身長差38センチもある後輩・白河真雪くんが隙あらば過保護に溺愛してきます

ユカヲ

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社長室への呼び出しー1

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 相変わらず仕事に忙しい毎日で、服装も秋というより冬物に近くなってきた。

 真雪まゆきくんとも、お付き合いは順調にすすんでいる。

 基本的に週末だけ14階の彼の部屋へお泊りするが、メッセージをすると必ず返信がくるからそれだけでも嬉しい。

 10月から異動した真雪くんは経営企画部にも、だいぶ慣れてきたみたいだけど、相変わらず残業は多い。

ーーーー

「桃花は本当に丁寧に教えてくれてたけど、ここでは何も説明されないまま自分で調べながらたくさんの作業しなきゃいけなくて。理不尽に怒鳴られることも多いんだ」

 異動してずいぶん経ってから、こんな風に真雪くんが言うから、私は驚いてしまった。

「新人に仕事を教えないで、押し付けて、その上怒鳴るってどういうこと?
 それってパワハラじゃない!
 コンプラ違反だよ、真雪くん」

 そう言っても、だんだんやり方がわかってきたから大丈夫だと笑う真雪くんが心配になる。

「自分のことになると、ひたむきに頑張るところは桃花のマネをしてる。
 ほら、夫婦は似てくるって言うし」

「変なとこ、マネしちゃダメ。
 ちゃんとパワハラだって報告しよう。
 っていうか、まだ……ふ、夫婦じゃないし」

 私がいきどおっていると、ギュッと抱きしめられ耳にキスされた。

「うん、『まだ』だけど、必ず桃花を俺の奥さんにするから」

 耳にかかる甘い声に、心臓はドキドキして、身体の力が抜けちゃう。

 真雪くんのお嫁さんになったら、心臓1個で足りる?
 あぁぁ、年下彼氏からいつもデロデロに溶かされるぅ。

 
 ……ハッ。いけない。
 つい色ボケしてしまってた。

 許せないパワハラ問題については、私も真雪くんの力になりたい。
 まずは上司に相談……かな?


ーーーー


 そんなある日、営業先から会社に戻ると、上司の和田わだグループ長から明日の予定を尋ねられた。
 
 
くれないさん、明日の16時って何かお客様のアポがある?」

「明日の16時?……大丈夫です」

 肩にかけたバッグからスケジュール帳を出して、確認して答える。
 
 会議か、商品打ち合わせかな?

 
 予定を想像しながら、和田グループ長の顔を見上げると、心配そうな顔で見られていた。

「社長室に、呼び出し」

「え?」

「何やったの? 桃ちゃん」

 手を口の横に当てて、和田グループ長はささやいた。
 その顔は、上司というより、妹を心配するお兄ちゃんって感じ。

「何って……何もやってないと思いますけど……」

 想像もしてなかったことに戸惑い、私の顔は自然と斜めに傾いた。
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