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第3章.地上界編
第47話.異世界イイ旅夢気分(その1)
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フィリルから行きの旅費を貰って、両手を振ってグレイシア邸を後にしたシェリルとサクラ、スーリアの3人は現在、アルカディア大陸へと向かっています。
まずは、グレイシア邸のある樹上都市コキアにて、アルカディア大陸へと運航する定期船を探してみます。
「見て、シェリル!
いつ見ても、大きな花よねぇ……」
シェリル達が見上げると、そこには神樹イグドラシルの一番頂上までせり上がっている、純白の巨花。
しかし、下から登って巨花へ到達する事が事実上不可能な為……
巨花は常に、いつの時代でも “ 裏側しか ” 見る事が出来ません。
「でも、アレのお陰でコキアは年中涼しい気候をキープ出来ているんですもん。」
スーリアは言いました。
続いてシェリル達は、「港湾エリア」のある神樹イグドラシルの地上根まで降りて行きました。
すると、サクラは自分の懐からあるモノを取り出してシェリルに手渡します。
「はいっシェリルくん、これから人混みの中を掻き分けて進むから……
『クリーチャー』の力を少しでも削ぎたいから、コレを付けてみて!」
そう言ってシェリルに手渡したのは、サングラスです!
「コレはワタシの世界、日本にある『サングラス』っていう黒い眼鏡なの。
コレを付けていれば、街行く人達と目と目を合わさずに済むと思うのよ。」
シェリルは、サングラスをくるくる回して色んな方向から覗き見しながら???と考えています。
「コレ、どーやって使えばイイの?」
するとサクラはサングラスを両耳に引っ掛けて、黒レンズが目の所に来る様に合わせてあげます。
あっ、両耳の引っ掛ける所に超有名メーカーのロゴが見えた様な、見えなかった様な……
「この眼鏡はこーやって掛けるのよ、シェリルくん!」
日本には、こんな便利なシロモノもあるんです。
さすがはシェリルの許嫁なだけあって、気の利く女の子です。
でも、ココでは人目に付くので……
「ありがとね、サクラ!」
シェリルはサクラの頬に、さり気なく軽くチュッとキスをしたのでした。
……う~ん、カッコいいっ、シェリルくん♡
女の子達は2人、シェリルの後ろでハイタッチして大喜び!
そして港湾エリア、通称 “ コキア港 ” に着いたシェリル達はぶ厚い観光ファイルブックを両腕でうんしょ、うんしょっと抱えて『船着場窓口センター』へ向かいます。
そこでは、栗色の長い髪を頭の後ろで丸めてピンで留めた受付嬢のお姉さんが、カウンター越しに座っています。
グリスを塗った、ツヤツヤとしたぷっくり唇……
ぼーっと遠くを見ている、有閑マダム風の憂いのある瞳……
さすが、オトナの女性って感じです。
実際の所は、ただ受付嬢の仕事が連日ハードワークで疲れもピークに達していただけだったんですが……
「いらっしゃいませ、コキア港船着場窓口センターでござ……」
ズキューン……♡
え、アタシ……
身も知らぬ男の子なのに、なんでこんなに胸がトキメイちゃってる♡の……?
目を合わせるのもハズカシーっ!
「お姉さん、笑った顔も可愛くて素敵ですね。」
シェリルにニコッと笑ってそう言われた受付嬢のお姉さんは……
「あなたとあなたと……そこのあなた。
大人料金じゃなくて子供料金で……
ううんっ、お姉ちゃんがサービスしてあげるからタダで乗って行ってね♪
この事は、誰にもナイショよ!
……あなた達、アルカディア大陸に行きたいのね?
直通の観光船は無いけど、お隣のトンポイ大陸に行く観光船ならあるわ。
そこで馬車に乗り換えて、トルソー大橋を渡ってアルカディア大陸に抜けるルートになるのよ。
ホラ、あそこから出るから間違えない様にね♪」
シーって人差し指を立てて唇に近付けながら、小声でサービスしてくれました♡
そんなシェリルの後ろで、サクラとスーリアが小声でヒソヒソ話をしています。
「あ~ぁ、この受付嬢のお姉さんもたぶん『ダダ甘♡耐性』がそーとー低いわよ。」
「そうでしょうね。
だって、シェリルさんが眼鏡を付けているにも関わらず……
明らかに瞳が♡ですもん、ふぅ。」
そう言いつつもサクラとスーリアの顔、ニィッと笑っているのはナゼ?
「でもスーリア、この旅……
相当オイシイ思い出来るって思わない?」
「そうですねっ、フフッ♪」
サクラとスーリアは同世代だからなのか、いつの間にかお互いにフルネームで呼び合えるくらい意気投合しています。
だからクリーチャーの……
『禁忌』の力をそんな事に悪用しちゃダメですって!……もぉ。
女心に疎い当の本人だけは、“ 職権乱用 ” と言われても仕方ないこの状況にひとり頭を抱えるのでした。
ホント、根が真面目過ぎる少年なんです。
受付嬢のお姉さんは、ふと先程からシェリルが両手で抱えているぶ厚いファイルブックに目が留まりました。
「それにしてもあなた、観光案内にまたぶ厚い本を持って来たのね~。
重いし両手も塞がるしで、大変でしょう?
……あっ、ちょっと待って!」
そう言って、受付の女性は受付の部屋の奥でガサゴソして何やら持って来ました。
「コレは『空間収納』って言って、異次元空間に物を自由に出し入れする事が出来るマジックアイテムなのよ。」
そう言って、受付の女性が渡してくれたのは……
「うわぁ、私のいる世界でいう『がま口のお財布』みたいねぇ!」
サクラが、懐かしそうにその名前を口に出します。
「ありがとう、お姉さん!
用事が済んだら、後でちゃんと返しに行きますから!」
「イイわよっ、そんな事しなくて!
あなたにあげるわ。
コレを使って、彼女さんをしっかりエスコートするのよ!」
さて、問題です。
あくまでも受付のお姉さんの目線から見て、なんですけど……
傍に寄り添うサクラと慎ましく半歩下がるスーリア、どちらの方がシェリルの彼女に見えたんでしょうか?
まずは、グレイシア邸のある樹上都市コキアにて、アルカディア大陸へと運航する定期船を探してみます。
「見て、シェリル!
いつ見ても、大きな花よねぇ……」
シェリル達が見上げると、そこには神樹イグドラシルの一番頂上までせり上がっている、純白の巨花。
しかし、下から登って巨花へ到達する事が事実上不可能な為……
巨花は常に、いつの時代でも “ 裏側しか ” 見る事が出来ません。
「でも、アレのお陰でコキアは年中涼しい気候をキープ出来ているんですもん。」
スーリアは言いました。
続いてシェリル達は、「港湾エリア」のある神樹イグドラシルの地上根まで降りて行きました。
すると、サクラは自分の懐からあるモノを取り出してシェリルに手渡します。
「はいっシェリルくん、これから人混みの中を掻き分けて進むから……
『クリーチャー』の力を少しでも削ぎたいから、コレを付けてみて!」
そう言ってシェリルに手渡したのは、サングラスです!
「コレはワタシの世界、日本にある『サングラス』っていう黒い眼鏡なの。
コレを付けていれば、街行く人達と目と目を合わさずに済むと思うのよ。」
シェリルは、サングラスをくるくる回して色んな方向から覗き見しながら???と考えています。
「コレ、どーやって使えばイイの?」
するとサクラはサングラスを両耳に引っ掛けて、黒レンズが目の所に来る様に合わせてあげます。
あっ、両耳の引っ掛ける所に超有名メーカーのロゴが見えた様な、見えなかった様な……
「この眼鏡はこーやって掛けるのよ、シェリルくん!」
日本には、こんな便利なシロモノもあるんです。
さすがはシェリルの許嫁なだけあって、気の利く女の子です。
でも、ココでは人目に付くので……
「ありがとね、サクラ!」
シェリルはサクラの頬に、さり気なく軽くチュッとキスをしたのでした。
……う~ん、カッコいいっ、シェリルくん♡
女の子達は2人、シェリルの後ろでハイタッチして大喜び!
そして港湾エリア、通称 “ コキア港 ” に着いたシェリル達はぶ厚い観光ファイルブックを両腕でうんしょ、うんしょっと抱えて『船着場窓口センター』へ向かいます。
そこでは、栗色の長い髪を頭の後ろで丸めてピンで留めた受付嬢のお姉さんが、カウンター越しに座っています。
グリスを塗った、ツヤツヤとしたぷっくり唇……
ぼーっと遠くを見ている、有閑マダム風の憂いのある瞳……
さすが、オトナの女性って感じです。
実際の所は、ただ受付嬢の仕事が連日ハードワークで疲れもピークに達していただけだったんですが……
「いらっしゃいませ、コキア港船着場窓口センターでござ……」
ズキューン……♡
え、アタシ……
身も知らぬ男の子なのに、なんでこんなに胸がトキメイちゃってる♡の……?
目を合わせるのもハズカシーっ!
「お姉さん、笑った顔も可愛くて素敵ですね。」
シェリルにニコッと笑ってそう言われた受付嬢のお姉さんは……
「あなたとあなたと……そこのあなた。
大人料金じゃなくて子供料金で……
ううんっ、お姉ちゃんがサービスしてあげるからタダで乗って行ってね♪
この事は、誰にもナイショよ!
……あなた達、アルカディア大陸に行きたいのね?
直通の観光船は無いけど、お隣のトンポイ大陸に行く観光船ならあるわ。
そこで馬車に乗り換えて、トルソー大橋を渡ってアルカディア大陸に抜けるルートになるのよ。
ホラ、あそこから出るから間違えない様にね♪」
シーって人差し指を立てて唇に近付けながら、小声でサービスしてくれました♡
そんなシェリルの後ろで、サクラとスーリアが小声でヒソヒソ話をしています。
「あ~ぁ、この受付嬢のお姉さんもたぶん『ダダ甘♡耐性』がそーとー低いわよ。」
「そうでしょうね。
だって、シェリルさんが眼鏡を付けているにも関わらず……
明らかに瞳が♡ですもん、ふぅ。」
そう言いつつもサクラとスーリアの顔、ニィッと笑っているのはナゼ?
「でもスーリア、この旅……
相当オイシイ思い出来るって思わない?」
「そうですねっ、フフッ♪」
サクラとスーリアは同世代だからなのか、いつの間にかお互いにフルネームで呼び合えるくらい意気投合しています。
だからクリーチャーの……
『禁忌』の力をそんな事に悪用しちゃダメですって!……もぉ。
女心に疎い当の本人だけは、“ 職権乱用 ” と言われても仕方ないこの状況にひとり頭を抱えるのでした。
ホント、根が真面目過ぎる少年なんです。
受付嬢のお姉さんは、ふと先程からシェリルが両手で抱えているぶ厚いファイルブックに目が留まりました。
「それにしてもあなた、観光案内にまたぶ厚い本を持って来たのね~。
重いし両手も塞がるしで、大変でしょう?
……あっ、ちょっと待って!」
そう言って、受付の女性は受付の部屋の奥でガサゴソして何やら持って来ました。
「コレは『空間収納』って言って、異次元空間に物を自由に出し入れする事が出来るマジックアイテムなのよ。」
そう言って、受付の女性が渡してくれたのは……
「うわぁ、私のいる世界でいう『がま口のお財布』みたいねぇ!」
サクラが、懐かしそうにその名前を口に出します。
「ありがとう、お姉さん!
用事が済んだら、後でちゃんと返しに行きますから!」
「イイわよっ、そんな事しなくて!
あなたにあげるわ。
コレを使って、彼女さんをしっかりエスコートするのよ!」
さて、問題です。
あくまでも受付のお姉さんの目線から見て、なんですけど……
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