよく開けると、
「おかえりなさいませっ! タクヤ様ぁ!」
「へっ?」
「へっ? ってなにか私おかしいことでもしたのですかです――っ!?」
「いや、全くもっておかしいよっ!? これっ!?勝手に人んち入って何やってんだっ!? つか一体全体どうやって入ったんだ!? 何で俺んち判ったのっ?」
タクヤの目の前にはルゥルゥ――先程のダークエルフ幼女がタクヤの料理用のエプロンを着て膝を付き両手の揃えてお上品にもお辞儀のポーズをとっていた。
ただし、彼女が着ているエプロンは大人用のものなので、長さがだいぶあまり地面にぶかぶかと垂れ下がっていた。
そして、極めつけはこのにぱぁという神々しいまでの輝く笑顔である。
「えへんっ!聞いて驚けなのです――! 読心魔法“リード・ハート”でタクヤ様の考えていることを読み、転移魔法“ワープ・ムーブ”でここまで飛んできたのです――」
ルゥルゥは幼女の見た目に反して豊満なバストで胸を張り自慢げに話す。
「わー、あっさりと白状しましたね。でもすげぇ……、転移魔法を実際使っている人を見たの初めてだわ~。あっ! そんなことより、ルゥルゥ! さっきおまわりさんに君の保護者になってくれる人探してくれるって事になっていたよね?こんな汚い家にいても何もいいことないんだよ――――って、あれぇ――――!?」
タクヤは驚いた。
なぜなら彼は相当にだらしがない男であり、部屋は缶ビールや丸めたちり紙などが散乱していたはずであった。
ところがルゥルゥの背後にあるリビングを見ると、散乱したゴミ跡形もなく消え去り、散らかり放題だった物品もきれいに整理整頓されていたのである。
「おかたづけしましたのですぅ!」
(あれ? うっかり隠し忘れたエロ本はどこだ!? どこにに行ったんだ!?)
タクヤは突然辺りをキョロキョロしだす。
それと同時にカレーの匂いが鼻孔をくすぐる。
(あった――! あそこか!きれいに積み上がっている! ち~ん。これは見られたな)
タクヤは母にエロ本ごときれいに整頓された息子の気持ちになった。
「き、きれいになってる……」
「ご飯も用意しましたです――。タクヤ様のレトルトカレーですけれど、早く食べましょうよ、タクヤ様!」
カレーの匂いの招待は家に常備してあったレトルトカレーで、米は“スズキのご飯”がレンジで加熱調理されていたものだったので四角いまま皿に盛り付けられていた。
(この娘はこのままここに住み着くつもりなのだろうか? ならば!)
タクヤには考えがあった。
「おい、ルゥルゥ!お前がここに住み着きたいことはよ~くわかった。きれいにしてくれてあんがとな。どうしても住みたいのならここを自由に使っていいぞ」
「えへへ……、それほどでもですっ。ありがとうです、タクヤ様」
ルゥルゥは住処を確保できたからなのか安堵の表情になった。
「でも、俺から一つお願いがある」
「なんでしょうか?お手伝いが足りなかったのでしょうか?」
ルゥルゥは満面の笑みを浮かべていたが、タクヤの質問によりキョトンとした表情に変わる。
「いや、それは十分すぎるくらいだがな。そういうことではなくてだな、コホン。俺に魔法を教えてくれないか。学び直したいんだ、魔法をな!」
タクヤの表情は真剣そのものであった。
(ぐへへ……、面倒だった家事もやってくれるし、魔法に関して明らかに優秀なこいつに就活に有利になるまで魔法のレベル引き上げてもらう……! 我ながらパーフェクトな作戦だぜっ!)
「なにか悪いこと企んでるようですが、この私めにおまかせくださいですっ!」
「いや、マジありがとうございます! って一言多いな、お前」
ルゥルゥは読心魔法でタクヤの心を盗み見した上で、タクヤとの交換条件の契約を飲んだのだった。
「ふぅ……、ただいま~って俺一人か……、や~れやれだぜっ!」
タクヤはア自宅アパートの一室の扉の鍵をガチャりと解錠し、帰宅が完了する。
先程は幼女にとんでもなく高度な魔法を見せつけられたのと、不審者に間違えられたのと、その他諸々あり非常にくたびれている。
「さ~て、飯! 風呂!寝る! だ!これ彼女や嫁がいるんだったら“ご飯にします?お風呂にします?それともワ・タ・シ?”、な~んつって!なはははははは!はは……ハァ――」
そう、タクヤには彼女がいない。
「俺、今年で21かぁ……、彼女いない歴も、21かぁ……、とほほ……」
それも、年齢イコール彼女いない歴である。
タクヤはお気に入りの赤いバッシュを乱暴に玄関へ脱ぎ捨て、玄関からリビング部屋につながる引き戸をガラガラぴしゃっと勢いよく開けると、
「おかえりなさいませっ! タクヤ様ぁ!」
「へっ?」
「へっ? ってなにか私おかしいことでもしたのですかです――っ!?」
「いや、全くもっておかしいよっ!? これっ!?勝手に人んち入って何やってんだっ!? つか一体全体どうやって入ったんだ!? 何で俺んち判ったのっ?」
タクヤの目の前にはルゥルゥ――先程のダークエルフ幼女がタクヤの料理用のエプロンを着て膝を付き両手の揃えてお上品にもお辞儀のポーズをとっていた。
ただし、彼女が着ているエプロンは大人用のものなので、長さがだいぶあまり地面にぶかぶかと垂れ下がっていた。
そして、極めつけはこのにぱぁという神々しいまでの輝く笑顔である。
「えへんっ!聞いて驚けなのです――! 読心魔法“リード・ハート”でタクヤ様の考えていることを読み、転移魔法“ワープ・ムーブ”でここまで飛んできたのです――」
ルゥルゥは幼女の見た目に反して豊満なバストで胸を張り自慢げに話す。
「わー、あっさりと白状しましたね。でもすげぇ……、転移魔法を実際使っている人を見たの初めてだわ~。あっ! そんなことより、ルゥルゥ! さっきおまわりさんに君の保護者になってくれる人探してくれるって事になっていたよね?こんな汚い家にいても何もいいことないんだよ――――って、あれぇ――――!?」
タクヤは驚いた。
なぜなら彼は相当にだらしがない男であり、部屋は缶ビールや丸めたちり紙などが散乱していたはずであった。
ところがルゥルゥの背後にあるリビングを見ると、散乱したゴミ跡形もなく消え去り、散らかり放題だった物品もきれいに整理整頓されていたのである。
「おかたづけしましたのですぅ!」
(あれ? うっかり隠し忘れたエロ本はどこだ!? どこにに行ったんだ!?)
タクヤは突然辺りをキョロキョロしだす。
それと同時にカレーの匂いが鼻孔をくすぐる。
(あった――! あそこか!きれいに積み上がっている! ち~ん。これは見られたな)
タクヤは母にエロ本ごときれいに整頓された息子の気持ちになった。
「き、きれいになってる……」
「ご飯も用意しましたです――。タクヤ様のレトルトカレーですけれど、早く食べましょうよ、タクヤ様!」
カレーの匂いの招待は家に常備してあったレトルトカレーで、米は“スズキのご飯”がレンジで加熱調理されていたものだったので四角いまま皿に盛り付けられていた。
(この娘はこのままここに住み着くつもりなのだろうか? ならば!)
タクヤには考えがあった。
「おい、ルゥルゥ!お前がここに住み着きたいことはよ~くわかった。きれいにしてくれてあんがとな。どうしても住みたいのならここを自由に使っていいぞ」
「えへへ……、それほどでもですっ。ありがとうです、タクヤ様」
ルゥルゥは住処を確保できたからなのか安堵の表情になった。
「でも、俺から一つお願いがある」
「なんでしょうか?お手伝いが足りなかったのでしょうか?」
ルゥルゥは満面の笑みを浮かべていたが、タクヤの質問によりキョトンとした表情に変わる。
「いや、それは十分すぎるくらいだがな。そういうことではなくてだな、コホン。俺に魔法を教えてくれないか。学び直したいんだ、魔法をな!」
タクヤの表情は真剣そのものであった。
(ぐへへ……、面倒だった家事もやってくれるし、魔法に関して明らかに優秀なこいつに就活に有利になるまで魔法のレベル引き上げてもらう……! 我ながらパーフェクトな作戦だぜっ!)
「なにか悪いこと企んでるようですが、この私めにおまかせくださいですっ!」
「いや、マジありがとうございます! って一言多いな、お前」
ルゥルゥは読心魔法でタクヤの心を盗み見した上で、タクヤとの交換条件の契約を飲んだのだった。
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