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きぐるみんZ

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第1章.プロローグ

第16話.真の力へ覚醒します(その3)

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・サクラの本心


 シェリルが虚無の空間にいるのと同時刻、サクラの意識は中空をさ迷っていました。


ココって、もしかして……三途の川なのかなぁ?


 ふと何かの気配に気付いて横を見ると、自分とウリふたつの女性が寄り添っていたんです!
この女性、よくよく見ると白いウサギのきぐるみを身に纏っており、背中には眩いばかりに白い4枚の羽根が生えています。
しかも、この羽根から発せられる気はサクラみたいな人間が持つ “ 気力 ” でも、シェリルみたいな異世界の住人が持つ “ 魔力 ” でもありません!


これは、“ 気力 ” でも “ 魔力 ” でも無いんですよ。
ワタシを含む女神だけが持つ、“ 神力 ” というものです。

えっ、口に出して発していないのに、何で今ワタシの考えている事が分かったの……?


 サクラは女神さまを見て、目をパチクリ。


め、女神さま……?
とても神々しいけど……
何か、とっても懐かしい感じ……
それに、きぐるみを着てる女神さまって……ちょっとカワイイ♡


女神さま、ちょっと顔を紅くしてモジモジします。


その考え方は逆ですね……
女神ってね、きぐるみを着て現れるのが当たり前なんですよ……♪


 気付くと、サクラは女神さまの気に触れて涙を流していました。


ワタシ、死んじゃったの……?

いいえ、アナタはまだ死んではいませんよ……

何で分かるのよ……?

愛しの「彼」が迎えに来てくれるからですよ……


 女神さまがサクラにひとつ、シェリルと同じ質問を投げ掛けます。


彼は、アナタにとってどんな存在なんですか……?

フィリルくんは、ワタシの未来のダンナ様なのっ!


 サクラは、胸を張ってキッパリ言い切りました。


フフッ、アナタの未来がそうなるのを楽しみに待っていますよ。
では、コレを差し上げましょう……


 そう言って女神さまが渡してくれたのは、シャンパンゴールドに輝く光の帯の、もう一方の片端だったんです。


じゃあ、お姫さまはココで白馬の王子さまが来るのを待ちましょうね、サクラ……



・再び、対ケルピー戦


「サクラを失いたくないんだっ!」

 ケルピーを見てみると……
水の寝袋ウォーターシュラフの中、水の尻尾で絞め落とされて失神した直後でピクリとも動かないままサクラが水中を漂っています。
どうやら時が止まる前、そのままの状態らしいです。
しかし、サクラは失神したまま水に溺れている危険な状態です。

 脳に酸素が行かない状態の時では、蘇生措置が間に合うのは2分がタイムリミットと言われています。

 蘇生措置をする為にもまずサクラを包み込む、ケルピーのウォーターシュラフを何とかしなきゃ……!
時が止まる前まではケルピーに勝つ算段がまるで思い付かなかったんですが、今なら勝てそうな気が……
その理由は、さっきから金色に光っている右手です。
さっき、止まった時間の中で女神さまから貰ったのも、金色に光る帯でしたから。


 自分の本当のキモチに気付いた今のアナタなら、言霊たちも本当の姿を見せますよ……


 その光る右手で言霊の剣を持つと棒状の黒いブロックがボロボロと剥がれ落ちます。
すると、その下から現れたのは……
向こう側が透けて見える、剣の幅広刃の真ん中に孔の空いた “ シャンパンゴールドの曲剣 ” だったんです!


 コレが、言霊の剣の本当の姿なんだ……


 しかし、驚く事はそれだけではありません!
あたかも、昔から知っていたみたいにワープホールを自分の手元に呼び寄せました。
ワープホールも、呼んでくれたのが嬉しくてピンク色に点滅しています。


 このスキルは、ワープホールがピンクに染まっていないと出来ないんだ……
何故か、分かる。
今なら、分かる。
女神さまのお陰かな……?


 シェリルは、頭の中に降って来た言葉を唱えます。

「……インフィニティー!」

 すると剣の幅広刃にピンクのワープホールがスッポリはまり、曲剣と一体化したんです!

「ケルピー、悪いけどサクラを失う訳に行かないからココで決めさせてもらうよ!」

 シェリルはそう言って、ケルピーに……ではなく、自分の近くの空間をヒュンッと斬ったんです!
すると、斬った空間がまんまズリュッと消失し、ワープホールになってしまったんです。

「ワープホール……ウォーター!」


















 シェリルは、新たに出来たワープホールに「吸い込む対象」を設定します。
すると、ワープホールは猛烈な勢いでウォーターシュラフの水を吸い込み始めました。
それと同時にケルピーの水の尻尾もみるみる痩せ細り、サクラを救出する事に成功したんです!






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