ダダ甘♡ワードオーダー

きぐるみんZ

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第1章.プロローグ

第05話.ダダ甘ワープホール(その2)

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 シェリルは、布団の中で今日の出来事をぼーっと思い出していました。
最初は、『成人の儀式』と聞いてもっと命を賭けるものかと思い、行くのを渋っていました。
しかし、いざ蓋を開けてみたら……
成人の儀式とはいえ、何時でも好きな時に自宅に帰れる “ お気楽旅 ” なんです。

「これなら、ダダ甘♡なボクでも最後まで続けれそう……」

 結局その夜、シェリルとチェリーはぬくぬくとベッドにくるまり至福の一晩を過ごしたのでした。



2日目……


 今日は、まだ朝日が出ていない薄暗い内にシェリルは目を覚ましました。
すると、隣から寝息が聞こえます。
シェリルはゆっくり顔を横に向けてみました。
チェリーが、小さな手をシェリルの手と繋いでスースー寝ていたんです。

「ぐっすりと寝てるね……
それにしても、女の子って小さくてもイイ匂い……」

 更にその向こうで、2人を見守る様にリフィおばさんが椅子に座ったまま上半身だけベッドに臥せて寝ています。
シェリルは一瞬ベッドから出るのを躊躇いましたが、惜しみつつ静かにそっとチェリーの手を放してベッドの横でいそいそと着替えました。

 着替え終わったシェリルは、そっとリフィの肩にタオルケットを掛けてあげました。

「あ、おはよう、シェリルちゃん……」

「おはよ、リフィおばさん……起こしちゃってゴメンね。」

「イイのよ、気にしなくて。」

「おばさん、昨日のワープホールの事とか色々物知りなんですね?」

「あら、アタシも “ グレイシア軍団 ” の情報解析担当だから使えるのよ、潜脳記憶インフィニティのスキルをね。
脳内にダイブして、記憶を閲覧したり共有化させた記憶を植え付けたり出来るの。」

 発動条件は、相手に自分の能力をカミングアウトする事。
これで、シェリルもリフィからの情報を共有出来る様になった訳ですが……
当の本人はその事にまだ気付いていません。

「リフィおばさん、チェリーちゃんに上手く言っておいて下さいね。」

 シェリルは、ウインクするリフィにペコリと一礼して自分の部屋を出ました。
グレイシア邸は全ての部屋が大広間のリビングに繋がっていて、そこを経由して玄関から外に出る造りになっています。

「おはよう、母さん……」

 リビングには、フィリルが朝食を作って待っていてくれました。
グレイシア一家が住んでいるスメルクト大陸の特産品、スメルクト大麦を使って焼いたパンをミルクで煮込んだ特製フレンチトーストです!
スメルクトパンはそのままではカチカチに堅くて食べられないので、こうやってミルクに浸すのが一般的なんです。

「おはよっ、シェリル!
食べながらでイイから、聞いて欲しいの。」

 シェリルはフレンチトーストを美味しそうに頬張りながら、フィリルの話を聞きます。

「今日からいよいよ、2つ目の課題よ!」


────────────────

☆Mission 2

飛ばされた先の異世界で現当主からの課題をクリアせよ!

────────────────


「昨日見つけたワープホールを使って異次元に跳んでひたすらモンスターと闘ってもらうわ。
これが、現当主であるママからの課題。
タイムリミットはシェリル自身の『インフィニティ』が見つかるまでよ!
昨日ママが授けた能力『コンシーラー』のお陰で、モンスターが瀕死になると麻痺状態になるから大丈夫よぉ~。」

 シェリルは食べ終わり、2人で玄関から外に出ます。

「麻痺したモンスターは私が『インフィニティ』で全てこちらの世界に取り込むから、貴方は何も気にする事なく無双しちゃいなさいねっ!」

 シェリルがワープホールを呼び寄せると、自分の周りを空気の渦がまとわり付きます。
すると突然、頭上にぽんっとワープホールが出現したではありませんか!
ワープホールも大好きなご主人さまに呼んでもらえたのがよほど嬉しいのか、ピンクに点滅したままピョンピョン跳ねて喜びを表現しています。

「じゃあ母さん、行って来るね!」

 フィリルがコクンと頷くと、ワープホールに吸い込まれて姿が見えなくなってしまいました。


















「あの子、向こうの世界でどうすればイイか分からずに泣いたりしていないかしらぁ~?
モンスターに襲われて、泣きながら逃げ回っていないかしらぁ~?
私もシェリルと一緒に行った方が良かったのかしらぁ~?
オロオロ……」


 このエプロン母さん、やっぱり最後までダダ甘♡なのです……




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