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第2章.妖精王
046縫.妖精王と白亜の神殿
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白亜の神殿の中に突入したアカリとニックの “ でこぼこ師弟コンビ ” は現在、遥か遠くまで続く終わりの見えない円柱の道をひたすら真っ直ぐ進んでいます。
タゥン、タゥン、タゥン……
音がたくさんの円柱に反射して共鳴しているからか、足音がボワンボワンとした感じで膨らんで聞こえて来ます。
「うわっ、おもしろーい!」
ニックも、羽根をワザと音が鳴る様に大げさに羽ばたいてみます。
ファラッ、ファラッ、ファラッ……
ニックの羽ばたきの音が共鳴のオブラートに包まれると、こんな風に膨らんで聞こえるみたいです。
もうニックは大喜びで、キャッキャはしゃいでいます。
一方、アカリはこの柱を見ていると、何だか日本にいる時に世界史の教科書で見た「パルテノン神殿」を支えている『円柱』に似ているのを思い出しました。
【う・ん・ち・く♡】───────
パルテノン神殿は、スタイロベートの上に円柱を等間隔に立ててコロネードを形成したコリント式の建築物です。
コリント式の建物は全てコロネードが違い、パルテノン神殿は長方形に配列されているのが特徴です。
この並んでいる円柱には、
・柱の中ほどにゆるい膨らみを持たせる “ エンタシス ”
・上に行くに従って幅をせばめてゆく円周の縦溝などの “ 柱身 ”
という、コリント式の代表的な2つの特徴が見られます。
────────────────
「ニックさん……この『円柱』、向こうの世界にあるギリシャって国でも同じ様なモノを見た事があるんですよ!
まさか、『妖精王』って “ 転生者 ” の方なのでは……?」
いや、確かに妖精王が向こうの世界である日本の事を知っているなら転生者である可能性はあります。
しかし、転生者で無くても向こうの世界の事を知る事が出来ます。
例えば、この前のガーゴイルみたいに……ワープホールを通って地上界から日本へと逆転移するパターン。
それを立証する為にはまず、この円柱がこの地上界で造られた物か、この地上界には存在しない物質で造られているのかを調べる必要があるのですが……
どちらにせよ、今この場では無理というものです。
円柱は両脇とも、等間隔に並んでずっと続いています。
なので、白亜の神殿のコロネードはパルテノン神殿のとはまた違います。
円柱と円柱の間から、暖かい木漏れ日が射し込みます。
どうやら、時々眩しく反射してる所もあるみたいなので……
神殿の中なのにも関わらず、陽当たりは良好の様です。
だから、神殿の中だからとは言えヒンヤリとはしていないんです。
すると、円柱よりも遥か頭上から降りて来る声が聞こえました。
謎の頭痛と共に、頭の中に直接響いて来たみたいです。
この脳内アナウンスは、ニックにも聞こえている様です。
『ようこそいらっしゃいました、“ 選ばれし者 ” の皆さん。
これから本当に私に会う資格を有しているか、テストさせて頂きます。
テストは2つ、さあ私を楽しませて下さいね……』
2人は同時に、思わず声のする方向を見上げました。
一体、この上はどれだけ高いのでしょうか?
どこかに繋がっているのでしょうか?
果たして、『精霊王』は味方になってくれるのか、それとも敵に回ってしまうのか……
アカリは、不安そうな顔をしてニックに聞きました。
「ニックさん、今の声って『精霊王』からですよね……?
コレってワタシ達、一体何を試されてるんでしょう……か?」
しかし、ニックは答えません。
どうやら、考え事をしている様です。
『精霊王』の事について、何か心当たりが有るのでしょうか?
もし、この声が「あの人」なら……
精霊王、じゃないんだよねー。
『精霊王』からのメッセージが聞こえた後、不安を振り払うかの様にアカリはニックとひたすら柱の道を歩き続けました。
その時、ふとアカリがこんなひと言を口にしたんです。
「ねぇニック……さん、ワタシさっきから歩き続けていてすごく感じている事があるんですけど……」
お、どうやらニックも同じく思い当たったフシがあったみたいで……
「奇遇ですねー、実はボクもなんですよー!
お姉ちゃん、ココでサクッと “ 相性テスト ” してみましょー!
同じ解答が出たら相性バッチリだよー!」
いくよー!せ……のっ!
『ずっと堂々巡りしてるー!(していますっ!)』×2
アカリとニックは、2人の解答がシンクロして喜び合っています。
しかし、ただ2人の相性が合っただけでは、何の問題の解決にもなりません。
それは2人とも分かっています。
この2人がスゴいのは何と、お互いシンクロした瞬間にはもうすでに2人ともこの問題の解決策を導き終わっている所なんです!
「ねぇお姉ちゃん、“ 胸キュン♡流格闘術 ” がだいぶ板に付いて来たでしょー?
なら “ 気 ” の操り方だって、だいぶん馴れて来たんじゃなーい?
だから、そろそろ気を “ 探る ” 事も出来ると思うんだけどー!」
アカリは目を閉じて、空中でエア “ 頭ポンポン♡ ” をしてみます。
手のひらから、じわぁっと “ 神気 ” が溢れ出して流れ出すのを感じます。
すると……
タゥン、タゥン、タゥン……
音がたくさんの円柱に反射して共鳴しているからか、足音がボワンボワンとした感じで膨らんで聞こえて来ます。
「うわっ、おもしろーい!」
ニックも、羽根をワザと音が鳴る様に大げさに羽ばたいてみます。
ファラッ、ファラッ、ファラッ……
ニックの羽ばたきの音が共鳴のオブラートに包まれると、こんな風に膨らんで聞こえるみたいです。
もうニックは大喜びで、キャッキャはしゃいでいます。
一方、アカリはこの柱を見ていると、何だか日本にいる時に世界史の教科書で見た「パルテノン神殿」を支えている『円柱』に似ているのを思い出しました。
【う・ん・ち・く♡】───────
パルテノン神殿は、スタイロベートの上に円柱を等間隔に立ててコロネードを形成したコリント式の建築物です。
コリント式の建物は全てコロネードが違い、パルテノン神殿は長方形に配列されているのが特徴です。
この並んでいる円柱には、
・柱の中ほどにゆるい膨らみを持たせる “ エンタシス ”
・上に行くに従って幅をせばめてゆく円周の縦溝などの “ 柱身 ”
という、コリント式の代表的な2つの特徴が見られます。
────────────────
「ニックさん……この『円柱』、向こうの世界にあるギリシャって国でも同じ様なモノを見た事があるんですよ!
まさか、『妖精王』って “ 転生者 ” の方なのでは……?」
いや、確かに妖精王が向こうの世界である日本の事を知っているなら転生者である可能性はあります。
しかし、転生者で無くても向こうの世界の事を知る事が出来ます。
例えば、この前のガーゴイルみたいに……ワープホールを通って地上界から日本へと逆転移するパターン。
それを立証する為にはまず、この円柱がこの地上界で造られた物か、この地上界には存在しない物質で造られているのかを調べる必要があるのですが……
どちらにせよ、今この場では無理というものです。
円柱は両脇とも、等間隔に並んでずっと続いています。
なので、白亜の神殿のコロネードはパルテノン神殿のとはまた違います。
円柱と円柱の間から、暖かい木漏れ日が射し込みます。
どうやら、時々眩しく反射してる所もあるみたいなので……
神殿の中なのにも関わらず、陽当たりは良好の様です。
だから、神殿の中だからとは言えヒンヤリとはしていないんです。
すると、円柱よりも遥か頭上から降りて来る声が聞こえました。
謎の頭痛と共に、頭の中に直接響いて来たみたいです。
この脳内アナウンスは、ニックにも聞こえている様です。
『ようこそいらっしゃいました、“ 選ばれし者 ” の皆さん。
これから本当に私に会う資格を有しているか、テストさせて頂きます。
テストは2つ、さあ私を楽しませて下さいね……』
2人は同時に、思わず声のする方向を見上げました。
一体、この上はどれだけ高いのでしょうか?
どこかに繋がっているのでしょうか?
果たして、『精霊王』は味方になってくれるのか、それとも敵に回ってしまうのか……
アカリは、不安そうな顔をしてニックに聞きました。
「ニックさん、今の声って『精霊王』からですよね……?
コレってワタシ達、一体何を試されてるんでしょう……か?」
しかし、ニックは答えません。
どうやら、考え事をしている様です。
『精霊王』の事について、何か心当たりが有るのでしょうか?
もし、この声が「あの人」なら……
精霊王、じゃないんだよねー。
『精霊王』からのメッセージが聞こえた後、不安を振り払うかの様にアカリはニックとひたすら柱の道を歩き続けました。
その時、ふとアカリがこんなひと言を口にしたんです。
「ねぇニック……さん、ワタシさっきから歩き続けていてすごく感じている事があるんですけど……」
お、どうやらニックも同じく思い当たったフシがあったみたいで……
「奇遇ですねー、実はボクもなんですよー!
お姉ちゃん、ココでサクッと “ 相性テスト ” してみましょー!
同じ解答が出たら相性バッチリだよー!」
いくよー!せ……のっ!
『ずっと堂々巡りしてるー!(していますっ!)』×2
アカリとニックは、2人の解答がシンクロして喜び合っています。
しかし、ただ2人の相性が合っただけでは、何の問題の解決にもなりません。
それは2人とも分かっています。
この2人がスゴいのは何と、お互いシンクロした瞬間にはもうすでに2人ともこの問題の解決策を導き終わっている所なんです!
「ねぇお姉ちゃん、“ 胸キュン♡流格闘術 ” がだいぶ板に付いて来たでしょー?
なら “ 気 ” の操り方だって、だいぶん馴れて来たんじゃなーい?
だから、そろそろ気を “ 探る ” 事も出来ると思うんだけどー!」
アカリは目を閉じて、空中でエア “ 頭ポンポン♡ ” をしてみます。
手のひらから、じわぁっと “ 神気 ” が溢れ出して流れ出すのを感じます。
すると……
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