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第3章.地上界編
第50話.フェニックスと遭遇(その1)
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へべれけ♡になったワープホールのせいでワープの際に渦からの乱流に巻き込まれて誤って飛ばされた先は、シェリルの寝室では無くて……とある山の中腹でした。
そこでシェリルとサクラ、スーリア達3人が見つめる先には何と、立ったまま熟睡している不死鳥フェニックスの姿が!
何でこんな所にあんなモンスターが……?
とにかく、アレを起こさない様にこの場を離れないと……!
シェリルがフェニックスから逃げる算段を懸命に考えている、その横で……
スーリアはクスクス笑いながら、ワープホールをツンツン指でつつきます。
「結局、この子の転送機能は不調を来していたみたいですね……」
サクラは、めっ!って顔をして……
でも、優しく嗜めます。
「これからは『ワープホールの天日干し』は禁止よ、シェリルくん!」
そんでもって、シェリル、しょぼーん。
「はい……」
いやいやいや、待て待て待って~!
だから目の前にフェニックスがいるんですって……!
緊張感が無さ過ぎですよ、2人とも……!
サクラはようやく、目の前にいてこちらの様子をずっと伺っているフェニックスに気がついたみたいです。
「フェニックスの体躯中に燃え盛る紅い炎、そこから伸びる桃色の垂れ桜……
たぶん、あれが尻尾ね。キレイ……」
日本では、フェニックスは不死鳥として名前は存在するけど話で聞いたり絵本で出て来る “ 空想上の産物 ” と思われていました。
その知識が邪魔をして、サクラは実際に目の前にいるフェニックスにリアリティを今イチ感じられずにいる様です。
モノ珍しさに近寄ったり、触ったりすると危ないですって!
「アタシもサクラと一緒で、フェニックスを見るの初めてです!
向こうの日本でも、まずお目にかかれないんでしょうね!」
いやいやスーリアさん、アナタは地上界側の住人でしょ……
何で、異世界である日本の事を良く知ってる体で話してるの?
確かに、空を見上げると……
ごくたまに遥か上空で飛んでいるのを見かけますよ?
隕石と見間違える人もいますよ?
「だって、サクラがいっぱい教えてくれたからっ!」
あぁ、クルージングの間にサクラからその手の話を山ほど聞かされていたんですね。
なるほど、納得が……
「……キュル?」
しまった、フェニックスが起きてしまった様です!
ぼーっとしていた目をパチクリ開け、おもむろにゆっくり右を見て……左を見て……
そして、視界にシェリル達3人を捉えます。
「キュルル……キューッ!」
フェニックスの咆哮を聞いて、サクラとスーリアはあわあわと慌てふためきます!
サクラは、このフェニックスの咆哮で初めてリアリティを実感したらしいです。
実感した途端に今度は恐怖心が込み上げて来て、ぺたんと尻もちをついて動けなくなってしまったんです。
本当は咆哮などでは無く、ただフェニックスがあくびをしただけだったんですが……
「大丈夫よ、大丈夫だからっ、サクラ!」
そんなサクラをスーリアが身を呈して庇いながら励まし、自らも鼓舞し続けます。
しかしシェリルには、フェニックスがビックリした様子を見せず、むしろニヤッと笑った様に見えたのが気になりました。
逃げる、という手段が潰えた今、出来る事はたったひとつ……
「やっぱり、この状況ではフェニックスと闘うしか……
無いのかな……」
シェリルは、サクラとスーリアの前で身構えます。
「いくぞ、フェニックスっ!!!」
フェニックスに向かって叫び、ワードオーダーの力でピンクゴールドの曲剣を顕現させてワープホールを嵌め込みます。
黒洞乗剣の完成です!
そして、その流れで履いているカルソンの左ポケットから、折り畳んだマジックスクロールのうち1枚をランダムに握ります。
「うんっ、まさに今のボクの気分にピッタリだね!」
そして、シェリルはフェニックスに背中を向けたまま突進して行ったんです!
それを見て、フェニックスも口から火焔弾を放出します。
火焔弾はそのままシェリルに直撃します!
しかし、それと同時に……
「 ( インフィニティー…… ) 水流斬!」
シェリルの声が聞こえた途端、白い霧に吸い込まれる様に火焔が掻き消されてしまったんです!
「今、ボクが引いたのは青い紙……
水の力で火を相殺しましたからね、フェニックス!」
黒洞乗剣を構えるシェリルの勇姿を、サクラは涙を流して見つめています。
「元々は、逃げようって言ってたシェリルくんの忠告を聞かなかったワタシの落ち度なのに……
ワタシも、それを庇ってくれてるスーリアも両方とも救う為に、自ら盾になってくれるなんて……」
シェリルに感謝するのと同時に、恐怖心で腰が抜けて動けない自分を情けなく思うサクラなのでした。
そこでシェリルとサクラ、スーリア達3人が見つめる先には何と、立ったまま熟睡している不死鳥フェニックスの姿が!
何でこんな所にあんなモンスターが……?
とにかく、アレを起こさない様にこの場を離れないと……!
シェリルがフェニックスから逃げる算段を懸命に考えている、その横で……
スーリアはクスクス笑いながら、ワープホールをツンツン指でつつきます。
「結局、この子の転送機能は不調を来していたみたいですね……」
サクラは、めっ!って顔をして……
でも、優しく嗜めます。
「これからは『ワープホールの天日干し』は禁止よ、シェリルくん!」
そんでもって、シェリル、しょぼーん。
「はい……」
いやいやいや、待て待て待って~!
だから目の前にフェニックスがいるんですって……!
緊張感が無さ過ぎですよ、2人とも……!
サクラはようやく、目の前にいてこちらの様子をずっと伺っているフェニックスに気がついたみたいです。
「フェニックスの体躯中に燃え盛る紅い炎、そこから伸びる桃色の垂れ桜……
たぶん、あれが尻尾ね。キレイ……」
日本では、フェニックスは不死鳥として名前は存在するけど話で聞いたり絵本で出て来る “ 空想上の産物 ” と思われていました。
その知識が邪魔をして、サクラは実際に目の前にいるフェニックスにリアリティを今イチ感じられずにいる様です。
モノ珍しさに近寄ったり、触ったりすると危ないですって!
「アタシもサクラと一緒で、フェニックスを見るの初めてです!
向こうの日本でも、まずお目にかかれないんでしょうね!」
いやいやスーリアさん、アナタは地上界側の住人でしょ……
何で、異世界である日本の事を良く知ってる体で話してるの?
確かに、空を見上げると……
ごくたまに遥か上空で飛んでいるのを見かけますよ?
隕石と見間違える人もいますよ?
「だって、サクラがいっぱい教えてくれたからっ!」
あぁ、クルージングの間にサクラからその手の話を山ほど聞かされていたんですね。
なるほど、納得が……
「……キュル?」
しまった、フェニックスが起きてしまった様です!
ぼーっとしていた目をパチクリ開け、おもむろにゆっくり右を見て……左を見て……
そして、視界にシェリル達3人を捉えます。
「キュルル……キューッ!」
フェニックスの咆哮を聞いて、サクラとスーリアはあわあわと慌てふためきます!
サクラは、このフェニックスの咆哮で初めてリアリティを実感したらしいです。
実感した途端に今度は恐怖心が込み上げて来て、ぺたんと尻もちをついて動けなくなってしまったんです。
本当は咆哮などでは無く、ただフェニックスがあくびをしただけだったんですが……
「大丈夫よ、大丈夫だからっ、サクラ!」
そんなサクラをスーリアが身を呈して庇いながら励まし、自らも鼓舞し続けます。
しかしシェリルには、フェニックスがビックリした様子を見せず、むしろニヤッと笑った様に見えたのが気になりました。
逃げる、という手段が潰えた今、出来る事はたったひとつ……
「やっぱり、この状況ではフェニックスと闘うしか……
無いのかな……」
シェリルは、サクラとスーリアの前で身構えます。
「いくぞ、フェニックスっ!!!」
フェニックスに向かって叫び、ワードオーダーの力でピンクゴールドの曲剣を顕現させてワープホールを嵌め込みます。
黒洞乗剣の完成です!
そして、その流れで履いているカルソンの左ポケットから、折り畳んだマジックスクロールのうち1枚をランダムに握ります。
「うんっ、まさに今のボクの気分にピッタリだね!」
そして、シェリルはフェニックスに背中を向けたまま突進して行ったんです!
それを見て、フェニックスも口から火焔弾を放出します。
火焔弾はそのままシェリルに直撃します!
しかし、それと同時に……
「 ( インフィニティー…… ) 水流斬!」
シェリルの声が聞こえた途端、白い霧に吸い込まれる様に火焔が掻き消されてしまったんです!
「今、ボクが引いたのは青い紙……
水の力で火を相殺しましたからね、フェニックス!」
黒洞乗剣を構えるシェリルの勇姿を、サクラは涙を流して見つめています。
「元々は、逃げようって言ってたシェリルくんの忠告を聞かなかったワタシの落ち度なのに……
ワタシも、それを庇ってくれてるスーリアも両方とも救う為に、自ら盾になってくれるなんて……」
シェリルに感謝するのと同時に、恐怖心で腰が抜けて動けない自分を情けなく思うサクラなのでした。
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