ダダ甘♡ワードオーダー

第1章.プロローグ

第06話.許嫁もダダ甘♡です(その1)

　ワープホールは、シェリルを数多のモンスター達が跋扈ばっこする異世界へと飛ばした……ハズでした。
しかし、シェリルが実際に飛ばされた場所とは……

　キュウゥゥゥ……と空間の一点の磁圧が渦を巻く様に集約されてワープホールが発生しました。

「うわぁっ……！」

　ワープホールからドスンと落ちた際にシェリルは尻餅を付き、いっててて……とお尻を擦っています。

　ワープホールからペッと放り出されたシェリルの目の前に広がるのは、夕日をバックに沢山立ち並ぶ藁葺わらぶき屋根の集落……
ただ、まだ日の出ている内なので見に来ている「観光客」と呼ばれる人たちでごった返しています。
しかしその人たちはみんな霊感がないのか、異世界の住人であるシェリルが “ 視えない ” らしく誰も気付きません。

　ただ1人を除いては……

「誰なの、貴方は？」

　どうやら、女の子みたいです。
藁葺き屋根の家の陰から、恐る恐る顔だけ出しています。

「えっ、キミはボクが分かるの？」

「えぇ、バッチリ “ 視えて ” いるわよ！
貴方が、この世界の人じゃない事もね！」

　どうやら、この女の子には霊感がある様ですね。

「ボクが “ 視えて ” いるんなら教えて欲しいんだ。」

「あのね、ヒトに物を聞くならまずは名乗るのが常識でしょ……？」

　あ、そうでした……確かにその通りです。

「ボクは、シェリル＝グレイシア。
キミは……？」

「ワタシはサクラ、上村……桜よ。」


【サクラ】───────────

　この女の子の名前は上村桜うえむらさくらです。
髪はダークブラウンの長髪で、ツインテールに結っています。
目の色は黒です。
体つきは全体的に華奢で、身長はだいたい150cmくらいでしょうか。
胸の大きさは、控え目に主張しているCカップです。

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　サクラはふぅと大きく溜め息をつき、家の陰から出て来ながら言いました。

「それで、聞きたい事って何よ？」

　サクラの着こなしコーデは、今流行りの片腕をガッツリ出した黒のワンショルダートップスとピンクのサロペットスカートです。
“ 女子力高め ” なのかなって思っていたら、実は別の理由があるみたいです……

「では……サクラ……さん、ココって……どこなんですか？」

「ココは、日本の白川郷って言うのよ。
写真に残しておきたい “ 元風景のひとつ ” だって思っているわ。」

　シェリルがワープホールで跳んだ先は、どうやら日本の白川郷みたいです。
まさに日本の元風景のひとつと言うだけあって、壮大な景色です。


【白川郷】───────────

　白川郷には藁葺き屋根の家がたくさん、規則正しく同じ方向を向いて並んでいます。

　藁葺き屋根の家は、屋根の形が合掌した時の手の形に似ていることから『合掌造がっしょうづくり』と呼ばれています。

　屋根の構造は２階以上に柱を立てることなく広いスペースを確保できる、２本の丸太を頂部で交差させ屋根を作る叉首構造になっています。
角度は45～60度の急勾配で、雪が降っても自重で落ちるように工夫されています。

　茅葺屋根の葺き替えは30年～40年に1度、地域住民の共同作業で行われています。

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　気が付くと、サクラはシェリルの事をじーっと見ていました。


　よくよく見たらこの子、ワタシと同じくらいの年齢なのかしら？
イケメンで、なかなか可愛いトコあるじゃない……


　でも……とサクラは自分の胸に手を当てます。
急激な気持ちの変化に、サクラのココロが追い付いていない様です。


　何なの、この気持ち……？
でも……この子の為ならワタシ、どんな事でもやってあげたいな……


















　どうやらシェリルに出会った事で、サクラにもダダ甘♡症状が出てしまった様です。
いや、ダダ甘♡だけでは無い、フィリル母さん達とは別の感情も……
コレって、もしかして……？