ダダ甘♡ワードオーダー

きぐるみんZ

文字の大きさ
上 下
35 / 50
第2章.日本編

第35話.試験の前にすべき事(その1)

しおりを挟む
 突然現れたフィリルを見て、ビックリしていたのはシェリルだけではありません。
その横で、桜も目を丸くしています。
しかし、驚きの観点がシェリルとは少し違うみたいで……

「お義母かあさん、姿がちょっと透けて “ 視えて ” いるみたいなんですけど?
大丈夫なんですか?」

 ボクも目を疑い、思わずゴシゴシ指の甲で目を擦ってしまいました。
そう言われてみれば、確かに母さん……ちょっと薄いかも……

「あら、そう言えば桜さんにこの姿を視せたのは初めてだったわね。
そう、コレが私の種族スキル『無限探査インフィニティ』よぉ~!
対象物のニオイが予めインプットされていれば、例えどんな場所に隠れていても、違う次元に跳んでいても探し当てられるのよねぇ~。
桜さんのニオイも覚えたいから……ちょっとがさせて貰うわね♪」

 フィリルはそう言ってパッと消えたと思った次の瞬間、気付けばもうすでに桜の傍らにいてクンカクンカ鼻先を近付けてニオイを嗅いでいるではありませんか!

 何か、ワンコみたいでカワイイ……です♡

「コレは、私の霊体の部分だけが外に飛び出た、言わば私の分身なのよぉ~!
だから、ちょ~っとカゲが薄いでしょぉ~?
だけど、存在感は薄くならないから安心してねぇ~!
つまり、私の本体から離れてこの姿でシェリルの許へコッソリひとっ飛び!
そしてシェリルが仕留めた瀕死のモンスター達を、シェリルにバレないよーにこの日本から異世界のスメルクト大陸へと送り返していたってワケ!
ちなみにシェリルのニオイも京子様のニオイもすでにインプット済みだから、探すのラクだったわよぉ~!」

 いえいえ、今のこの行為だけで充分存在感を発揮していますって……

 フィリルは桜に、ニオイを嗅がせてくれてありがとね、とニッコリ笑って頭を撫でてイイコイイコしてあげています。
桜も笑いながら目をつむり、肩を狭めてとても嬉しそうです。

「へぇ~、私初めて見たけどあの剣がシェリル版の『黒洞乗剣インフィニティ』なのね……」

「コクドー……ジョーケン……?」

 今出揃っているメンバーの中で、日本組の京子と共に漢字読みが理解出来る桜が首を傾げます。
桜が意味を理解出来る様に、京子がフォローします。

「黒洞ってね、“ ブラックホール ” って意味なのよ。
あのワープホール、何でも吸い込みそうだから私がそう名付けたのよ。
それを剣に乗せて闘うから、『黒洞乗剣』なのよ!
カッコいいネーミングじゃない、桜!」

 京子はニヤリと笑い、ふんっ!と自慢げに胸を反らしています。
今度から、シェリルの技はコレを名乗る事になりそうです。


 シェリルがタハハハハ……と頭をポリポリ掻いていると、京子があっ!と思い出した様に口を開きました。

「シェリルさん、せっかくフィリルお母さんも見に来てくれてる事だし……
もうそろそろ、『卒業試験』をしてもイイ頃合いなんじゃないの?って思うのよ!」

えっ……『卒業試験』ですか……?

「それでフィリル、貴女のその姿は霊体なんでしょ?
『卒業試験』まで、その姿は保てるの?」

「たぶん大丈夫だと思うわよぉ~!
私もシェリルの勇姿と晴れ姿、見届けたいものぉ~!」


その時、突然家の中から声が!

「ご主人さまぁ、和諒かずま様からもうすぐ帰ると連絡がありましたコン!」

 先程ユキちゃんが連絡を受けたみたいで、そう言いながらパタパタ走って来ました。

「いつも連絡ありがとうね、ユキ!」

「どういたしましてですコン!」

 ユキは、京子のねぎらいの言葉をニッコリと満面の笑みで返します。

 シェリルが愛想を振り撒いてるユキにドギマギしているのを見て、桜も負けじと腕を絡めてニャンニャンして来ます。
でも、気のせいかなー、笑顔の瞳に嫉妬の炎が入り混じってるよーな……
目が全然笑ってないよー。


















 あ、それたぶん、無意識にボクの鼻の下が伸びてたからかなー。
それとも、ドギマギしちゃったせいでボクの中のダダ甘成分を過剰に放出させちゃってるからかなー。
私の方だけ見て!って目で訴えているのかなー。

「ほらシェリルくん、もうすぐお兄ちゃんが帰って来るってばぁ!」

……へ?





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

きぐるみ♡女神伝

きぐるみんZ
ファンタジー
【ワタシ、日本一アキラメの悪い女神ですから!】 【ストーリー】 「何かを手に入れる為には、何か大切なモノを犠牲にしなくちゃダメなんです。」 生まれつき、少女は異世界の住人達と『闘う力』を持っていました。 なぜ少女は、普通の人には持ち得ない力を扱う事が出来るんでしょうか? 実は少女には……出生の秘密があったからなんです。 その秘密、一緒に紐解いて行きましょう。 ゆっくりと、ね…… 【新しい技をリクエストして頂ければ、新技として登場するかも?】 『胸キュン♡流格闘術』…… それは、女の子らしい可愛らしさ、所作を最大限に活かした、しかし技の威力を疎かにしていない「女の子の、女の子による、女の子の為の」格闘術。 その中には、懇意にして頂いている読者さんのリクエストから生まれた技もあります。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...