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第2章.妖精王
032縫.敵の強さを肌で知る
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ワタシも、長老さんの “ 力 ” になってあげたい……!
アカリからのそのひと言を聞き、長老さんはよほど嬉しかったのでしょう。
アカリを見て微笑む目尻に、うっすら涙が滲んでいます。
「じゃあアカリさん、お前さんにも手伝って貰おうかね。」
長老さん、初めてワタシの事を名前で呼んでくれました!
「ねぇ長老さん、北の漁村を根城にしている勢力ってとんなヤツらなんですか?」
長老さんは、目をゴシゴシしてから特徴を思い出します。
「う~ん、報告では全身にシャチの毛皮を着込んでいるって言っておったの。
ヤツらの名前は盗賊団『グランプス』、海沿いの小さな村を襲ってアジトにしたらしいんじゃ。
ワシらは、これからカチ込みに行く。
そなたらも一緒に行ってくれんかの?」
「はいっ、お願いします!」
そして、アカリは『かぐら座』の弾き子の皆さんにも声をかけました。
「皆さん、短い間でしたけどお世話になりました!」
「いいよいいよ、私達も旅のお方と一緒にいたお陰で楽しい旅が出来たんですから!
最後に旅のお方、もし宜しければお名前をお聞かせ願えませんか?」
「ワタシは、アカリって言います!」
リーダーのお姉さんはまぁ!と嬉しそうな顔をして、
「アカリさんも、気を付けて行ってらっしゃいね。
大丈夫です、またきっと別の町でまたアカリさんとお会い出来る様な気がしますわ……」
そう言って、みんなで手を振って見送ってくれました。
思わず、涙が出そうになりました……
これも「一期一会」ですね。
という事で、長老さんとお付きの従者とアカリとニックの4人は長老さんの先導のもと深い霧を抜けて北にある小さな漁村に着きました。
村の名前は……
この地上界の文字の読み方をかぐら座のお姉さん達に習いはしたものの、今のアカリにはまだ読めません。
「戦術としては、二手に分かれて挟み撃ちを行う。
ワシとコイツ、アカリさんとその鳥じゃ。」
長老さんは、お付きの従者を人差し指で小突きます。
「どちらかが盗賊団と正面でカチ合い、どちらかが背後を突くという作戦じゃ。」
長老さんは、ニックを戦力と考えているんでしょうか?
ワタシ自身、ニックが単独で闘っている所をまだ見た事ないんですが……
「じゃから、くれぐれも見つからん様にこっそり行って……
まずは、相手の戦力を分析するんじゃ。
盗賊団『グランプス』の人数は何人か、使用するスキルの魔法系統……
総合的に判断して組みやすければ闘え。
組みにくそうだと判断したら、退却してでもワシらと合流する事を考えるんじゃぞ。
組みにくい相手と不利な状況を承知で闘うのは “ 蛮勇 ” と言って、誉められた行為では無いからの!」
アカリとニックは、コクンと頷きます。
「分かりました、長老さん……
では、行って来ます。」
「お姉ちゃん、行きましょー!」
長老さんはアカリとニックに頷き合うと、お付きの従者と別行動でどこかへ姿を晦ましてしまいました。
アカリとニックは、取り合えず北の漁村をぷらぷら歩く事にしてみました。
この村には陸地に民家が、浜辺には舟を格納する母屋が、それぞれ散在しています。
そして、所どころ舟の上で使うであろう巻き網が天日干しているのが見受けられます。
ザサッ……ザサッ……
打ち寄せる波の音と一緒に、仄かな潮の香りも立ち込めます。
「ニック、漁村って淋しいですよね。」
「ホント、寂れた村だよねー。」
「長老さんは、この村で何を見させたいんでしょう?」
「取り合えず、この村をグルッと見て回ろーよ!」
村を散策していると……
何か、村の中央でトラブルがあった様ですね。
乾物らしきものを屋台で売り捌いていた男の人を囲う様に、3人組が詰め寄って何やら大声で捲し立てています。
「ニック、見えますか?
あそこにチラッとシャチの頭が……」
よく見ると、全員シャチの毛皮を被っています。
どうやら、3人組はみんな盗賊団『グランプス』の様です。
相変わらず大声で捲し立てていたので、そろ~っと行って、会話の内容を盗み聞きしました♡
3人組はみんな大柄でゴツいんですけど、プロテインか何か飲んでいるんでしょうか?
先ほど闘った『メフィスト』なんてメじゃないくらい、ヤバい感じ……
アカリには、そんな感じに思えた様です。
「おい、乾物商!」
「は、ハイィィッッッ!」
「ギルドに属せねぇ『はぐれ商人』のオマエの依頼で、巨大な “ 乾物の横流しルート ” を潰してやったんだぜぇ?
それなのに、まだ成功報酬を貰ってねぇーんだよなぁ!」
「確か乾物って高値で取引されてるから、オマエみたいな『はぐれ商人』が後を立たねえんだよなぁ。
それだけ羽振りが良けりゃあ、すぐ払えるハズだよな……
ピンハネは許さねえぜぇ?」
「『闇』の取引は、裏の世界に生きるオレ達グランプスの独壇場なんだよぉ。
特に今回の様な “ シマのツブシ合い ” はなぁ!」
「うぅ……払いますよ、もう。
こっちに来て下せぇ……」
実際に見て、会話を聞いて分かった事があるんですが……
盗賊団『グランプス』って、“ 野盗集団 ” とかそんなチンケなレベルどころの群れではなかったです!
それどころか、ココにいる3人組はみんなプロの傭兵みたいな恐ろしい気を纏っているんデスが!
しかも、そうして金を吸い上げているお陰で、市場にはあまり物品が流通出来ていないみたい……
この盗賊団の実態を把握したアカリは、恐怖で思わずブルッと身体が震えました。
アカリとニックは、そっとその場から立ち退こうとしたんですが……?
アカリからのそのひと言を聞き、長老さんはよほど嬉しかったのでしょう。
アカリを見て微笑む目尻に、うっすら涙が滲んでいます。
「じゃあアカリさん、お前さんにも手伝って貰おうかね。」
長老さん、初めてワタシの事を名前で呼んでくれました!
「ねぇ長老さん、北の漁村を根城にしている勢力ってとんなヤツらなんですか?」
長老さんは、目をゴシゴシしてから特徴を思い出します。
「う~ん、報告では全身にシャチの毛皮を着込んでいるって言っておったの。
ヤツらの名前は盗賊団『グランプス』、海沿いの小さな村を襲ってアジトにしたらしいんじゃ。
ワシらは、これからカチ込みに行く。
そなたらも一緒に行ってくれんかの?」
「はいっ、お願いします!」
そして、アカリは『かぐら座』の弾き子の皆さんにも声をかけました。
「皆さん、短い間でしたけどお世話になりました!」
「いいよいいよ、私達も旅のお方と一緒にいたお陰で楽しい旅が出来たんですから!
最後に旅のお方、もし宜しければお名前をお聞かせ願えませんか?」
「ワタシは、アカリって言います!」
リーダーのお姉さんはまぁ!と嬉しそうな顔をして、
「アカリさんも、気を付けて行ってらっしゃいね。
大丈夫です、またきっと別の町でまたアカリさんとお会い出来る様な気がしますわ……」
そう言って、みんなで手を振って見送ってくれました。
思わず、涙が出そうになりました……
これも「一期一会」ですね。
という事で、長老さんとお付きの従者とアカリとニックの4人は長老さんの先導のもと深い霧を抜けて北にある小さな漁村に着きました。
村の名前は……
この地上界の文字の読み方をかぐら座のお姉さん達に習いはしたものの、今のアカリにはまだ読めません。
「戦術としては、二手に分かれて挟み撃ちを行う。
ワシとコイツ、アカリさんとその鳥じゃ。」
長老さんは、お付きの従者を人差し指で小突きます。
「どちらかが盗賊団と正面でカチ合い、どちらかが背後を突くという作戦じゃ。」
長老さんは、ニックを戦力と考えているんでしょうか?
ワタシ自身、ニックが単独で闘っている所をまだ見た事ないんですが……
「じゃから、くれぐれも見つからん様にこっそり行って……
まずは、相手の戦力を分析するんじゃ。
盗賊団『グランプス』の人数は何人か、使用するスキルの魔法系統……
総合的に判断して組みやすければ闘え。
組みにくそうだと判断したら、退却してでもワシらと合流する事を考えるんじゃぞ。
組みにくい相手と不利な状況を承知で闘うのは “ 蛮勇 ” と言って、誉められた行為では無いからの!」
アカリとニックは、コクンと頷きます。
「分かりました、長老さん……
では、行って来ます。」
「お姉ちゃん、行きましょー!」
長老さんはアカリとニックに頷き合うと、お付きの従者と別行動でどこかへ姿を晦ましてしまいました。
アカリとニックは、取り合えず北の漁村をぷらぷら歩く事にしてみました。
この村には陸地に民家が、浜辺には舟を格納する母屋が、それぞれ散在しています。
そして、所どころ舟の上で使うであろう巻き網が天日干しているのが見受けられます。
ザサッ……ザサッ……
打ち寄せる波の音と一緒に、仄かな潮の香りも立ち込めます。
「ニック、漁村って淋しいですよね。」
「ホント、寂れた村だよねー。」
「長老さんは、この村で何を見させたいんでしょう?」
「取り合えず、この村をグルッと見て回ろーよ!」
村を散策していると……
何か、村の中央でトラブルがあった様ですね。
乾物らしきものを屋台で売り捌いていた男の人を囲う様に、3人組が詰め寄って何やら大声で捲し立てています。
「ニック、見えますか?
あそこにチラッとシャチの頭が……」
よく見ると、全員シャチの毛皮を被っています。
どうやら、3人組はみんな盗賊団『グランプス』の様です。
相変わらず大声で捲し立てていたので、そろ~っと行って、会話の内容を盗み聞きしました♡
3人組はみんな大柄でゴツいんですけど、プロテインか何か飲んでいるんでしょうか?
先ほど闘った『メフィスト』なんてメじゃないくらい、ヤバい感じ……
アカリには、そんな感じに思えた様です。
「おい、乾物商!」
「は、ハイィィッッッ!」
「ギルドに属せねぇ『はぐれ商人』のオマエの依頼で、巨大な “ 乾物の横流しルート ” を潰してやったんだぜぇ?
それなのに、まだ成功報酬を貰ってねぇーんだよなぁ!」
「確か乾物って高値で取引されてるから、オマエみたいな『はぐれ商人』が後を立たねえんだよなぁ。
それだけ羽振りが良けりゃあ、すぐ払えるハズだよな……
ピンハネは許さねえぜぇ?」
「『闇』の取引は、裏の世界に生きるオレ達グランプスの独壇場なんだよぉ。
特に今回の様な “ シマのツブシ合い ” はなぁ!」
「うぅ……払いますよ、もう。
こっちに来て下せぇ……」
実際に見て、会話を聞いて分かった事があるんですが……
盗賊団『グランプス』って、“ 野盗集団 ” とかそんなチンケなレベルどころの群れではなかったです!
それどころか、ココにいる3人組はみんなプロの傭兵みたいな恐ろしい気を纏っているんデスが!
しかも、そうして金を吸い上げているお陰で、市場にはあまり物品が流通出来ていないみたい……
この盗賊団の実態を把握したアカリは、恐怖で思わずブルッと身体が震えました。
アカリとニックは、そっとその場から立ち退こうとしたんですが……?
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