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第1章.プロローグ
第10話.自分だけの武器です(その1)
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しかし、幸せな時間はそうも長くは続きませんでした。
その時、ギギャーッ!というけたたましい鳴き声が聞こえたからです。
ふと2人が頭上を見上げると、そこに樹獣カーバンクルがいたんです!
しかも、そのモンスターの体躯は先ほどのホーンラビットの様に誰かの手によって急所に傷を付けられている訳ではありません。
「完全に、戦闘未経験なボクが相手して立ち向かえるモンスターじゃないよぉっ!」
「シェリルくん、ワタシが援護するからその隙に物陰に逃げてっ!」
今やシェリルにダダ甘♡になっているサクラは、愛しいシェリルの為に自ら盾になる事を厭いません。
無意識に、シェリルとカーバンクルとの間に自分の身体を割って入っていました。
まずは、動きの素早いサクラの先制です。
助走をつけてカーバンクルの足元でスライディングして、通り抜けながら両足を揃えてカーバンクルの股下にラビットキックを当てます。
そして、カーバンクルが前によろめいた所で素早く立ち上がりカーバンクルの背後に廻ってカーバンクルの背中に掌底突きを当てます!
「はいっ、壁ドン♡!」
カーバンクルが背中にいるサクラに向かって回転しながら尻尾をブン回して当てようとしますが、間一髪サクラはジャンプで跳んでそれを避けます。
しかし、その攻撃を避けたと思ったのも束の間……
再び地面に足を付けた時に間髪入れずにブチかまして来たカーバンクルの突進攻撃が、サクラの脇腹をかすります。
ほんの少しかすっただけなのに、サクラはちょっとクラッとしてしまいます。
しかし、サクラは何とか踏み留まる事が出来ました。
「ちょっと、待ってよぉ~!」
何と、先ほど突進攻撃を繰り出したカーバンクルが勢いはそのままにすぐ踵を返してUターンして来たではありませんか!
サクラはカーバンクルの首あたりに上手く腕を引っ掛け、突進の力も借りて遠心力でぐるんと振り子回転します。
ベリーロールの様に跳び、身を翻す様に交差しました。
視線は大空からカーバンクルの背中へと移り、そして地面へ……
ちょうどカーバンクルの背中の真上に来たタイミングで、サクラは頭に掌底を捻り込みます!
「コレでどぉ?……壁ドン♡っ!」
メキョ……
全体重を乗せた壁ドン♡の威力で、カーバンクルの頭を地面にゴン!と這い蹲らせてやりました。
しかし悲しいかな、女性の軽い体重ではカーバンクルに大してダメージを与える事は出来ません。
でも……今までとは手応えが違う様な……?
しかし、それがよほど屈辱だったのか……
カーバンクルは立ち上がると怒りに任せて、鋭い爪がついた手を高々とサクラとシェリルに向けて連続で降り下ろします。
「これでどぉっ?……顎クイ♡!」
サクラはカウンターの顎クイ♡を3回連続でカーバンクルの顎にカウンターで喰らわせます。
始まってからここまでの一連の動作は、高速の動きで流れる様なハイスピードバトルです。
戦闘未経験なシェリルでは、目で見て追い掛けるだけで精一杯です。
しかし、3回ともカーバンクルを見上げながらのカウンターなので威力が充分に伝わっていません。
しかも、カウンターは云わば精神を磨り減らす攻撃です。
それを3回も連続で敢行したので、攻撃をした方のサクラが肩で息をしています。
しかし、カーバンクルの方もサクラを襲おうと駆け出した瞬間ガクンと腰砕けになります。
カーバンクルの体力も、許容量を越えている様です。
お互いフラフラの状態の中、先に攻撃を繰り出したのは……
基礎体力が勝っているカーバンクルの方でした!
スローな感覚の中、カーバンクルが4つ脚の状態のままゆっくりと腕をサクラに降り下ろしたんです。
ボクの目の前で……
すると、突然シェリルの脳裏に……
力尽きてゆっくりと地に沈む、サクラの未来のビジョンが浮かんだんです!
誰かを失うなんて……
そして、その時ゆっくりと沈むサクラの顔には頬から一筋の涙が流れていて……
シェリルをひとり遺す後悔の念と、絞り出されるココロの声をはっきりと感じ取ったんです!
イヤだよおっ……!
その時、ギギャーッ!というけたたましい鳴き声が聞こえたからです。
ふと2人が頭上を見上げると、そこに樹獣カーバンクルがいたんです!
しかも、そのモンスターの体躯は先ほどのホーンラビットの様に誰かの手によって急所に傷を付けられている訳ではありません。
「完全に、戦闘未経験なボクが相手して立ち向かえるモンスターじゃないよぉっ!」
「シェリルくん、ワタシが援護するからその隙に物陰に逃げてっ!」
今やシェリルにダダ甘♡になっているサクラは、愛しいシェリルの為に自ら盾になる事を厭いません。
無意識に、シェリルとカーバンクルとの間に自分の身体を割って入っていました。
まずは、動きの素早いサクラの先制です。
助走をつけてカーバンクルの足元でスライディングして、通り抜けながら両足を揃えてカーバンクルの股下にラビットキックを当てます。
そして、カーバンクルが前によろめいた所で素早く立ち上がりカーバンクルの背後に廻ってカーバンクルの背中に掌底突きを当てます!
「はいっ、壁ドン♡!」
カーバンクルが背中にいるサクラに向かって回転しながら尻尾をブン回して当てようとしますが、間一髪サクラはジャンプで跳んでそれを避けます。
しかし、その攻撃を避けたと思ったのも束の間……
再び地面に足を付けた時に間髪入れずにブチかまして来たカーバンクルの突進攻撃が、サクラの脇腹をかすります。
ほんの少しかすっただけなのに、サクラはちょっとクラッとしてしまいます。
しかし、サクラは何とか踏み留まる事が出来ました。
「ちょっと、待ってよぉ~!」
何と、先ほど突進攻撃を繰り出したカーバンクルが勢いはそのままにすぐ踵を返してUターンして来たではありませんか!
サクラはカーバンクルの首あたりに上手く腕を引っ掛け、突進の力も借りて遠心力でぐるんと振り子回転します。
ベリーロールの様に跳び、身を翻す様に交差しました。
視線は大空からカーバンクルの背中へと移り、そして地面へ……
ちょうどカーバンクルの背中の真上に来たタイミングで、サクラは頭に掌底を捻り込みます!
「コレでどぉ?……壁ドン♡っ!」
メキョ……
全体重を乗せた壁ドン♡の威力で、カーバンクルの頭を地面にゴン!と這い蹲らせてやりました。
しかし悲しいかな、女性の軽い体重ではカーバンクルに大してダメージを与える事は出来ません。
でも……今までとは手応えが違う様な……?
しかし、それがよほど屈辱だったのか……
カーバンクルは立ち上がると怒りに任せて、鋭い爪がついた手を高々とサクラとシェリルに向けて連続で降り下ろします。
「これでどぉっ?……顎クイ♡!」
サクラはカウンターの顎クイ♡を3回連続でカーバンクルの顎にカウンターで喰らわせます。
始まってからここまでの一連の動作は、高速の動きで流れる様なハイスピードバトルです。
戦闘未経験なシェリルでは、目で見て追い掛けるだけで精一杯です。
しかし、3回ともカーバンクルを見上げながらのカウンターなので威力が充分に伝わっていません。
しかも、カウンターは云わば精神を磨り減らす攻撃です。
それを3回も連続で敢行したので、攻撃をした方のサクラが肩で息をしています。
しかし、カーバンクルの方もサクラを襲おうと駆け出した瞬間ガクンと腰砕けになります。
カーバンクルの体力も、許容量を越えている様です。
お互いフラフラの状態の中、先に攻撃を繰り出したのは……
基礎体力が勝っているカーバンクルの方でした!
スローな感覚の中、カーバンクルが4つ脚の状態のままゆっくりと腕をサクラに降り下ろしたんです。
ボクの目の前で……
すると、突然シェリルの脳裏に……
力尽きてゆっくりと地に沈む、サクラの未来のビジョンが浮かんだんです!
誰かを失うなんて……
そして、その時ゆっくりと沈むサクラの顔には頬から一筋の涙が流れていて……
シェリルをひとり遺す後悔の念と、絞り出されるココロの声をはっきりと感じ取ったんです!
イヤだよおっ……!
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