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第1章.プロローグ

第12話.特訓合宿【入門編】(その1)

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 シェリルは初バトルが花樹族のカーバンクルという強敵だった為、ワープホールでグレイシア邸の自分の部屋に戻った途端……
覚えていないですが、極度の疲労でベッドに倒れ込んですぐ泥の様に寝てしまったんです。



4日目……


 朝方、シェリルはまだスヤスヤとベッドで寝ています。
そんなシェリルに、音も無く近付くものがあります。
そう、ワープホールです。

 フワフワフワ……と彼の顔の上まで移動します。
顔の真上でピタッと止まり、ワープホールからひょっこり顔が出て来ました。
ワープホールの縁に両手のひらを置いて、顔が両手の甲の上で頬杖を付く「サクラ・ポジション」です。
サクラのいる白川郷とまだ繋がりっぱなしだったので、昨日の約束通りサクラがシェリルを呼びに来たんです!

 今日のサクラの服装は薄ピンクのリブポロシャツに白のスカパン、そしてスニーカーという出で立ちです。
後ろから見るとショートパンツですが、正面に回るとヒラヒラとスカートが可愛いです。

 ちょうどワープホールの下からサクラの顔が出て来ているので、すぐ目の前の至近距離にシェリルの顔が迫っています。

 あ……もうちょっと頑張れば、ワタシの唇とシェリルの唇が触れそうです!

トクン……トクン……

 あ、男のコの匂いが……
心臓の音が、ココまでハッキリと聞こえて来ます。

トクントクントクントクン……

 さっきより、心臓の音が高鳴っています!
サクラは、そっと瞳を伏せます……

 その時、う……んとシェリルは目が覚めた様です。
実は、目を伏せたサクラの鼻息がフンフンとシェリルの顔に当たっていたんです。

 そっと目を開けると、目の前に瞳を伏せて唇を近付けるサクラの顔が迫っています!

「ふみゃあぁぁぁ~っ!!!」

 シェリルは、思わずとんでもない声で悲鳴を上げてしまいました!
まさか、シェリルの前世はネコだったんでしょうか?

 しかも、シェリルは寝たままズザザッとバックするかなって思ったのに、実際はその状態のまま何の前触れも無く急に起き上がったので……

ごっちぃ~ん!

 ワープホールから顔を出していたサクラのおでこと正面衝突してしまったんですうずくまっています。

惜しい、あともうちょっとだったのにな……

 サクラは、ココロの中でチッと舌打ちします。
しかし、同時にホッとしている自分もいました。

ダメダメ、こんな略奪キスは……!

 シェリルとの初キスは、ワタシがいつかキチンとお膳立てしてあげるの……
なんて考えているワタシは、やっぱりダダ甘♡なんでしょうか?

「サクラさん……デリカシー無いですよ。」

 シェリルは、思わずぶ~っと口を尖らせます。
でも、本当はずっとドキドキが止まらなかったんです。

「いいの!
だってワタシ、ダダ甘♡だもん♪」

 恋する乙女って、何時だってみんなああいう風にダダ甘♡したいんだろうなぁ……
まだ15才の少年は、ダダ甘♡な少女を見ていてそんな想いが頭をよぎったのでした。

「さぁシェリルくん、今日も冒険に行くわよ!」

 シェリルは身仕度を調えて、照れを隠したサクラと手に手を取り合って2人仲良くワープホールを潜ったのでした。





 白川郷に着いてすぐ、森の中でサクラはシェリルに言いました。

「じゃあシェリルくん、冒険に出る前にまずは自在に言霊の剣を出せる様に特訓しましょうね!」

 試行錯誤しながらの、マンツーマンの特訓が始まったんです。

 まずは、自分の武器を自在に出し入れする特訓です。
剣を出すコツは、どうやら自分の想いを腹から声にして出す事だそうです。
コレが、やると意外に難しいんですよね……

「だって、母さんを始めとした周りの人達がみんなダダ甘♡してくれるから、自分が何かする前に全部やってくれちゃうんだもん。」

「だったらこうしましょ、シェリルくん。
ここは日本、シェリルくんの住む異世界とは違うから、直接お母さんからの助けは借りられないわ。」


















 いや、本当は母フィリルの『インフィニティー』があれば異次元の問題など何の壁にもならないのですが……
“ 不安に煽られている ” シェリルには、そこまで頭が回るだけの余裕はありません。

 そう、サクラの狙いはまさにそこだったんです。





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