27 / 50
第2章.日本編
第27話.コン耳巫女娘です♡(その1)
しおりを挟む
燃え尽きたインプ達がモクモクの煙へ落ちて行く光景の横で、夜空に浮かぶ月環から何故か質問の声が聞こえます。
「インプ達は、どうして海まで落ちて来ないのかしら?
モクモクの煙から、1匹たりともそこから下へは落ちて来ていないのよ?」
シェリルが、声のする方をよくよく見てみると……
どうやらあれは月環では無くて、夜空に浮いている人みたいです。
ちなみに今の質問、このメンバーで唯一その答えを知っているのはシェリルだけです。
「たぶん……
モクモクの煙を隠れ蓑にして、ボクの母さんがインプ達を全て回収してボクのいる異世界に送り返したんだと……思いますよ。」
ふぅん……有り体に言えば、そのモンスターを回収する方法を “ 企業秘密 ” にしたいから隠れ蓑を利用したってトコかしら……?
ま、私はその方法を直に見た事あるから知っているけどね!
「そう……理解しておくわね。」
うわっ、夜空に浮いている人がボク達の方に近付いて来たよぉ!って思い少し身構えてしまったシェリルですが……
近付くにつれて、その正体が笑顔の可愛い初老の女性だった事が判明してホッとひと安心しました。
サクラも安心し切ったのか、人魚さんの腕の中で気を失ってしまいました。
「初めまして、私はそこにいる桜の祖母で上村京子っていうの。
それとも、『白い巫女』の方が有名かしら……?」
京子おばあちゃんはそう言って、ニィッと笑いました。
ちなみに、サクラは日本にいる時 “ 上村 桜 ” と漢字表記です!
やはり、そうだったんだね!
小さい時から伝え聞いていたレジェンドが、まさに今ボクの目の前に……!
シェリルは、目をキラキラ輝かせながら京子をポ……ッと見つめています。
「シェリル=グレイシアさん、桜を守り抜いてくれて有り難うね。
貴方の事は、お母さんのフィリルから話を伺っているわ。」
ども、とシェリルは京子にペコリと頭を下げます。
京子おばあちゃん、母さんと知り合いだったんだね!
この集落は林業で生計を立てているので、辺りを見渡すと丸太小屋が目立ちます。
また、この高台の上の集落は街灯はおろかコンビニ等の商業施設すら点在していません。
その為、夜になると真っ暗闇と化します。
シェリルは気を失ったサクラをお姫さま抱っこして、京子と人魚さんと一緒に集落の外れに建つ1件の掘っ立て小屋に入りました。
家の中にはとても低い階段が1段だけあり、その先には部屋が3つあるのですが、そのどれもが若草色の絨毯らしきものを敷き詰めているんです。
「この低い……階段は?」
「あぁ、コレかい?
これは “ 玄関 ” っていうのよ、そこで靴を脱いでね!」
そう言われても、桜をお姫さま抱っこしたままでは靴を脱ぐのもままならず……
シェリルが暮らすスメルクト大陸では、ぞもそも靴を脱ぐという習慣がありません。
グレイシア邸では土足が当たり前なんです。
なので、シェリルはその事にすっかり失念していたんです。
「う……うわあぁぁぁっ!」
シェリルは、桜をお姫さま抱っこしたままバランスを崩して……
横転してしまう!って焦った次の瞬間、優しく全身を撫でる様にそよ風が舞い抜け……
何か柔らかいのがぴとっとくっ付いて、シェリルが倒れない様に支えてくれたんです!
「あ、ありがとう……」
それは、巫女服を身に纏った女の子だったんです!
おかっぱ顔は京子にウリふたつなのですが、頭に気になる三角がふたつ。
もしかして……頭からすっごーくうっすーくキツネの “ コン耳 ” みたいなモノが透けて見えるのは気のせいかなぁ……?
「フィリル様、お久しぶりですコン!
……じゃないですね、だってアナタは男の子……」
キツネちゃんは “ ん……? ” って顔をして首を傾げています。
何なんですか、このカワイイ生き物は?
しかも、語尾がコンって……!
「ボクはフィリル母さんの息子、シェリルって言うの。
キミは……?」
代わりに、京子が教えてくれました。
「この子はね、ユキっていうのよ。
ちなみに、この子はヒトじゃないの。
私がテイムしたテイムモンスターなのよ!」
「ではシェリルさん、お手伝いしますね!」
シェリルは桜をお姫さま抱っこした状態のまま、人魚さんに靴を脱がせてもらったのでした。
「インプ達は、どうして海まで落ちて来ないのかしら?
モクモクの煙から、1匹たりともそこから下へは落ちて来ていないのよ?」
シェリルが、声のする方をよくよく見てみると……
どうやらあれは月環では無くて、夜空に浮いている人みたいです。
ちなみに今の質問、このメンバーで唯一その答えを知っているのはシェリルだけです。
「たぶん……
モクモクの煙を隠れ蓑にして、ボクの母さんがインプ達を全て回収してボクのいる異世界に送り返したんだと……思いますよ。」
ふぅん……有り体に言えば、そのモンスターを回収する方法を “ 企業秘密 ” にしたいから隠れ蓑を利用したってトコかしら……?
ま、私はその方法を直に見た事あるから知っているけどね!
「そう……理解しておくわね。」
うわっ、夜空に浮いている人がボク達の方に近付いて来たよぉ!って思い少し身構えてしまったシェリルですが……
近付くにつれて、その正体が笑顔の可愛い初老の女性だった事が判明してホッとひと安心しました。
サクラも安心し切ったのか、人魚さんの腕の中で気を失ってしまいました。
「初めまして、私はそこにいる桜の祖母で上村京子っていうの。
それとも、『白い巫女』の方が有名かしら……?」
京子おばあちゃんはそう言って、ニィッと笑いました。
ちなみに、サクラは日本にいる時 “ 上村 桜 ” と漢字表記です!
やはり、そうだったんだね!
小さい時から伝え聞いていたレジェンドが、まさに今ボクの目の前に……!
シェリルは、目をキラキラ輝かせながら京子をポ……ッと見つめています。
「シェリル=グレイシアさん、桜を守り抜いてくれて有り難うね。
貴方の事は、お母さんのフィリルから話を伺っているわ。」
ども、とシェリルは京子にペコリと頭を下げます。
京子おばあちゃん、母さんと知り合いだったんだね!
この集落は林業で生計を立てているので、辺りを見渡すと丸太小屋が目立ちます。
また、この高台の上の集落は街灯はおろかコンビニ等の商業施設すら点在していません。
その為、夜になると真っ暗闇と化します。
シェリルは気を失ったサクラをお姫さま抱っこして、京子と人魚さんと一緒に集落の外れに建つ1件の掘っ立て小屋に入りました。
家の中にはとても低い階段が1段だけあり、その先には部屋が3つあるのですが、そのどれもが若草色の絨毯らしきものを敷き詰めているんです。
「この低い……階段は?」
「あぁ、コレかい?
これは “ 玄関 ” っていうのよ、そこで靴を脱いでね!」
そう言われても、桜をお姫さま抱っこしたままでは靴を脱ぐのもままならず……
シェリルが暮らすスメルクト大陸では、ぞもそも靴を脱ぐという習慣がありません。
グレイシア邸では土足が当たり前なんです。
なので、シェリルはその事にすっかり失念していたんです。
「う……うわあぁぁぁっ!」
シェリルは、桜をお姫さま抱っこしたままバランスを崩して……
横転してしまう!って焦った次の瞬間、優しく全身を撫でる様にそよ風が舞い抜け……
何か柔らかいのがぴとっとくっ付いて、シェリルが倒れない様に支えてくれたんです!
「あ、ありがとう……」
それは、巫女服を身に纏った女の子だったんです!
おかっぱ顔は京子にウリふたつなのですが、頭に気になる三角がふたつ。
もしかして……頭からすっごーくうっすーくキツネの “ コン耳 ” みたいなモノが透けて見えるのは気のせいかなぁ……?
「フィリル様、お久しぶりですコン!
……じゃないですね、だってアナタは男の子……」
キツネちゃんは “ ん……? ” って顔をして首を傾げています。
何なんですか、このカワイイ生き物は?
しかも、語尾がコンって……!
「ボクはフィリル母さんの息子、シェリルって言うの。
キミは……?」
代わりに、京子が教えてくれました。
「この子はね、ユキっていうのよ。
ちなみに、この子はヒトじゃないの。
私がテイムしたテイムモンスターなのよ!」
「ではシェリルさん、お手伝いしますね!」
シェリルは桜をお姫さま抱っこした状態のまま、人魚さんに靴を脱がせてもらったのでした。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説


もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
きぐるみ♡女神伝
きぐるみんZ
ファンタジー
【ワタシ、日本一アキラメの悪い女神ですから!】
【ストーリー】
「何かを手に入れる為には、何か大切なモノを犠牲にしなくちゃダメなんです。」
生まれつき、少女は異世界の住人達と『闘う力』を持っていました。
なぜ少女は、普通の人には持ち得ない力を扱う事が出来るんでしょうか?
実は少女には……出生の秘密があったからなんです。
その秘密、一緒に紐解いて行きましょう。
ゆっくりと、ね……
【新しい技をリクエストして頂ければ、新技として登場するかも?】
『胸キュン♡流格闘術』……
それは、女の子らしい可愛らしさ、所作を最大限に活かした、しかし技の威力を疎かにしていない「女の子の、女の子による、女の子の為の」格闘術。
その中には、懇意にして頂いている読者さんのリクエストから生まれた技もあります。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる