身長差38センチもある後輩・白河真雪くんが隙あらば過保護に溺愛してきます

ユカヲ

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和田グループ長の告白ー3

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 リテールグループのフロアに到着し、エレベーターを降りると、ちょうど会議が終わった和田グループ長が、パソコンを抱えて会議室から出てきたところだった。

「あ、グループ長」
 
「社長室、行ってきた? 白河会長の要件、何だった?」

 和田グループ長と一緒に会議をしてた研究開発チームの皆さんが、口々に「お疲れ様です」と言いながら通り過ぎていく。

「お疲れ様です」

 和田グループ長も爽やかな笑顔で返した。

「ごめん、で? どうだったの?」

「あ……、いや……」


 あれ?
 白河会長がいるって、グループ長知ってたのかな?

 結局のところ、社長室に呼び出されたのは、真雪くんと噂になっている私に、白河会長が会ってみたかったってことだよね?
 会長が真雪くんに会社を譲りたいと言っていたのを、和田グループ長にも私から話していいものか分からない。

 だけど真雪くんが受けているパワハラ問題については相談したい。


「実は……」

 私が話し始めると、和田グループ長のスマートフォンが鳴った。

「あ、ごめん。 桃ちゃん、また後で。
 はい、リテールグループの和田です。……あ、その件でしたら……」

 和田グループ長は、ノートパソコンを片手に持ち直して電話をとり、私に向かってごめんと謝るように小さく指を揃えて、横にある休憩スペースへと移動した。

 真雪くんのパワハラ問題は、また折を見て話そう。
 なかなか和田グループ長に話せる機会がないんだよね。
 やっぱり直接、コンプラ委員に相談した方がいいかな?


 真雪くんと抱き合ってた女性のことや、パワハラ問題のこと、それに社長室での会長や社長との会話で、なんだか気持ちが落ち着かない。

 よし、こういう時は仕事するに限る!


 オフィスに戻って、量販店用の新規商品導入や廃止を決める、改廃かいはいのプレゼン資料の作成をすすめた。

 仕事をしていると、だんだん熱中してしまい止まらなくなる。

「桃ちゃん、まだ残る?」

 和田グループ長が肩を叩いて話しかけ、ハッとパソコンから目を上げた。

 いつのまにか定時を過ぎていて、そういえば帰っていく何人かに「お疲れ様です」と無意識に挨拶を返した気がする。

「あ、もう、帰ります」

 別に急ぐ仕事じゃないけど、リテール営業にとって改廃かいはいは大事なプレゼンの一つだから、ついつい熱が入ってしまった。

「じゃあ、ちょっと飲みに行かない?」

「えっ、他にも誰か行くんですか?」

 誰か残っているのかと思ったけど、オフィスの中には私と和田グループ長の姿しか見えない。
 
 社長が、昔はほとんど帰れなかったって言ってたけど、想像できないな。
 
「フフッ。オレと2人じゃ嫌?」
 
「嫌っていうか……」

 飲み会が好きだった前の上司の豊崎とよさきグループ長は、たまにみんなを誘って、何人かで居酒屋に行ったりしていた。

 仕事の後に飲みに行くと言ったら、その時のノリを思い出したけど、和田グループ長は妙に色気のある誘い方だ。

 普段、『僕』呼びなのに、『オレ』になってるし。

「嫌じゃないなら、行こうか。何食べたい?」
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