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第2章.日本編
第32話.特訓合宿【日本編】(その2)
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シェリルが特訓を開始してから、1ヶ月が経ちました。
シェリルも、だいぶんコツを掴んだみたいです。
シェリルの目の前には、台の上に置かれた水メロンが1つ。
「インフィニティー……」
シェリルはそう言ってピンクゴールドの曲剣で目の前の空間をゆっくり横に薙ぎ払うと、空間がパカッと口を開けます。
その中は真空で、周りの空気を吸い込みます。
水メロンは、台の上でカタカタ揺れています。
え……と……
“ 真空を2つ作る ” んじゃなくて、むしろ “ 真空を2つに割る ” イメージで……
「……真空斬り!」
シェリルは、その真空を真ん中から切断する様に曲剣を素早く振り抜きました!
それと同時に、後ろにある水メロンも横にスパッと切れています。
「よくここまで新しい剣筋をモノにしたわね、シェリルさん!
後はコレを一連の流れる動作で、無詠唱で出来る様になれば、剣技として立派に通用するわよ!」
パチパチと拍手して、京子おばあちゃんが現れました。
そして、シェリルに向かってあるモノを見せました。
シェリルは、それを見て訝しげに尋ねました。
「コレは何ですか……?」
「コレはね、羊皮紙の束で『マジックスクロール』って言うの。
魔法が使えない人でも、この紙を使えばアラ不思議!
魔法が使える様になっちゃうシロモノよ!
ここ日本では入手が不可能だから、異世界の方で取り寄せて貰ったのよ!」
「わざわざ買い付けに行って来てくれたんだぁ……」
実際、樹上都市コキアにもそういう買い付け行商の人がお店を出しています。
しかし、この時シェリルは大きなカン違いをしている事にまだ気付いていません。
そのカン違いとは、一体……?
「さぁシェリルさん、もう一度やってみて!
ひとつひとつ、連携を確認しながらね!」
シェリルはもう一度、真空斬りの動作に入ります。
「インフィニティー……」
と言って真空を真ん中から斬る動作になった時、京子は徐ろに赤いマジックスクロールを1枚ビリッと破り、2本の指の間に挟んでピッ!と弾き飛ばします。
「シェリルさん、その赤い紙を曲剣で斬って!」
京子がそう言ったのと同時に、赤い紙がスィーと曲剣と真空の間に入り込みます。
さすが京子、抜群のコントロールです。
「……はあっ!」
シェリルが曲剣を振り抜いた瞬間、ボボボッと刀身から赤い焔が噴き出したんです!
「焔の斬撃、『火焔斬』よ!」
シェリルの剣技が、見事にセカンドステージに昇華した瞬間です!
しかし、それに伴い問題点が2つ見えて来たんです。
まず1つは、どうすれば構えから流れる様に斬撃へと移行出来るかです。
「う~ん……
次の手順を頭で考えていると、どうしても後手後手になっちゃうんだよね。」
シェリルは、素直にみんなに悩みを打ち明けます。
しばらくみんなで考えていると……
「ねぇおばあちゃん、『アレ』が役に立つんじゃない?」
桜はピン!と閃いたらしく、京子にヒソヒソと話します。
「私の闘い方は主に徒手空拳だからね、剣術はあまりやった事ないのよね。
でも桜の未来のダンナさんの為、ひと肌脱ぎますか!」
京子はそう言って、徐ろにシェリルに歩み寄ります。
「京子おばあちゃんもこの曲剣を扱いこなせると思いますよ。
だってワープホールもおばあちゃんの事、気に入ってるみたいだから。」
そう言って、京子に曲剣を差し出します。
京子はニコッと笑い曲剣を受け取ると、曲剣は嫌がって消滅しないどころか、ますます手にしっくりと馴染んで来ます。
京子は曲剣を前には構えずに、腰に巻く様に構えます。
そして、静かに腰を落として “ 蓮の構え ” を取ります。
そして……
「ハァッ!!!」
掛け声と共に音速一閃……抜刀術です!
ガシャン! ガランガランガラン……
どうやら、剣圧が凄すぎて宙を飛び、盆栽のひとつを撃ち抜いてしまったみたいです!
「ふぅ、久し振りにやってみたけど……
上手くいって良かったわ。
シェリルさん、少しは参考になったかしら?」
そんなシェリル達の様子を、家の軒下から覗き見る影がふたつ。
女の人と女の子……人魚さんです!
人魚さんは手をキュッと握り、小さな声で呟きました。
「シェリルさん、桜さん……
アタシも、一緒に旅して足手まといにならない様に特訓しに行って来ますね。」
女の人がクイクイと人魚さんに手招きし、名を呼んでいます。
「さて、無事に届け物も済ませたし……
さっ、ワタシ達も場所を変えて訓練をしに行くわよぉー!
あそこのワープゲートに飛び込むわよっ、スーリア!」
「はーい!」
そう言って、女の人と人魚さんはワープゲートの中へと姿を消したのでした……
シェリルも、だいぶんコツを掴んだみたいです。
シェリルの目の前には、台の上に置かれた水メロンが1つ。
「インフィニティー……」
シェリルはそう言ってピンクゴールドの曲剣で目の前の空間をゆっくり横に薙ぎ払うと、空間がパカッと口を開けます。
その中は真空で、周りの空気を吸い込みます。
水メロンは、台の上でカタカタ揺れています。
え……と……
“ 真空を2つ作る ” んじゃなくて、むしろ “ 真空を2つに割る ” イメージで……
「……真空斬り!」
シェリルは、その真空を真ん中から切断する様に曲剣を素早く振り抜きました!
それと同時に、後ろにある水メロンも横にスパッと切れています。
「よくここまで新しい剣筋をモノにしたわね、シェリルさん!
後はコレを一連の流れる動作で、無詠唱で出来る様になれば、剣技として立派に通用するわよ!」
パチパチと拍手して、京子おばあちゃんが現れました。
そして、シェリルに向かってあるモノを見せました。
シェリルは、それを見て訝しげに尋ねました。
「コレは何ですか……?」
「コレはね、羊皮紙の束で『マジックスクロール』って言うの。
魔法が使えない人でも、この紙を使えばアラ不思議!
魔法が使える様になっちゃうシロモノよ!
ここ日本では入手が不可能だから、異世界の方で取り寄せて貰ったのよ!」
「わざわざ買い付けに行って来てくれたんだぁ……」
実際、樹上都市コキアにもそういう買い付け行商の人がお店を出しています。
しかし、この時シェリルは大きなカン違いをしている事にまだ気付いていません。
そのカン違いとは、一体……?
「さぁシェリルさん、もう一度やってみて!
ひとつひとつ、連携を確認しながらね!」
シェリルはもう一度、真空斬りの動作に入ります。
「インフィニティー……」
と言って真空を真ん中から斬る動作になった時、京子は徐ろに赤いマジックスクロールを1枚ビリッと破り、2本の指の間に挟んでピッ!と弾き飛ばします。
「シェリルさん、その赤い紙を曲剣で斬って!」
京子がそう言ったのと同時に、赤い紙がスィーと曲剣と真空の間に入り込みます。
さすが京子、抜群のコントロールです。
「……はあっ!」
シェリルが曲剣を振り抜いた瞬間、ボボボッと刀身から赤い焔が噴き出したんです!
「焔の斬撃、『火焔斬』よ!」
シェリルの剣技が、見事にセカンドステージに昇華した瞬間です!
しかし、それに伴い問題点が2つ見えて来たんです。
まず1つは、どうすれば構えから流れる様に斬撃へと移行出来るかです。
「う~ん……
次の手順を頭で考えていると、どうしても後手後手になっちゃうんだよね。」
シェリルは、素直にみんなに悩みを打ち明けます。
しばらくみんなで考えていると……
「ねぇおばあちゃん、『アレ』が役に立つんじゃない?」
桜はピン!と閃いたらしく、京子にヒソヒソと話します。
「私の闘い方は主に徒手空拳だからね、剣術はあまりやった事ないのよね。
でも桜の未来のダンナさんの為、ひと肌脱ぎますか!」
京子はそう言って、徐ろにシェリルに歩み寄ります。
「京子おばあちゃんもこの曲剣を扱いこなせると思いますよ。
だってワープホールもおばあちゃんの事、気に入ってるみたいだから。」
そう言って、京子に曲剣を差し出します。
京子はニコッと笑い曲剣を受け取ると、曲剣は嫌がって消滅しないどころか、ますます手にしっくりと馴染んで来ます。
京子は曲剣を前には構えずに、腰に巻く様に構えます。
そして、静かに腰を落として “ 蓮の構え ” を取ります。
そして……
「ハァッ!!!」
掛け声と共に音速一閃……抜刀術です!
ガシャン! ガランガランガラン……
どうやら、剣圧が凄すぎて宙を飛び、盆栽のひとつを撃ち抜いてしまったみたいです!
「ふぅ、久し振りにやってみたけど……
上手くいって良かったわ。
シェリルさん、少しは参考になったかしら?」
そんなシェリル達の様子を、家の軒下から覗き見る影がふたつ。
女の人と女の子……人魚さんです!
人魚さんは手をキュッと握り、小さな声で呟きました。
「シェリルさん、桜さん……
アタシも、一緒に旅して足手まといにならない様に特訓しに行って来ますね。」
女の人がクイクイと人魚さんに手招きし、名を呼んでいます。
「さて、無事に届け物も済ませたし……
さっ、ワタシ達も場所を変えて訓練をしに行くわよぉー!
あそこのワープゲートに飛び込むわよっ、スーリア!」
「はーい!」
そう言って、女の人と人魚さんはワープゲートの中へと姿を消したのでした……
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