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第3章.地上界編
第49話.異世界イイ旅夢気分(その3)
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サクラとスーリアの2人で、道端で笑顔のまま腰に片手を当てて、もう片方の手で親指をズビっと突き立てますが……
なかなか、馬車は停まってくれそうにありません。
「なかなか馬車、停まらないですねぇ。」
そりゃあそうでしょう、この異世界には “ ヒッチハイク ” なんて文化は無いんですから。
「もうちょっと頑張ってみましょうよ、スーリア!
諦めたらそこで、この旅も終了なのよ!」
どうやらサクラ、ヒッチハイクするのに必要な重要アイテムを思い出した様です!
「ん……何が足りないのかしら……
あっ、ひとつ足りないモノがあったわ!
シェリルくん、紙と書くモノない?」
「ゴソゴソゴソ……あっ、あったよ、趣味で持って来た画材道具一式!」
そう言って、シェリルは紙と黒炭の棒を取り出します。
まるで、これからデッサンを始めるみたい……
「それじゃあこの異世界の……ううん、シェリルくんが住んでいるスメルクト大陸の言葉で『ジェズ山に行きたい』って大きな字で書いて!」
シェリルは、サラサラっと紙いっぱいに『ジェズ山行き』と書きます。
サクラとスーリアは、その紙を持ちまた2人で笑顔で親指をズビっと突き立てます!
そうこうする内に、今度は割とサクッとジェズ山行きの馬車が見つかりました。
鶏肉を仕入れに行くおばさんです。
「スーリア、嬉しい時はこうするの!
“ ハイタッチ ” っていうのよ!
はい、シェリルくんも一緒に!」
パン! パン! パーン!
サクラは、シェリルとスーリアに手を高く上げてハイタッチの仕方を教えたんです。
「隣町までなら、乗せてあげてもいいわよっ!」
こうしてシェリル達3人は、無事に鶏肉の行商おばさんの馬車に乗せてもらう事が出来たのでした。
異世界での初ヒッチハイク、大成功です!
サクラとスーリアは、何か気になる事があるらしくしきりにクンクンと匂いを嗅いでいます。
「シェリルくん……何かイイ匂いがするわねぇ。」
「サクラ、コレってもしかして香水の匂いでしょうか……?」
シェリルは、ポリポリ頭を掻きながら……
「実は、このコなんだよね。」
そう言うシェリルの指の先をサクラとスーリアが見ると、その先には座っているシェリルの隣、行商用の木箱の上で……
ふにゃ~♡とへべれけで、オレンジのスライムみたいになっているワープホールが。
「実はクルージングの間に、ワープホールを天日干ししてみたんだよね。
そしたら……こうなっちゃった。」
『え~~っ!??』×2
ひょっとして、おばさんが馬車を停めてくれた理由って……
ワタシ達の美貌じゃなくて、このイイ匂いが原因だったんですか……?
ズーン……
サクラとスーリアは思わず、膝を付いてガックリと項垂れます。
そうこうしながら半日後、無事に隣町に着きました。
3人は、おばさんにお礼を言って別れます。
再びテクテク歩き出すと、サクラがシェリルの胸を指差して聞きました。
「そのワープホール、転送機能は大丈夫なんでしょうね?
へべれけになっても、ちゃんとシェリルくんの部屋と繋がってるの?」
「アタシ、次元の裂け目に放り込まれたらどうしましょう……」
おいっちにっさーんしっ、と屈伸運動を始めたシェリルを見て、サクラは聞きました。
「シェリルくん、何を……」
すると、ワープホールに手をかけてシェリルが言いました。
「ちょっと入って、確かめて来るんですよ。
ボク専用のワープホールなんだし、ボクが身体を張るのは当たり前でしょう。」
そう言われて、思わずサクラとスーリアが慌てます。
「わ、ワタシ達も行くわよっ!
シェリルくんに置いて行かれるくらいなら、次元の狭間に放り込まれた方がマシよっ!」
「もしシェリルさんが、そのまま二度と戻って来られなくなったら……
もしそうなったら、アタシっ……!」
スゴいです、ボクの禁忌の “ ダダ甘♡パワー ” !
2人の口からこんな、とんでもない言葉が出て来るんですから……
「心配性だなぁ、2人とも……
これからも、ずっと一緒だよ♪」
2人は、モーレツな勢いでコクコクコクコクと首を縦に振っています。
シェリルは、へべれけになっているワープホールをゆっくり開けてみました。
すると、ワープホールから霊気、魔気、瘴気、神気……
とにかく色んな気が渦を巻いて、一部飛び出して来ているではありませんか!
どう酔っ払ったら、こんな大惨事になるんですか……
「さぁ、ジャンプするからっ!
みんな、手を繋いで!」
「はいっ!」
「アタシ達、運命共同体っ!」
こうして、シェリル達3人はジャンプしたと同時に渦からの乱流に巻き込まれて忽然と消えてしまったんです。
・とある山
シェリル達は、無事にワープホールを通り抜ける事が出来た様です。
どうやら、次元の狭間に放り込まれるという最悪の事態は回避されたみたいです。
でも、いつものグレイシア邸の自分の部屋ではありません。
……時系列は一緒かな?
シェリルが空を見上げると、先ほど馬車の荷台から見た大きめの紅い星と小さめの蒼白い星が全く同じ位置で瞬いています。
過去とか未来に飛ばされた訳では無いみたいです。
……ここは一体、どこなんだろう?
辺りを見渡すと、一面切り立った岩壁ばかりです。
少し離れた場所に、ここを囲む様に雑木林があり……
眼下の遠く離れた場所には、何やら白い石碑が……
そして、シェリルはようやく理解したみたいです。
「ココは……山ですよ、サクラ、スーリアさん!」
サクラは、しょうがないなぁ!って顔をして軽く微笑みます。
「見れば分かるわよ、シェリルくん!」
すると、スーリアはある物体に気が付いた様です。
「シェリルさん、サクラ、あそこを見て……」
スーリアが指を差す方向をシェリルもサクラも見てみると、そこには……
なかなか、馬車は停まってくれそうにありません。
「なかなか馬車、停まらないですねぇ。」
そりゃあそうでしょう、この異世界には “ ヒッチハイク ” なんて文化は無いんですから。
「もうちょっと頑張ってみましょうよ、スーリア!
諦めたらそこで、この旅も終了なのよ!」
どうやらサクラ、ヒッチハイクするのに必要な重要アイテムを思い出した様です!
「ん……何が足りないのかしら……
あっ、ひとつ足りないモノがあったわ!
シェリルくん、紙と書くモノない?」
「ゴソゴソゴソ……あっ、あったよ、趣味で持って来た画材道具一式!」
そう言って、シェリルは紙と黒炭の棒を取り出します。
まるで、これからデッサンを始めるみたい……
「それじゃあこの異世界の……ううん、シェリルくんが住んでいるスメルクト大陸の言葉で『ジェズ山に行きたい』って大きな字で書いて!」
シェリルは、サラサラっと紙いっぱいに『ジェズ山行き』と書きます。
サクラとスーリアは、その紙を持ちまた2人で笑顔で親指をズビっと突き立てます!
そうこうする内に、今度は割とサクッとジェズ山行きの馬車が見つかりました。
鶏肉を仕入れに行くおばさんです。
「スーリア、嬉しい時はこうするの!
“ ハイタッチ ” っていうのよ!
はい、シェリルくんも一緒に!」
パン! パン! パーン!
サクラは、シェリルとスーリアに手を高く上げてハイタッチの仕方を教えたんです。
「隣町までなら、乗せてあげてもいいわよっ!」
こうしてシェリル達3人は、無事に鶏肉の行商おばさんの馬車に乗せてもらう事が出来たのでした。
異世界での初ヒッチハイク、大成功です!
サクラとスーリアは、何か気になる事があるらしくしきりにクンクンと匂いを嗅いでいます。
「シェリルくん……何かイイ匂いがするわねぇ。」
「サクラ、コレってもしかして香水の匂いでしょうか……?」
シェリルは、ポリポリ頭を掻きながら……
「実は、このコなんだよね。」
そう言うシェリルの指の先をサクラとスーリアが見ると、その先には座っているシェリルの隣、行商用の木箱の上で……
ふにゃ~♡とへべれけで、オレンジのスライムみたいになっているワープホールが。
「実はクルージングの間に、ワープホールを天日干ししてみたんだよね。
そしたら……こうなっちゃった。」
『え~~っ!??』×2
ひょっとして、おばさんが馬車を停めてくれた理由って……
ワタシ達の美貌じゃなくて、このイイ匂いが原因だったんですか……?
ズーン……
サクラとスーリアは思わず、膝を付いてガックリと項垂れます。
そうこうしながら半日後、無事に隣町に着きました。
3人は、おばさんにお礼を言って別れます。
再びテクテク歩き出すと、サクラがシェリルの胸を指差して聞きました。
「そのワープホール、転送機能は大丈夫なんでしょうね?
へべれけになっても、ちゃんとシェリルくんの部屋と繋がってるの?」
「アタシ、次元の裂け目に放り込まれたらどうしましょう……」
おいっちにっさーんしっ、と屈伸運動を始めたシェリルを見て、サクラは聞きました。
「シェリルくん、何を……」
すると、ワープホールに手をかけてシェリルが言いました。
「ちょっと入って、確かめて来るんですよ。
ボク専用のワープホールなんだし、ボクが身体を張るのは当たり前でしょう。」
そう言われて、思わずサクラとスーリアが慌てます。
「わ、ワタシ達も行くわよっ!
シェリルくんに置いて行かれるくらいなら、次元の狭間に放り込まれた方がマシよっ!」
「もしシェリルさんが、そのまま二度と戻って来られなくなったら……
もしそうなったら、アタシっ……!」
スゴいです、ボクの禁忌の “ ダダ甘♡パワー ” !
2人の口からこんな、とんでもない言葉が出て来るんですから……
「心配性だなぁ、2人とも……
これからも、ずっと一緒だよ♪」
2人は、モーレツな勢いでコクコクコクコクと首を縦に振っています。
シェリルは、へべれけになっているワープホールをゆっくり開けてみました。
すると、ワープホールから霊気、魔気、瘴気、神気……
とにかく色んな気が渦を巻いて、一部飛び出して来ているではありませんか!
どう酔っ払ったら、こんな大惨事になるんですか……
「さぁ、ジャンプするからっ!
みんな、手を繋いで!」
「はいっ!」
「アタシ達、運命共同体っ!」
こうして、シェリル達3人はジャンプしたと同時に渦からの乱流に巻き込まれて忽然と消えてしまったんです。
・とある山
シェリル達は、無事にワープホールを通り抜ける事が出来た様です。
どうやら、次元の狭間に放り込まれるという最悪の事態は回避されたみたいです。
でも、いつものグレイシア邸の自分の部屋ではありません。
……時系列は一緒かな?
シェリルが空を見上げると、先ほど馬車の荷台から見た大きめの紅い星と小さめの蒼白い星が全く同じ位置で瞬いています。
過去とか未来に飛ばされた訳では無いみたいです。
……ここは一体、どこなんだろう?
辺りを見渡すと、一面切り立った岩壁ばかりです。
少し離れた場所に、ここを囲む様に雑木林があり……
眼下の遠く離れた場所には、何やら白い石碑が……
そして、シェリルはようやく理解したみたいです。
「ココは……山ですよ、サクラ、スーリアさん!」
サクラは、しょうがないなぁ!って顔をして軽く微笑みます。
「見れば分かるわよ、シェリルくん!」
すると、スーリアはある物体に気が付いた様です。
「シェリルさん、サクラ、あそこを見て……」
スーリアが指を差す方向をシェリルもサクラも見てみると、そこには……
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