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第2章.日本編
第33話.特訓合宿【日本編】(その3)
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シェリルが特訓を開始してから、数ヶ月が経ちました。
1つ目、構えから流れる様に斬撃へと移行させる方法なんですが……
京子おばあちゃんに抜刀術のやり方を教えてもらい、剣速を上げる事で全体的に流れる様に移行させようって考えたんです。
でも、抜刀術は初撃で勝負を決める剣技、2撃目3撃目は有り得ないんです。
つまり、モンスターの位置を正確に把握していないと抜刀術を当てる事すら出来ないんです。
さすがに、これにはシェリルも頭を抱えました。
止まっているモンスターが相手だと抜刀術を当てれるんですが……
動いているモンスター、特に動きが素早かったり空を飛んでいたりすると空振りが目立つんです。
出ない答えにだんだん煮詰まって来たある日の夜、シェリルは縁側でごろんと仰向けになって考え事をしていました。
リ……リ…… リ……リ……
耳を済ませると、スズムシの羽の音色が聞こえます。
夜風も、ヒンヤリと肌を撫で通り過ぎます。
あ、コキアでもあったな、こんな光景。
この虫は、向こうではいないんだけどね……
そんな事を、寝そべりながらぼーっと考えていると……
「いい感じに頭が煮詰まってるね、シェリルくん!
アタシが相談に乗るわよぉ?」
突然、念話が聞こえて来たんです。
この声の主は……リフィおばさんです!
シェリルは、リフィに事の顛末を説明しました。
「えーっ、そんな事で悩んでたの?
答えはもう出ているのにね!」
……え?答えはもう出てるって?
「シェリルくん、思い出して!
アタシ達って、何の種族だったかしら?」
「フェンリル一族だよ。」
そうです、シェリルが生まれたグレイシア家は、フェンリルウルフを祖に持つフェンリル一族なんです。
「そう、フェンリル一族よね?
フェンリルウルフから代々受け継いでいる、フェンリル一族だけにしかない特徴って何だったかしら?」
「えーと……左右の目の色が違う事かな?」
確かに、シェリルの目の色は普段は両目とも翡翠色なんだけど、血が昂ると右目だけ瑠璃色で左目は翡翠色の “ オッドアイ ” に変化するんです。
ちなみに、ボクだけじゃなくて……
母さんもカメルじいちゃんも、みーんなだよ?
残念ながら、結婚して加わったシャリーばあちゃんやマースおじさんは違うんだけどね……
「残念ながら、違うわね……
アタシ達フェンリル一族にはもうひとつ、大きな身体的特徴があるの。
それは、ズバ抜けた『嗅覚』よ!
それはヒトの1万倍あるって言われてる犬の、何と1億倍!
コレを使えば、そんな問題なんてあっという間にクリア出来ちゃうんじゃない?」
……あっ、そういう手があったんだぁ!
「じゃ、特訓頑張ってね、シェリルくん!」
翌日、さっそくリフィおばさんから貰ったアドバイスを活用する事にしました。
「目隠しで視界を遮って、と……」
シェリルは、桜から借りた手拭いで目を隠す様にギュッと縛ります。
「シェリルくん、目隠しなんかして……大丈夫なの?」
大丈夫です!
何で目隠しをするのか、ですって?
それは、視覚を遮断して嗅覚を研ぎ澄ます為です。
そのズバ抜けた嗅覚を使えば、ヒトやモンスターなどあらゆる生物の血とか汗などの『活発な活動部分』を残像としてトレース出来ちゃう事に、ボクはさっそく気が付いたんです。
活発な活動部分が分かれば、そこが相手の “ 急所 ” に繋がる訳ですしね。
後は、そこに向けてボクが斬撃を撃ち込めばいいんです。
京子も、驚きの声を上げます!
「シェリルさん、どうしたの?
昨日までとは見違える様な動きのキレじゃない!」
特訓の合間も、桜が甲斐甲斐しくタオルでシェリルの身体の汗を拭き取っています。
「何か、部活動のマネージャーみたいじゃないのさ、桜?」
「おばあちゃんったら、もおっ!」
ニヤニヤする京子おばあちゃんにチャチャを入れられて、ぷうっとふくれる桜……やっぱり可愛いです♡
……へにゃ。
1つ目、構えから流れる様に斬撃へと移行させる方法なんですが……
京子おばあちゃんに抜刀術のやり方を教えてもらい、剣速を上げる事で全体的に流れる様に移行させようって考えたんです。
でも、抜刀術は初撃で勝負を決める剣技、2撃目3撃目は有り得ないんです。
つまり、モンスターの位置を正確に把握していないと抜刀術を当てる事すら出来ないんです。
さすがに、これにはシェリルも頭を抱えました。
止まっているモンスターが相手だと抜刀術を当てれるんですが……
動いているモンスター、特に動きが素早かったり空を飛んでいたりすると空振りが目立つんです。
出ない答えにだんだん煮詰まって来たある日の夜、シェリルは縁側でごろんと仰向けになって考え事をしていました。
リ……リ…… リ……リ……
耳を済ませると、スズムシの羽の音色が聞こえます。
夜風も、ヒンヤリと肌を撫で通り過ぎます。
あ、コキアでもあったな、こんな光景。
この虫は、向こうではいないんだけどね……
そんな事を、寝そべりながらぼーっと考えていると……
「いい感じに頭が煮詰まってるね、シェリルくん!
アタシが相談に乗るわよぉ?」
突然、念話が聞こえて来たんです。
この声の主は……リフィおばさんです!
シェリルは、リフィに事の顛末を説明しました。
「えーっ、そんな事で悩んでたの?
答えはもう出ているのにね!」
……え?答えはもう出てるって?
「シェリルくん、思い出して!
アタシ達って、何の種族だったかしら?」
「フェンリル一族だよ。」
そうです、シェリルが生まれたグレイシア家は、フェンリルウルフを祖に持つフェンリル一族なんです。
「そう、フェンリル一族よね?
フェンリルウルフから代々受け継いでいる、フェンリル一族だけにしかない特徴って何だったかしら?」
「えーと……左右の目の色が違う事かな?」
確かに、シェリルの目の色は普段は両目とも翡翠色なんだけど、血が昂ると右目だけ瑠璃色で左目は翡翠色の “ オッドアイ ” に変化するんです。
ちなみに、ボクだけじゃなくて……
母さんもカメルじいちゃんも、みーんなだよ?
残念ながら、結婚して加わったシャリーばあちゃんやマースおじさんは違うんだけどね……
「残念ながら、違うわね……
アタシ達フェンリル一族にはもうひとつ、大きな身体的特徴があるの。
それは、ズバ抜けた『嗅覚』よ!
それはヒトの1万倍あるって言われてる犬の、何と1億倍!
コレを使えば、そんな問題なんてあっという間にクリア出来ちゃうんじゃない?」
……あっ、そういう手があったんだぁ!
「じゃ、特訓頑張ってね、シェリルくん!」
翌日、さっそくリフィおばさんから貰ったアドバイスを活用する事にしました。
「目隠しで視界を遮って、と……」
シェリルは、桜から借りた手拭いで目を隠す様にギュッと縛ります。
「シェリルくん、目隠しなんかして……大丈夫なの?」
大丈夫です!
何で目隠しをするのか、ですって?
それは、視覚を遮断して嗅覚を研ぎ澄ます為です。
そのズバ抜けた嗅覚を使えば、ヒトやモンスターなどあらゆる生物の血とか汗などの『活発な活動部分』を残像としてトレース出来ちゃう事に、ボクはさっそく気が付いたんです。
活発な活動部分が分かれば、そこが相手の “ 急所 ” に繋がる訳ですしね。
後は、そこに向けてボクが斬撃を撃ち込めばいいんです。
京子も、驚きの声を上げます!
「シェリルさん、どうしたの?
昨日までとは見違える様な動きのキレじゃない!」
特訓の合間も、桜が甲斐甲斐しくタオルでシェリルの身体の汗を拭き取っています。
「何か、部活動のマネージャーみたいじゃないのさ、桜?」
「おばあちゃんったら、もおっ!」
ニヤニヤする京子おばあちゃんにチャチャを入れられて、ぷうっとふくれる桜……やっぱり可愛いです♡
……へにゃ。
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