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第1章.プロローグ
第03話.旅立ちもダダ甘です(その3)
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それでも、シェリルが行きたくないとウジウジしている理由は……
「だって、母さんと離ればなれになるのイヤだも~ん!
それにボク、モンスターを昇天させるなんてそんな残酷な事出来ないしぃ~!」
グレイシア家の次期当主は、筋金入りのダダ甘♡息子だったからです。
「シェリル、そんな事じゃ何時までも……」
そうだ、この手ならどうかしら……
おじいちゃん、おじさん、お願いねっ……!
「シェリル、ママと離ればなれにはならないわよぉ~!」
フィリルは、チラと目配せして応援を要請します。
みんなで、コクンと頷きます。
「そ、そうじゃな、昔と現在では時代が違うんじゃからの。」
カメルじいさんが、懐かしそうに言います。
「昔ワシらが子供の頃は、1度ワープホールに入ってしまうと、ずっと行ったっきりだったもんじゃて。」
マースおじさんも、ニッコリ笑って言いました。
「でも、ボクらの世代ではもうすでにワープホールを経由して何度でもお互いの別世界を自由に行き来出来る様になっていたよ。」
おじいちゃんとおじさんのナイスフォローのお陰で、あれだけワープホールを嫌がっていたシェリルの目がキラッキラ輝いています。
フィリルは、シェリルの身体をギュッと抱き締めて言いました。
「だから、疲れたらこっちに帰って来て、思う存分ママに甘えて翌日またトライするの!
シェリルは、自分のペースで儀式に挑めばいいのよぉ~。」
それに……と言いながら、フィリルは自分の手を差し出します。
「じゃあシェリル、ママの手を優しく握ってみてぇ~。」
シェリルは、母の手を両手で優しく握ります。
フィリルは優しさに満ちた目で、しかし息子の目をじっと逸らさずに見つめます。
そして、ニッコリ笑って言いました。
「ママね、シェリルの格好いいトコを見てみたいのよねぇ~。
だって、ママの自慢の子だもんっ!」
あ、シェリルの目がまたキラッキラ輝いてる!
「うんっ、行くよ!
そして、母さんが自慢出来る様にいっぱい頑張るよ!」
そして、フィリルは言いました。
「今ね、シェリルが握ってくれた手を通してママの能力『暗器』を貸し与えたからっ!」
手の表面をよく “ 視る ” と……
何やら自分の魔力が荊の棘みたいになっている様な……
「これで、今の貴方は一定の条件で攻撃すると相手モンスターを麻痺させられる様になったわぁ~。
これで、貴方はモンスターを昇天させたりとか残酷な事をしなくても済む様になったわよっ!」
そして、フィリルは息子の目の前でタタタンッ!とたたらを踏んで見せます。
「コンシーラーのもうひとつの効果として、攻撃スピードがアップするのっ!
そして、隠密攻撃する時に先制攻撃が成功しやすくなるのよぉ~。」
そして、フィリルは誇らしげにVサインを出しながら平然とこう言ってのけたんです!
「『武器の外部属性付与』と『スピードアップ及び隠密による先制攻撃成功率アップ』、この2つでモンスターを撹乱するのが私達グレイシア家の戦い方なのよねっ!」
って言うか、たかが息子の「成人の儀式」にそこまで至れり尽くせりお膳立てしているフィリルも、親としてダダ甘♡の様な気がしますが……
そして、フィリルはコホンと1回咳払いをして……
「では、グレイシア家当主としてシェリルに命じますっ!」
フィリルはひと声発した後、部屋の窓を開けます。
そして、大空に向かって手を広げながら言いました。
「まずはこの世界で……
シェリル専用の、自分だけのワープホールを見つけ出してもらうわ!」
シェリルも、フィリルと一緒に周りを見回します。
空にも庭にも、遠くの森にも……
至る所にワープホールが、無数に口を広げています。
まるで、ウサギ……いや、モグラの巣穴?
「至る所にあるじゃない……母さん。」
「だって、母さんと離ればなれになるのイヤだも~ん!
それにボク、モンスターを昇天させるなんてそんな残酷な事出来ないしぃ~!」
グレイシア家の次期当主は、筋金入りのダダ甘♡息子だったからです。
「シェリル、そんな事じゃ何時までも……」
そうだ、この手ならどうかしら……
おじいちゃん、おじさん、お願いねっ……!
「シェリル、ママと離ればなれにはならないわよぉ~!」
フィリルは、チラと目配せして応援を要請します。
みんなで、コクンと頷きます。
「そ、そうじゃな、昔と現在では時代が違うんじゃからの。」
カメルじいさんが、懐かしそうに言います。
「昔ワシらが子供の頃は、1度ワープホールに入ってしまうと、ずっと行ったっきりだったもんじゃて。」
マースおじさんも、ニッコリ笑って言いました。
「でも、ボクらの世代ではもうすでにワープホールを経由して何度でもお互いの別世界を自由に行き来出来る様になっていたよ。」
おじいちゃんとおじさんのナイスフォローのお陰で、あれだけワープホールを嫌がっていたシェリルの目がキラッキラ輝いています。
フィリルは、シェリルの身体をギュッと抱き締めて言いました。
「だから、疲れたらこっちに帰って来て、思う存分ママに甘えて翌日またトライするの!
シェリルは、自分のペースで儀式に挑めばいいのよぉ~。」
それに……と言いながら、フィリルは自分の手を差し出します。
「じゃあシェリル、ママの手を優しく握ってみてぇ~。」
シェリルは、母の手を両手で優しく握ります。
フィリルは優しさに満ちた目で、しかし息子の目をじっと逸らさずに見つめます。
そして、ニッコリ笑って言いました。
「ママね、シェリルの格好いいトコを見てみたいのよねぇ~。
だって、ママの自慢の子だもんっ!」
あ、シェリルの目がまたキラッキラ輝いてる!
「うんっ、行くよ!
そして、母さんが自慢出来る様にいっぱい頑張るよ!」
そして、フィリルは言いました。
「今ね、シェリルが握ってくれた手を通してママの能力『暗器』を貸し与えたからっ!」
手の表面をよく “ 視る ” と……
何やら自分の魔力が荊の棘みたいになっている様な……
「これで、今の貴方は一定の条件で攻撃すると相手モンスターを麻痺させられる様になったわぁ~。
これで、貴方はモンスターを昇天させたりとか残酷な事をしなくても済む様になったわよっ!」
そして、フィリルは息子の目の前でタタタンッ!とたたらを踏んで見せます。
「コンシーラーのもうひとつの効果として、攻撃スピードがアップするのっ!
そして、隠密攻撃する時に先制攻撃が成功しやすくなるのよぉ~。」
そして、フィリルは誇らしげにVサインを出しながら平然とこう言ってのけたんです!
「『武器の外部属性付与』と『スピードアップ及び隠密による先制攻撃成功率アップ』、この2つでモンスターを撹乱するのが私達グレイシア家の戦い方なのよねっ!」
って言うか、たかが息子の「成人の儀式」にそこまで至れり尽くせりお膳立てしているフィリルも、親としてダダ甘♡の様な気がしますが……
そして、フィリルはコホンと1回咳払いをして……
「では、グレイシア家当主としてシェリルに命じますっ!」
フィリルはひと声発した後、部屋の窓を開けます。
そして、大空に向かって手を広げながら言いました。
「まずはこの世界で……
シェリル専用の、自分だけのワープホールを見つけ出してもらうわ!」
シェリルも、フィリルと一緒に周りを見回します。
空にも庭にも、遠くの森にも……
至る所にワープホールが、無数に口を広げています。
まるで、ウサギ……いや、モグラの巣穴?
「至る所にあるじゃない……母さん。」
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