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きぐるみんZ

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第2章.日本編

第30話.シェリルくんの許嫁(その2)

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 どうやら方針としては、あの子がココにいられる時間の大半を使って……
新しい剣筋の模索をして行くって事になりそうねっ!

 京子はシェリルをつぶさに観察しながら、早くも技の性質とウィークポイント弱点を見つけ出します。

 この子の剣技は、真空斬りの際に真空と真空の間に6属性の魔法を挟み込む事で
火焔斬かえんざん』『水流斬すいりゅうざん』『地裂斬ちれつざん
氷牙斬ひょうがざん』『閃光斬せんこうざん』『闇冥斬あんめいざん
と6つの必殺技が使える様になるみたいね。

 この子の “ 伸び代のびしろ ” は、目を見張るモノがあるわね。
だけどこの子、魔法の方はからっきしみたいだから……
このままじゃせっかくの必殺技もお蔵入り、桜を守れる強さにもなれないわ。

 京子は、んむーっとしばらく考えてからシェリルに言いました。

「シェリルさん、貴方はしばらくここ日本で私と特訓三昧よ!
でも、すこし貴方のお母さんの力も借りなくちゃいけないみたいね。
だからシェリルさん、貴方のワープホールをちょっと貸して欲しいのよ。」

「あっ、それならボク達も行きますよ!」

「いーのいーの!
“ ちょっと昔の連れに顔を見せに行く ” 程度だから、私ひとりがちょうど良いのよ。
じゃないと、サプライズにならないじゃないの?
それに……」

 京子はいきなりスススッとシェリルの耳元に近付き、肘で軽くシェリルの胸元を突付いて小声で言いました。

「貴方も、桜と甘いひと時を過ごしたいでしょ?
それに話し合いたい事もあるんじゃない、あの人魚さんの事とかね?」

 シェリルは顔を真っ赤にしながら、同じくポッポポッポと激しく赤に点滅している自分のワープホールを京子に渡しました。


 え……自分の意志を持つワープホール……?
そんなの、見た事も聞いた事も無いわよ?
しかも、所有者と見事に同調リンクしてるし……!


「じゃあ、行って来るわね。
いない間、桜の事ヨロシクねっ!」





・グレイシア邸


 同時期、樹上都市コキアにあるグレイシア邸では……

 突然のインプ達の大量転送で、フィリルは対応に大わらわでした。
しかしそれもようやく一区切りつき、フィリルは子供部屋で「ふぃ……」とひと息つく事が出来ました。
子供部屋でシェリルの服を畳んでいる時が、母親であるフィリルは一番ココロが休まるそうです。

「それにしても、こんな大量のインプ……
みんなシェリルとサクラさん、あの2人で相手にしたのかしらぁ~?」

「アレね、私も手助けしたのよっ!」

 フィリルが、声のする方を振り向くと……
何とシェリルが使っているハズのワープホールから、初老の女性が「やほー♪」と顔を出してフリフリ手を振っているではありませんか!

「えっ、誰ダレ誰ダレ誰ダレ誰ダレ誰ダレ~っ!??」

 フィリルは慌てて、頭だけ上げてズザザザ~ッ!と背中で這ったまま後ろに下がります。

 しかし、よくよくしっかり顔を見てみると……

「きょ……キョウコ様?
私、ずっと会いたかったのぉ~!」

「お久し振りねっ、フィリルちゃん!」

 さすがに、お孫さんの前では “ ちゃん ” 付けで呼べないからねぇ……
コレこそ、私がひとりで来た最大の理由なのっ!

「ねぇフィリルちゃん、ひとつお願いがあるんだけど……
しばらく、息子さんを私の元で預けさせてくれない?」

 そう言って、京子は今までの事をフィリルに説明しました。

「イイわよ、キョウコ様に見込みがあるって認めてもらえたからねっ!」


 そしてずいっとフィリルの耳許までにじり寄り、ぼそっと小声で聞いてみました。

「もしかして、シェリルさんとサクラの『許嫁』の知識って……
フィリルの入れ知恵?」

 しばしの沈黙の後……

「『イイナズケ』って何ですかぁ~?」


 あっ、フィリルのこの反応……フィリルは “ シロ ” ね。
じゃあ、一体誰が……?


────────────────

 一方その頃、子供部屋ではリフィおばさんがチェリーちゃんを寝かせつけていました。

 “ 潜脳記憶インフィニティ ” で様子を伺い、ニヤッと微笑みながら……

────────────────


「それとフィリルちゃん、貴方にもお願いがあるのよ。
息子さんをより強くするには、あるモノが必要不可欠なのよ。
でもそれは日本には無くて、この異世界でしか手に入らないから……
貴方に調達して貰いたいのよ。
調達出来たら、貴方の “ 無限探査インフィニティ ” で持って来てくれないかしら?
それと、もうひとつお願いがあるの……」

ヒソヒソヒソ……

「分かったわ、そういう事でしたらぁ~!」


















 京子は再会を約束してフィリルと笑顔で抱擁ハグを交わし、ワープホールで日本へと帰って行ったのでした。








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