身長差38センチもある後輩・白河真雪くんが隙あらば過保護に溺愛してきます

ユカヲ

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白河会長のワガママー6

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「和田君に無理を言って、真雪と一緒に来てもらったんだ。
 何でも私の言う事を聞いてくれる和田君は、『実の息子』よりも、私の息子みたいだな」

「ハハハ、会長の息子だなんて恐れ多いですよ」

 社長は、手を顔の前で振りながら嬉しそうに笑う。
 その様子はとても自然で、まさか恨みがましい顔でにらんでいたなんて信じられない。


 先輩たちが話していた、和田社長と白河会長の派閥同士が、水面下では相当仲が悪く、バチバチの関係だという話を思い出した。

 白河会長は結構強引な方だし、その下でずっと働いてきた和田社長には長年の鬱憤うっぷんがあるのかもしれない。

 こんなギスギスした中に、真雪くんが次期社長として入るの?
 心配過ぎる。

「世間知らずの真雪が、どんな女性に熱を上げているのか気になっていたが、噂というのは当てにならんもんだな。
 素直で真面目そうなお嬢さんで安心したよ」

 会長と社長の関係について考えていた私は、最初よりもずいぶんトゲを抜いた白河会長の言葉にハッとして、いつもの営業スマイルを浮かべた。

「真雪はこのレイエスフーズを背負って立つ人間だ。
 桃花さんにも、そこのところをよく分かっておいてほしい」

「しょ……承知いたしました」

 射抜かれるような鋭い視線に、またジワリと変な汗が出る。

くれない君は、晃平からもリテールグループで優秀だと聞いているよ。
 しかも、昔住んでたマンションでウチと隣同士だったらしいね」

 和田社長は私にも親し気に微笑みかけた。
 笑顔になると目が細くなるその顔は、和田グループ長に似ている。
 
「はい、和田グループ長には、幼い頃よく遊んでもらっていた記憶があります」

「20年くらい前か?
 その頃は、私も忙しくてほとんど家に帰れないような生活だったからね。
 晃平がこんなに可愛らしいお嬢さんと幼なじみだったなんて、知らなかったよ、ハハハハ」

 社長はわざとらしいほどに、大きく声を出して笑った。

 その笑い声に隠れて、真雪くんがつぶやいたのが聞こえる。

「20年前? 俺が桃花に会ったのが15年前だから……負けた……」

 真雪くんは、どうやら和田グループ長が真雪くんよりも早く私に出会ったことが悔しいみたいで、会長と社長の目の前で背筋を伸ばしたまま座っている私の背中に触れる。


 こ、こんなとこでまで、スキンシップしてきちゃダメ!


 ギッと横目で見ると、愛おしそうに見つめ返され、私はため息をついた。
 真雪くんには『やめなさい』って、アイコンタクトが通じない。

 まったく、真雪くんは隙あらば溺愛してくる。
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