身長差38センチもある後輩・白河真雪くんが隙あらば過保護に溺愛してきます

ユカヲ

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レイエスフーズに強制捜査ー6

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「はい、リテールグループの和田です。
 ……はい。……はい、わかりました」

 和田さんのデスクの内線が鳴り、和田さんは返事だけを繰り返して電話を切る。

「これから所属長会議です。
 みんなも仕事にならないと思うが、たぶんお客様から問い合わせの電話が来ます。
 くれぐれも、まだ詳しいことが分からないから何も言えない、と伝えること。
 絶対に、憶測や勝手な判断でお客様に不確かな情報を与えないでください」

 営業部内の他のグループ長たちと一緒に、和田さんは会議室へと向かった。

 和田さんの言う通り、徐々にリテールグループの外線着信が鳴り始める。

 普段担当している冷凍食品部門の管理者のこともあれば、直接取引会社の社長さんが電話してくることもあった。

 一方的に怒りをぶつけられたり、逆に同情されて心配していただくこともあって、そのたびにみんな電話に向かって頭を下げている。

 だいぶ長い時間の会議の後、和田さんが戻ってきた。

「去年1月からの粉飾決算ふんしょくけっさんの容疑で、社長と専務が逮捕、そしてインサイダー取引の容疑で経営企画部の草野くさの部長と宮城みやぎさんが逮捕されました」

 どよめきが広がり、私も驚いて息を飲んだ。

 経営企画部の宮城さんって、あの宮城みやぎ 絵里香えりかさんだよね?
 長くてサラサラの髪と、真っ赤なリップを塗った派手な顔を思い出す。

「今日の午後7時から、白河会長がマスコミ向けに記者会見を行います」

 ざわめくみんなを鎮めるように、芯のある声で和田さんが伝える。

「今はまだこれだけの情報しかない。
 引き続き、電話対応を頼みます。
 あとマスコミに何か聞かれても、黙ってスルーしてください」

 そう言っている間にも電話が鳴り、対応してくれる人以外は和田さんの周りから離れなかった。

「和田君、社長の事知ってたんじゃないの?」

「もしかして情報をリークしたのって和田グループ長ですか?」

 疑いの目を向けられた和田さんは、切れ長の目を鋭くして、キュッと口角の上がった形のいい口元は笑みを浮かべているようにも見える。

「社長のことは知っていましたよ。
 それでも俺は止められず、内部告発する勇気もありませんでした」

 浅い微笑みを消して、和田さんは深く頭を下げた。

「父が大変なことをして、皆さんには多大な迷惑をおかけします。
 息子として謝罪します。
 本当にすみませんでした」

 いさぎよい和田さんの態度に、みんなもたじろいで、電話対応中の同僚もあっけに取られている。

「いや、和田君に謝ってもらいたいわけでもないから」
「和田グループ長が一番つらいよな」
「じゃあ、誰が告発したんだ?」

 和田さんを擁護ようごする声と、内部告発をした人を探す発言が飛び交った。

「和田社長が辞めたら得するのって、白河じゃないか?」
「白河君なら、会長の孫だし、経営企画部でいろんな情報が入るだろうし……」

 内部告発をしたのは、真雪くんではないかとみんなが疑い始める。
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