ダダ甘♡ワードオーダー

きぐるみんZ

文字の大きさ
上 下
22 / 50
第2章.日本編

第22話.初モノづくしの世界(その2)

しおりを挟む
 シェリルとサクラが横断歩道を渡り終えた時には、もうすでにレプラコーン達はトンズラして姿を消した後でした。

「逃げられちゃった……」

「しょうがないわよ、信号機が相手じゃね……」

 そう言って、2人はまた歩道を歩き始めました。
てくてく歩いて数分後、少し向こうに道沿いの駐車場が見えます。
駐車場には車が1台だけ、あれは後ろに幌が付いた農耕用のトラックです。
しかし、何故か駐車スペース以外の所で斜めに止まっており、運転席のドアが開いたままなんです。


 何か……様子がおかしい……?


 そう感じたシェリルとサクラは、駐車場へと走ります。
駐車場に着くと、農夫のおじさんが腰が抜けて動けないのか……
座ったままの状態で、宙に向かって手をぶんぶん振っています。

「助けを呼んでいるの……?」

「違うよ、サクラ!
あれは、あっちに行けっ!って一生懸命『目の前の何か』を振り払おうとしているんだよ!」

 よくよく見てみると、農夫のおじさんの目の前で色んな物がフヨフヨと浮いているみたいです。
水筒、お弁当、トマトにキュウリにナス……
どうやら行商用の野菜みたいですね。

 シェリルはさらにトラックの後ろの幌の中を見てみると、浮いている理由が初めて分かりました。
イタズラをしていたんです、さっきのレプラコーン達が!


 今度こそ、あの子達を捕まえてやるんだから!


 気合十分で飛び出すサクラに、レプラコーン達もどうやら気付いた様です。
急いでトラックから飛び降り、逃走を図ろうとします。
宙に浮いていた物もボタボタっ!と落下します。


 一度レプラコーン達が逃げ出したら、ボクの足じゃあ追い付かないよ!
どうする……?
よく考えて……
そう、ボクは『言霊使いワードオーダー』じゃないさ!
ココは、ボクしか出来ないやり方で……!


 シェリルはスウッと深呼吸して、決意をココロに秘めて大声で叫びました!

『待てーーーーーーーーっ!!!』

 すると、ワードオーダーの能力でこの言葉の “ ー ” の部分が具現化します。
そして出来た巨大な杭が8本、レプラコーン達の方へと飛んで行きザクザクザクっとレプラコーン達を囲む様にアスファルトに接地したんです!
ちなみにこの能力で具現化した杭は霊体を構成する霊子で出来ているので、物質であるアスファルトに穴が開く事は有りませんのでご安心を。
でも、同じ霊体であるモンスターは通り抜ける事が出来ません!
もちろん、レプラコーン達もです。


 さて、巨大な杭に挟まれて身動きが取れなくなってキーキーと鳴いているレプラコーン達を前に……

「この子達、どうする……?」

「そうね……
イイ考えがあるわ、メッセンジャーになってもらいましょ!」

 サクラはそう念話してニッと笑い、メモ帳に何やらサラサラと書いてレプラコーンの “ 靴 ” の中に押し込めました。
そして、シェリルの方にクルリと振り向きました。

「シェリルくん、この子達をワープホールの中に押し込めちゃってくれない?」

「え……えぇ~っ!?」

「だって、この子はイタズラ好きなだけで別に悪害は無いし、持ってる魔力も微々たるモンでしょ?
お母さんの力を借りなくても、この子達ならシェリルくんのワープホールでも十分向こうの異世界に送り返せるって思うのよねぇ。」

「でも、このワープホールの先は……」

 シェリルはごにょごにょしますが、サクラにするりとかわされます。
その時はもうすでに、助けたおじさんと交渉に入ろうとしていたからです。

「シェリルくん、このおじさんにはワタシひとりだけで旅しているってテイで話を進めるからねっ。」

 サクラがシェリルに、念話で口裏合わせをします。
















 仕方無く、シェリルはレプラコーン達をワープホールに詰め込み始めたのでした。

う、動かないでよぉ……!







しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

きぐるみ♡女神伝

きぐるみんZ
ファンタジー
【ワタシ、日本一アキラメの悪い女神ですから!】 【ストーリー】 「何かを手に入れる為には、何か大切なモノを犠牲にしなくちゃダメなんです。」 生まれつき、少女は異世界の住人達と『闘う力』を持っていました。 なぜ少女は、普通の人には持ち得ない力を扱う事が出来るんでしょうか? 実は少女には……出生の秘密があったからなんです。 その秘密、一緒に紐解いて行きましょう。 ゆっくりと、ね…… 【新しい技をリクエストして頂ければ、新技として登場するかも?】 『胸キュン♡流格闘術』…… それは、女の子らしい可愛らしさ、所作を最大限に活かした、しかし技の威力を疎かにしていない「女の子の、女の子による、女の子の為の」格闘術。 その中には、懇意にして頂いている読者さんのリクエストから生まれた技もあります。

処理中です...