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Episode.002 人間だけじゃないよ!

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 現在、海皇中学の学生食堂にて昼食を取りながら久し振りの再会に話に花を咲かせているこの2人。
スパゲティの皿にフォークをくるくる回しているのが2年B組の奉力院秀人で、サンドイッチをパクついているのが1年C組の上村京子です。

「はむはむはむ……
ほら、シュージン、あそこ見てみてよ。」

 京子はサンドイッチを頬張りながら、ある方向をつんつんっと指差します。

「ん?」

 秀人は丸めたスパゲッティをパクッと口に入れて、指差した方を見ます。

「あそこの女の子、そこの女の子、あの壁沿いに立ってる男の子、そこでひとり食べてる先生も……」

 果たして、京子が指差す先には何があるんでしょうか……?

「そうか、キョウコにも “ 視えて ” いるんだよな……アイツらが。」

 正確に言うと、秀人と京子にしか視えない世界があるんです。
先ほど京子が指差した男子生徒、女子生徒、そして先生に共通するもの、それは……

「だってあの人達、『異世界の住人』達と霊体レベルで融合した証として……
融合し切れなかった部分がヒラヒラはみ出して旗みたいになびいてるんだもん。」

 ただし、霊視出来ない他の子達は一切気付く事は無いんですけど。
いや、融合しちゃった子も恐らく気付いていないんではないでしょうか?

「まさか、コイツら……
『モンスターチルドレン』なのか……?」


 『モンスターチルドレン』って……
意味が合っていれば、最近よくテレビのニュースで見る “ アレ ” の事よね?


「え……何ソレ???」


 えっ、『モンスターチルドレン』って……そーゆー意味なの?


「よくラノベとかでも、『異世界転生』って言ってこちらの世界で死んだ人間が異世界で生まれ変わって、“ 異世界の住人 ” 達と闘ったって小説、一杯あるだろ?」

 秀人は京子に向かって、こんな事を言い出します。

「うんっ、私もよく読んだよ!」


 私もそのジャンルの小説はよく読むし……
それどころか、実際に “ 異世界の住人 ” 達に襲われた事もあるし!
どこから出て来たのか、今も分からないままだし!
どーやったのか分からないけど、気付いたらいつの間にかいなくなってたし!
そんな事があったから、“ 異世界の住人 ” 達の存在を信じろ!って言われたら理屈抜きで信じるしかないし。


 京子は、脳内で怒涛のセルフツッコミをカマします。

「それくらい、今や『異世界転生』って言葉はポピュラーになってるけど……
実は本当はさ……『異世界転生』出来るのは人間だけじゃ無いんだぜ?」


 へ?……『異世界転生』は人間サマだけのモノでは無いですと!?


「何と逆に、“ 異世界の住人 ” 達が『異世界転生』して人間としてこちらの世界にやって来る事もあるんだよ。
そんな異世界転生した異世界の住人達の事を、『モンスターチルドレン』って言うんだよ。
そして、あそこの先生みたいに異世界転生した異世界の住人達が人間の姿のまま誰にも気付かれずに大人になると、『モンスターペアレント』って名前に昇格するんだ。」


 まさか『モンスターペアレント』って、“ 出世魚扱い ” なの!?


「『モンスターチルドレン』も『モンスターペアレント』も、半分異世界の住人の血が入っているから、当然社会の規律みたいなのは存在しない。
己の杓子定規で行動しようとするから、社会に馴染めず社会に迷惑ばかりかけてしまうのがコイツらの共通する特徴なんだ。」


 やっぱり、最近よくテレビで見る “ アレ ” なんだぁ!
っていう事は、あの言葉の “ モンスター ” って……ホンモノの事だったの!??


「手っ取り早くコイツらをどうこうするには、人間の霊体とコイツら “ 異世界の住人 ” 達の霊体とを切り離してやれば異世界へ送り返してやれるんだが……
いかんせん、お互いの霊体が霊子レベルで結合しているから普通の人間では切り離すのは不可能なんだ。」


 だから、そんな『モンスターチルドレン』達を唯一相手に出来るシュージンに白羽の矢が立ったのね。


「そこで必要なのが、オレの……『奉力院流棒術』なんだ!
“ 異世界の住人 ” 達の霊子を断ち切る為に、オレの棒術は……棒の先をオレの霊子で伸ばすんだ。
だから、人間の霊体は伸ばしたオレの霊子の影響を直接受けなくてさ。
その結果、“ 組稽古 ” だと間合いが合わずに空振っちゃって『実戦では使えない棒術』って呼ばれちゃうんだよな。」

 ここまで聞いて、京子は秀人にある疑問をぶつけてみます。

「シュージンが『モンスターチルドレン』と相対する事になったのって、誰かからの依頼なの?」

 秀人は、首をぶんぶんと横に振ります。

「オレはただただ単に『モンスターチルドレン』って人種がキライだっただけさ。
たまたまその背後に “ 異世界の住人 ” 達の姿がチラ付いていたから、オマケでこんな事を趣味でしているだけ!」

 そして、秀人は京子に共闘しないかと持ち掛けます。

「京子もコイツらの姿が視えるんだろ?
どうだい、オレの助手としてこの学校に蔓延る『モンスターチルドレン』達を退治してやらないかい?」


















 確かに、京子にも生徒達の背後に融合する『モンスターチルドレン』の姿が視えます。
しかし、実は秀人と京子は彼らの視え方が違いますし、視える方法も違います。
それはすなわち、『モンスターチルドレン』との接し方の違いに繋がって来る事にも為りはしないのでしょうか?


 果たして、京子は秀人と行動を共にして行くのでしょうか……?
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