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第2章.日本編
第34話.特訓合宿【日本編】(その4)
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問題点の2つ目は、如何に曲剣でマジックスクロールを斬るかです。
あの時は、京子が弾き飛ばしたマジックスクロールがたまたま曲剣と真空の間に “ 挟まってくれた ” から斬る事が出来たんですが、コレをいざシェリルだけでやろうとするとなかなか難しい!
あの紙がヒラヒラと舞う時の軌道が、1枚ごとに全て違います。
また、外での特訓の為にそよ風の影響でもすぐ舞い上がるんです。
この特訓だけで、もうすでに何ヶ月も足踏みしているんです。
でも、よくよく考えてみると……
京子おばあちゃんは、曲剣と真空の間にマジックスクロールが挟まった時に “ あの紙を斬る ” って言っていましたが……
実際、あの時マジックスクロールは本当に斬れていたんでしょうか?
火焔斬で消し炭になっちゃったから、確認のしようが無いんですけど……
もしもあの瞬間、あの紙が “ 斬れていない ” としたら……
次の仮定が成り立ちます。
『マジックスクロールとピンクゴールドの曲剣が “ 触れたまま ” の状態で斬撃を繰り出す』
つまり、あの瞬間……
火属性の赤いマジックスクロールが曲剣に直に触れていたから、そのまま斬撃を繰り出して『火焔斬』になったんじゃないのかなぁ?
さっそく、シェリルは京子から貰ったマジックスクロールから赤い紙を1枚ピッと引き抜きます。
それを小さく折り畳んで手のひらに持って、その上から曲剣を握ります。
これで、マジックスクロールと曲剣が触れている状態になります。
この状態で曲剣を素早く振り抜き、台の上の水メロンに斬撃をしました。
すると剣筋からボボボッと焔が発生して、水メロンを灼き斬ってしまったんです!
「出来ましたっ、『火焔斬』!」
しかも、手のひらの小さく折り畳んだ赤い紙はそのままです!
シェリルの仮定は正しい事が、これで立証されたんです!
「やったじゃない、シェリルくん!」
それを見ていた桜も大喜びで、2人抱き締め合いながらピョンピョン飛び跳ねています。
シェリルの剣技が、見事にセカンドステージに昇華した瞬間です!
その光景を微笑ましく見つめているのは、京子と……
陰から泡の様に湧き出て来た、もうひとりの女性。
「スゴいね、あの子は!
あの子の “ 伸び代 ” は、私達が考えているよりも長かったみたいね、フィリル!」
泡の様に出て来た女性は、母のフィリルだったんです!
母は、息子に声を掛けます。
「シェリル……特訓合宿をしてた成果、バッチリ出てるじゃないのぉ~!」
突然の母の訪問にシェリルの目は白黒し、口をパクパクさせています。
「え……母さん?
何でボクがココで特訓をしてるの、知ってるの?
しかも、まるで今日特訓が終わる事を前もって分かってたみたいな……何で?」
ウフフッと悪戯っぽく笑うフィリル、とても楽しそうです。
「まず、何故この場所を知ってるかって言うとねぇ~。
ちょっと前に、京子から頼まれ事を受けてマジックスクロールを届けたからよ。
まさか、シェリルの特訓に使用するとは思わなかったわよぉ~!」
確か前に、京子おばあちゃんはこう言ってたっけ。
日本ではマジックスクロールの入手が不可能だから、異世界の方で取り寄せて貰った、って……
じゃあ、このマジックスクロールって実は母さんが手配してくれたの?
シェリルは、手に持つマジックスクロールとフィリルの顔を交互に見比べます。
「そしてシェリルの特訓が終了するベストなタイミングでココに来れたのはね、リフィのおかげなの。
シェリルと桜さんに念話が使える様にリフィにお願いしたのは、ママなのよん♪」
今日ココに来た本当の理由は……
この後に起こる出来事を、最後まで見守る為なんだけど……ね。
実はこれから起こる事、シェリルや桜さんはおろか、京子様も知らないのよねぇ……♪
あの時は、京子が弾き飛ばしたマジックスクロールがたまたま曲剣と真空の間に “ 挟まってくれた ” から斬る事が出来たんですが、コレをいざシェリルだけでやろうとするとなかなか難しい!
あの紙がヒラヒラと舞う時の軌道が、1枚ごとに全て違います。
また、外での特訓の為にそよ風の影響でもすぐ舞い上がるんです。
この特訓だけで、もうすでに何ヶ月も足踏みしているんです。
でも、よくよく考えてみると……
京子おばあちゃんは、曲剣と真空の間にマジックスクロールが挟まった時に “ あの紙を斬る ” って言っていましたが……
実際、あの時マジックスクロールは本当に斬れていたんでしょうか?
火焔斬で消し炭になっちゃったから、確認のしようが無いんですけど……
もしもあの瞬間、あの紙が “ 斬れていない ” としたら……
次の仮定が成り立ちます。
『マジックスクロールとピンクゴールドの曲剣が “ 触れたまま ” の状態で斬撃を繰り出す』
つまり、あの瞬間……
火属性の赤いマジックスクロールが曲剣に直に触れていたから、そのまま斬撃を繰り出して『火焔斬』になったんじゃないのかなぁ?
さっそく、シェリルは京子から貰ったマジックスクロールから赤い紙を1枚ピッと引き抜きます。
それを小さく折り畳んで手のひらに持って、その上から曲剣を握ります。
これで、マジックスクロールと曲剣が触れている状態になります。
この状態で曲剣を素早く振り抜き、台の上の水メロンに斬撃をしました。
すると剣筋からボボボッと焔が発生して、水メロンを灼き斬ってしまったんです!
「出来ましたっ、『火焔斬』!」
しかも、手のひらの小さく折り畳んだ赤い紙はそのままです!
シェリルの仮定は正しい事が、これで立証されたんです!
「やったじゃない、シェリルくん!」
それを見ていた桜も大喜びで、2人抱き締め合いながらピョンピョン飛び跳ねています。
シェリルの剣技が、見事にセカンドステージに昇華した瞬間です!
その光景を微笑ましく見つめているのは、京子と……
陰から泡の様に湧き出て来た、もうひとりの女性。
「スゴいね、あの子は!
あの子の “ 伸び代 ” は、私達が考えているよりも長かったみたいね、フィリル!」
泡の様に出て来た女性は、母のフィリルだったんです!
母は、息子に声を掛けます。
「シェリル……特訓合宿をしてた成果、バッチリ出てるじゃないのぉ~!」
突然の母の訪問にシェリルの目は白黒し、口をパクパクさせています。
「え……母さん?
何でボクがココで特訓をしてるの、知ってるの?
しかも、まるで今日特訓が終わる事を前もって分かってたみたいな……何で?」
ウフフッと悪戯っぽく笑うフィリル、とても楽しそうです。
「まず、何故この場所を知ってるかって言うとねぇ~。
ちょっと前に、京子から頼まれ事を受けてマジックスクロールを届けたからよ。
まさか、シェリルの特訓に使用するとは思わなかったわよぉ~!」
確か前に、京子おばあちゃんはこう言ってたっけ。
日本ではマジックスクロールの入手が不可能だから、異世界の方で取り寄せて貰った、って……
じゃあ、このマジックスクロールって実は母さんが手配してくれたの?
シェリルは、手に持つマジックスクロールとフィリルの顔を交互に見比べます。
「そしてシェリルの特訓が終了するベストなタイミングでココに来れたのはね、リフィのおかげなの。
シェリルと桜さんに念話が使える様にリフィにお願いしたのは、ママなのよん♪」
今日ココに来た本当の理由は……
この後に起こる出来事を、最後まで見守る為なんだけど……ね。
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