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第2章.日本編
第35話.試験の前にすべき事(その1)
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突然現れたフィリルを見て、ビックリしていたのはシェリルだけではありません。
その横で、桜も目を丸くしています。
しかし、驚きの観点がシェリルとは少し違うみたいで……
「お義母さん、姿がちょっと透けて “ 視えて ” いるみたいなんですけど?
大丈夫なんですか?」
ボクも目を疑い、思わずゴシゴシ指の甲で目を擦ってしまいました。
そう言われてみれば、確かに母さん……ちょっと薄いかも……
「あら、そう言えば桜さんにこの姿を視せたのは初めてだったわね。
そう、コレが私の種族スキル『無限探査』よぉ~!
対象物のニオイが予めインプットされていれば、例えどんな場所に隠れていても、違う次元に跳んでいても探し当てられるのよねぇ~。
桜さんのニオイも覚えたいから……ちょっと嗅がさせて貰うわね♪」
フィリルはそう言ってパッと消えたと思った次の瞬間、気付けばもうすでに桜の傍らにいてクンカクンカ鼻先を近付けてニオイを嗅いでいるではありませんか!
何か、ワンコみたいでカワイイ……です♡
「コレは、私の霊体の部分だけが外に飛び出た、言わば私の分身なのよぉ~!
だから、ちょ~っとカゲが薄いでしょぉ~?
だけど、存在感は薄くならないから安心してねぇ~!
つまり、私の本体から離れてこの姿でシェリルの許へコッソリひとっ飛び!
そしてシェリルが仕留めた瀕死のモンスター達を、シェリルにバレないよーにこの日本から異世界のスメルクト大陸へと送り返していたってワケ!
ちなみにシェリルのニオイも京子様のニオイもすでにインプット済みだから、探すのラクだったわよぉ~!」
いえいえ、今のこの行為だけで充分存在感を発揮していますって……
フィリルは桜に、ニオイを嗅がせてくれてありがとね、とニッコリ笑って頭を撫でてイイコイイコしてあげています。
桜も笑いながら目を瞑り、肩を狭めてとても嬉しそうです。
「へぇ~、私初めて見たけどあの剣がシェリル版の『黒洞乗剣』なのね……」
「コクドー……ジョーケン……?」
今出揃っているメンバーの中で、日本組の京子と共に漢字読みが理解出来る桜が首を傾げます。
桜が意味を理解出来る様に、京子がフォローします。
「黒洞ってね、“ ブラックホール ” って意味なのよ。
あのワープホール、何でも吸い込みそうだから私がそう名付けたのよ。
それを剣に乗せて闘うから、『黒洞乗剣』なのよ!
カッコいいネーミングじゃない、桜!」
京子はニヤリと笑い、ふんっ!と自慢げに胸を反らしています。
今度から、シェリルの技はコレを名乗る事になりそうです。
シェリルがタハハハハ……と頭をポリポリ掻いていると、京子があっ!と思い出した様に口を開きました。
「シェリルさん、せっかくフィリルも見に来てくれてる事だし……
もうそろそろ、『卒業試験』をしてもイイ頃合いなんじゃないの?って思うのよ!」
えっ……『卒業試験』ですか……?
「それでフィリル、貴女のその姿は霊体なんでしょ?
『卒業試験』まで、その姿は保てるの?」
「たぶん大丈夫だと思うわよぉ~!
私もシェリルの勇姿と晴れ姿、見届けたいものぉ~!」
その時、突然家の中から声が!
「ご主人さまぁ、和諒様からもうすぐ帰ると連絡がありましたコン!」
先程ユキちゃんが連絡を受けたみたいで、そう言いながらパタパタ走って来ました。
「いつも連絡ありがとうね、ユキ!」
「どういたしましてですコン!」
ユキは、京子のねぎらいの言葉をニッコリと満面の笑みで返します。
シェリルが愛想を振り撒いてるユキにドギマギしているのを見て、桜も負けじと腕を絡めてニャンニャンして来ます。
でも、気のせいかなー、笑顔の瞳に嫉妬の炎が入り混じってるよーな……
目が全然笑ってないよー。
あ、それたぶん、無意識にボクの鼻の下が伸びてたからかなー。
それとも、ドギマギしちゃったせいでボクの中のダダ甘成分を過剰に放出させちゃってるからかなー。
私の方だけ見て!って目で訴えているのかなー。
「ほらシェリルくん、もうすぐお兄ちゃんが帰って来るってばぁ!」
……へ?
その横で、桜も目を丸くしています。
しかし、驚きの観点がシェリルとは少し違うみたいで……
「お義母さん、姿がちょっと透けて “ 視えて ” いるみたいなんですけど?
大丈夫なんですか?」
ボクも目を疑い、思わずゴシゴシ指の甲で目を擦ってしまいました。
そう言われてみれば、確かに母さん……ちょっと薄いかも……
「あら、そう言えば桜さんにこの姿を視せたのは初めてだったわね。
そう、コレが私の種族スキル『無限探査』よぉ~!
対象物のニオイが予めインプットされていれば、例えどんな場所に隠れていても、違う次元に跳んでいても探し当てられるのよねぇ~。
桜さんのニオイも覚えたいから……ちょっと嗅がさせて貰うわね♪」
フィリルはそう言ってパッと消えたと思った次の瞬間、気付けばもうすでに桜の傍らにいてクンカクンカ鼻先を近付けてニオイを嗅いでいるではありませんか!
何か、ワンコみたいでカワイイ……です♡
「コレは、私の霊体の部分だけが外に飛び出た、言わば私の分身なのよぉ~!
だから、ちょ~っとカゲが薄いでしょぉ~?
だけど、存在感は薄くならないから安心してねぇ~!
つまり、私の本体から離れてこの姿でシェリルの許へコッソリひとっ飛び!
そしてシェリルが仕留めた瀕死のモンスター達を、シェリルにバレないよーにこの日本から異世界のスメルクト大陸へと送り返していたってワケ!
ちなみにシェリルのニオイも京子様のニオイもすでにインプット済みだから、探すのラクだったわよぉ~!」
いえいえ、今のこの行為だけで充分存在感を発揮していますって……
フィリルは桜に、ニオイを嗅がせてくれてありがとね、とニッコリ笑って頭を撫でてイイコイイコしてあげています。
桜も笑いながら目を瞑り、肩を狭めてとても嬉しそうです。
「へぇ~、私初めて見たけどあの剣がシェリル版の『黒洞乗剣』なのね……」
「コクドー……ジョーケン……?」
今出揃っているメンバーの中で、日本組の京子と共に漢字読みが理解出来る桜が首を傾げます。
桜が意味を理解出来る様に、京子がフォローします。
「黒洞ってね、“ ブラックホール ” って意味なのよ。
あのワープホール、何でも吸い込みそうだから私がそう名付けたのよ。
それを剣に乗せて闘うから、『黒洞乗剣』なのよ!
カッコいいネーミングじゃない、桜!」
京子はニヤリと笑い、ふんっ!と自慢げに胸を反らしています。
今度から、シェリルの技はコレを名乗る事になりそうです。
シェリルがタハハハハ……と頭をポリポリ掻いていると、京子があっ!と思い出した様に口を開きました。
「シェリルさん、せっかくフィリルも見に来てくれてる事だし……
もうそろそろ、『卒業試験』をしてもイイ頃合いなんじゃないの?って思うのよ!」
えっ……『卒業試験』ですか……?
「それでフィリル、貴女のその姿は霊体なんでしょ?
『卒業試験』まで、その姿は保てるの?」
「たぶん大丈夫だと思うわよぉ~!
私もシェリルの勇姿と晴れ姿、見届けたいものぉ~!」
その時、突然家の中から声が!
「ご主人さまぁ、和諒様からもうすぐ帰ると連絡がありましたコン!」
先程ユキちゃんが連絡を受けたみたいで、そう言いながらパタパタ走って来ました。
「いつも連絡ありがとうね、ユキ!」
「どういたしましてですコン!」
ユキは、京子のねぎらいの言葉をニッコリと満面の笑みで返します。
シェリルが愛想を振り撒いてるユキにドギマギしているのを見て、桜も負けじと腕を絡めてニャンニャンして来ます。
でも、気のせいかなー、笑顔の瞳に嫉妬の炎が入り混じってるよーな……
目が全然笑ってないよー。
あ、それたぶん、無意識にボクの鼻の下が伸びてたからかなー。
それとも、ドギマギしちゃったせいでボクの中のダダ甘成分を過剰に放出させちゃってるからかなー。
私の方だけ見て!って目で訴えているのかなー。
「ほらシェリルくん、もうすぐお兄ちゃんが帰って来るってばぁ!」
……へ?
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