身長差38センチもある後輩・白河真雪くんが隙あらば過保護に溺愛してきます

ユカヲ

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新しい上司はワイルド系イケメンー2

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「僕が関西に行ってる間にリテールへ来た人とは、初めましてだね」

 スッと右手を差し出されたから、条件反射で握手を返すと大きな手でしっかりと握られる。

「社長の和田わだ 輝明てるあきは、僕の父だよ。
 のおかげかな。
 僕も頑張ったから、社長の忖度そんたくなしで、昇進したと思いたいですけどね。
 ねぇ、江崎さん」

 ちょっと当てこすりみたいに『社長の息子』だと教えた江崎先輩にも、笑っていさめ、見た目はワイルド、笑うと目が細くなって可愛い和田さんはすごくモテそうな人だ。

「えーっと……」

 さっきから握手したままの手をなかなか離してもらえず、だんだん周囲の目線が痛くなる。
 
「あっ、4年目のくれない 桃花ももかです!
 このリテールでの仕事は、消費者が実際に購入されるのを見れるところにやりがいを感じます!
 よろしくお願いいたしますっ」

 挨拶と一緒に勢いよくお辞儀して、スッと手を離すことに成功した。

「よろしく。元気だね、くれないさん」

 和田さんは優しく微笑んで、私の顔をじっと見る。

「はい、元気だけが取り柄です」

 横から江崎先輩がニヤニヤと付け足した。

くれないちゃんは、白河会長の孫とラブラブなんだよ、和田君」

 一瞬、和田さんの表情がピクリと動く。

「白河が異動になって淋しいだろうけど、新しく来た和田さんと浮気すんなよー」

 他の先輩たちも面白がって、茶々を入れる。

「なっ……。浮気なんてしませんよっ。
 本当に個人情報の流出やめてくださいっ」

「へぇ、くれないさんって彼氏いるんだな」

 和田さんは切ない響きを含ませて、目を少し細めた。

 他人の恋愛を茶化すのが好きなみんなは、目ざとく若い上司の表情を拾ってはやし立てたり、うらやましがる。

くれないちゃんばっかり、イケメンと仲良くなるのズルーい」

「いやいや、仲良くって……ご挨拶しただけですっ」


 みんながふざけて、なんでも社内恋愛にしようとするクセ、どうにかなんないの?

 
 だけど、豊崎グループ長もいい上司だったけど、和田さんもいい人そうだ。
 
 それにしても、なんとなく和田さんの笑顔と名前に、憶えがあるような……?

 社長の名前と同じ苗字だからかな?

 
 小さなひっかかりを気のせいだと思って、私はいつものように仕事に燃えた。
 
 白河君と豊崎グループ長がいなくなって淋しいけど、仕事は仕事だ。

 白河君も、今頃きっと新しい部署で頑張ってるはず。
 私もバリバリやるぞ!
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