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第3章.地上界編
第45話.「ジョブ大全」とは(その2)
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『スキル大全』の一節、【禁都プルグ】の話って……
あくまで『禁忌』の力に侵された者が2人以上いないと成り立たないお話でしょ?
しかも、この2人がぶつかった後は廃墟しか残らないって……
結局、誰も救えていないじゃないですか。
それを踏まえた上で、それでもこのお話をカズマお兄さんの救出のヒントにしようとすると……
やはり『禁忌』の力を有する者が、最低でももうひとりこの世に実在していなければなりません。
それにもし実在していたとしても、瀕死のカズマお兄さんを救う手助けをしてくれるとは限りません。
「そんな、都合良くお兄ちゃん以外に『禁忌の力』を体躯に宿している人なんているの?」
そんなサクラの問いかけにリフィは、言葉を選んでゆっくりと語りかけます。
「それがね、カズマさんの他にこの世にたった1人だけいるのよ。
『禁忌スキル』の二次的被害として、“ 解除不能な呪いにより地上界をパンデミック状態にしている ” 人がね!」
それって、まさか……ね?
フィリルが、リフィからバトンタッチを受けてシェリルとサクラに優しく話しかけたんです。
「シェリル、これから言う話をよく聞いてぇ~!
サクラさんにも聞いて欲しいの。
シェリル、最近やたら女の子が貴方に甘えて来る事ない?
貴方の為に、手取り足取りって言うかぁ~。」
それは、日本でのキョウコとの特訓の時に感じていました。
特訓って割には、訓練器具が揃い過ぎているし……
毎日の食事は、どこで調べたのかボクの好きなものばかり入ってるし……
おばあちゃんが過剰なくらい構ってくれるし……
サクラとベタベタしながら特訓するのもOKだし……
母さんも平気な顔して乗り込んで来れるくらい、空気はピリピリしてないし……
何か、至れり尽くせりって感じだったんですよね。
そう、確かにボクの周りの女の子はみんなダダ甘♡になって行くんです。
何でなんでしょうか……?
「シェリル、不思議そうな顔をしているわねぇ~。
その理由は、この本に書いてあるのぉ~!」
フィリルは『ジョブ大全』のページを捲って、あるページを指差しました。
【隷属師】───────────
レア度:禁忌
特徴:獣着師と双璧を為すテイム系のレアジョブ。
『獣着師』は主にモンスターをテイムするのに対し、
『隷属師』は主に冒険者をテイムする。
冒険者のテイム状態は強制的に発動し、二度と解ける事は無い。
目と目が合ったそれだけでテイム状態が発動してしまう『速放性』、そしてこの縛りが一生消えないと言う恐るべき『中毒性』の高さ、それこそクリーチャーのみ禁忌のスキルに該当された一番の理由である。
異性の方が縛りが強い、薄着である程縛りが強い、という特徴も有している。
────────────────
「まさに、シェリルの場合はこのクリーチャーの特徴とそっくりなのよぉ~!」
シェリルとサクラは、喰い入る様にそのページを読み返します。
【シェリルの心中】
確かに、この禁忌のスキルの効果がボクの周りの女の子を『ダダ甘♡にしている』って考えると……
「強制的にテイム状態と同じ形にする」のが “ 解除不能な呪い ” に該当します。
しかも、この禁忌のスキルはボクを意識しただけで直接関わりの無い女性でも「ダダ甘♡状態」になるらしいんです。
ヘタをすれば、容易に歯止めが効かなくなり “ パンデミック状態 ” に移行してしまう、と解釈すると辻褄が合います。
って事は……『禁忌』の力に侵されたもうひとりの人って、ボクの事だったの?
シェリルは初めて、自分の “ 業 ” を思い知ります。
でも、それは……
【サクラの心中】
えっ、私のシェリルくんへの愛ってこの禁忌のスキルの効果による『ニセモノの愛』だって事なの……!?
サクラはそこで、シェリルを “ 愛する覚悟 ” が試される事になります。
でも、それは……
2人は、手と手を貝殻つなぎに繋いでこう宣言しました!
『ボク達の(私達の)愛は、この禁忌のジョブが創り出した “ 幻 ” なんかじゃない(ありません)!』×2
シェリルとサクラの声がハモりました!
『禁忌』関連の項目の説明を受けて、その場で即座に否定したんです!
カメルも、うんうんと大きく頷いて喜んでいます。
「否定するのも、2人同時じゃのぉ!
でも、それはイイ事なんじゃぞ!
2人、本当にココロから繋がっとるって事じゃからな!
ワシ等も、そこを心配しとったんじゃ。」
フィリルも、母親としてホッと胸を撫で下ろしています。
「だから、カズマさんを『禁忌』の力から、死の縁から救い出せるのはこの世でひとり、シェリルしかいないのよ!
『禁忌』の力を制するのは『禁忌』の力のみ、って可能性が正しいかどうかは分からないけど……
今の私達では『禁忌』の力を抑え込む事が出来ないのは、間違いない事実なのよ。」
フィリルは、自分の手のひらを見て唇を噛み締めます。
そんなフィリルを見て、キョウコはカズマの身に起こったもうひとつの事実もフィリルに伝えます。
「フィリルの今の発言を聞いて、もうひとつ伝えておきたい事があるのよ。
実は、カズマの霊体を蝕む黒い光の他にもうひとつ……
まるで “ 癒しの光 ” みたいなシャンパンゴールドの “ 帯 ” も身体に巻き付いていたのよ。
まるで黒い光と癒しの光、相反する2つの光が拮抗していたみたいだったわ。
フィリル、何かココロ当たり……ある?」
「ん……分からないわぁ~。
でも、ココロ当たりなら……ない事も無いかもぉ~。」
『禁忌の力』からの唯一の生存者である、フィリルからのアドバイス……
果たして、どんな人物と引き合わせてくれるんでしょうか?
あくまで『禁忌』の力に侵された者が2人以上いないと成り立たないお話でしょ?
しかも、この2人がぶつかった後は廃墟しか残らないって……
結局、誰も救えていないじゃないですか。
それを踏まえた上で、それでもこのお話をカズマお兄さんの救出のヒントにしようとすると……
やはり『禁忌』の力を有する者が、最低でももうひとりこの世に実在していなければなりません。
それにもし実在していたとしても、瀕死のカズマお兄さんを救う手助けをしてくれるとは限りません。
「そんな、都合良くお兄ちゃん以外に『禁忌の力』を体躯に宿している人なんているの?」
そんなサクラの問いかけにリフィは、言葉を選んでゆっくりと語りかけます。
「それがね、カズマさんの他にこの世にたった1人だけいるのよ。
『禁忌スキル』の二次的被害として、“ 解除不能な呪いにより地上界をパンデミック状態にしている ” 人がね!」
それって、まさか……ね?
フィリルが、リフィからバトンタッチを受けてシェリルとサクラに優しく話しかけたんです。
「シェリル、これから言う話をよく聞いてぇ~!
サクラさんにも聞いて欲しいの。
シェリル、最近やたら女の子が貴方に甘えて来る事ない?
貴方の為に、手取り足取りって言うかぁ~。」
それは、日本でのキョウコとの特訓の時に感じていました。
特訓って割には、訓練器具が揃い過ぎているし……
毎日の食事は、どこで調べたのかボクの好きなものばかり入ってるし……
おばあちゃんが過剰なくらい構ってくれるし……
サクラとベタベタしながら特訓するのもOKだし……
母さんも平気な顔して乗り込んで来れるくらい、空気はピリピリしてないし……
何か、至れり尽くせりって感じだったんですよね。
そう、確かにボクの周りの女の子はみんなダダ甘♡になって行くんです。
何でなんでしょうか……?
「シェリル、不思議そうな顔をしているわねぇ~。
その理由は、この本に書いてあるのぉ~!」
フィリルは『ジョブ大全』のページを捲って、あるページを指差しました。
【隷属師】───────────
レア度:禁忌
特徴:獣着師と双璧を為すテイム系のレアジョブ。
『獣着師』は主にモンスターをテイムするのに対し、
『隷属師』は主に冒険者をテイムする。
冒険者のテイム状態は強制的に発動し、二度と解ける事は無い。
目と目が合ったそれだけでテイム状態が発動してしまう『速放性』、そしてこの縛りが一生消えないと言う恐るべき『中毒性』の高さ、それこそクリーチャーのみ禁忌のスキルに該当された一番の理由である。
異性の方が縛りが強い、薄着である程縛りが強い、という特徴も有している。
────────────────
「まさに、シェリルの場合はこのクリーチャーの特徴とそっくりなのよぉ~!」
シェリルとサクラは、喰い入る様にそのページを読み返します。
【シェリルの心中】
確かに、この禁忌のスキルの効果がボクの周りの女の子を『ダダ甘♡にしている』って考えると……
「強制的にテイム状態と同じ形にする」のが “ 解除不能な呪い ” に該当します。
しかも、この禁忌のスキルはボクを意識しただけで直接関わりの無い女性でも「ダダ甘♡状態」になるらしいんです。
ヘタをすれば、容易に歯止めが効かなくなり “ パンデミック状態 ” に移行してしまう、と解釈すると辻褄が合います。
って事は……『禁忌』の力に侵されたもうひとりの人って、ボクの事だったの?
シェリルは初めて、自分の “ 業 ” を思い知ります。
でも、それは……
【サクラの心中】
えっ、私のシェリルくんへの愛ってこの禁忌のスキルの効果による『ニセモノの愛』だって事なの……!?
サクラはそこで、シェリルを “ 愛する覚悟 ” が試される事になります。
でも、それは……
2人は、手と手を貝殻つなぎに繋いでこう宣言しました!
『ボク達の(私達の)愛は、この禁忌のジョブが創り出した “ 幻 ” なんかじゃない(ありません)!』×2
シェリルとサクラの声がハモりました!
『禁忌』関連の項目の説明を受けて、その場で即座に否定したんです!
カメルも、うんうんと大きく頷いて喜んでいます。
「否定するのも、2人同時じゃのぉ!
でも、それはイイ事なんじゃぞ!
2人、本当にココロから繋がっとるって事じゃからな!
ワシ等も、そこを心配しとったんじゃ。」
フィリルも、母親としてホッと胸を撫で下ろしています。
「だから、カズマさんを『禁忌』の力から、死の縁から救い出せるのはこの世でひとり、シェリルしかいないのよ!
『禁忌』の力を制するのは『禁忌』の力のみ、って可能性が正しいかどうかは分からないけど……
今の私達では『禁忌』の力を抑え込む事が出来ないのは、間違いない事実なのよ。」
フィリルは、自分の手のひらを見て唇を噛み締めます。
そんなフィリルを見て、キョウコはカズマの身に起こったもうひとつの事実もフィリルに伝えます。
「フィリルの今の発言を聞いて、もうひとつ伝えておきたい事があるのよ。
実は、カズマの霊体を蝕む黒い光の他にもうひとつ……
まるで “ 癒しの光 ” みたいなシャンパンゴールドの “ 帯 ” も身体に巻き付いていたのよ。
まるで黒い光と癒しの光、相反する2つの光が拮抗していたみたいだったわ。
フィリル、何かココロ当たり……ある?」
「ん……分からないわぁ~。
でも、ココロ当たりなら……ない事も無いかもぉ~。」
『禁忌の力』からの唯一の生存者である、フィリルからのアドバイス……
果たして、どんな人物と引き合わせてくれるんでしょうか?
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