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異動部署の発表ー2
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そして公私ともに白河君と一緒にいることが多い私も、話題になることがあった。
「白河 真雪の彼女って、ホラ、あのちっこい子」
私は白河君が溺愛している彼女だと、たまに指をさされる。
ーーーー
ある日、他部署の先輩たちが、口さがなく私のことをウワサしているのが、エレベーター待ちしている間に聞こえてきた。
「ロリっぽい顔なのに、おっぱいでかくね?」
「つーか、なんかエロいよな? AVとかに出てそう」
「あれに挟まれてぇ、ヒヒヒ」
は?
本当に気持ち悪い。
せめて私に聞こえない所で話してよ。
AVなんて誰が出るか!
こうやって童顔や胸が大きいことを、いやらしい目で見られるのは慣れているけれど、腹が立つ。
でも他部署の人だし、揉めるのも面倒。
白河君もいるし、聞こえなかったふりをして、怒りを我慢だ。
私は、大きなため息をつく。
一緒に並んでいた白河君は、くるりとそちらへ振り向くと、その失礼な先輩たちを高身長から見下ろし、自分のスマートフォンを掲げた。
あれ? どうしたの、白河君?
「先輩方、お疲れ様です。
今の会話をスマホで録音したんですけど、これコンプライアンス委員会に提出するのと、上層部に報告するのはどちらがいいんですか?」
ゾッとするほどきれいに微笑んだ白河君は、スーッと冷酷な無表情に変えながら低い声を響かせた。
「加工品グループの坂井先輩と、高橋先輩ですよね?」
「な……なんで俺たちの名前……」
普段、全然関わりがない部署の人たちなのに、なんで白河君は名前まで知ってるんだろう?
「先輩たちの名前は、6月の社内報に写真付きで記事が載っていたからわかります。
それよりも、社内のセクシャルハラスメントはどう対応すべきなのか、新人だから、わからないんですよ。
教えて下さい、先輩」
社内報なんて、一度読んだら誰もがすぐに忘れちゃうような内容も覚えてるの?
記憶力オバケの白河君が、冷静に凄む様子は、隣で見てても震えるほど怖い。
私、白河君のこと怒らせないようにしよう……。
絶対勝てる気がしない。
セクハラ発言の現行犯たちは、白河君の怖さを感じているのか、顔色がみるみる悪くなる。
エレベーターが開いたが、先輩たちは固まって乗ろうとしなかった。
「あ、あの……すみませんでした。
えっと、白河クン? その録音、消してくれるよね?」
「すみません、もう言いませんから。
報告だけは……」
ヘコヘコと情けない声を出して、先輩たちが謝ってくる。
エレベーターに乗った私と白河君は、ホールの方を振り返って、青くなっている先輩たちを見た。
「あ、録音してると思ってたら、録音アプリ起動してませんでした」
無表情のまま、白河君はスマートフォンの真っ黒な画面を先輩たちに見せて、ドアが閉まる。
録音してたとか、謝らせるためのウソだったんだな。
「白河 真雪の彼女って、ホラ、あのちっこい子」
私は白河君が溺愛している彼女だと、たまに指をさされる。
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ある日、他部署の先輩たちが、口さがなく私のことをウワサしているのが、エレベーター待ちしている間に聞こえてきた。
「ロリっぽい顔なのに、おっぱいでかくね?」
「つーか、なんかエロいよな? AVとかに出てそう」
「あれに挟まれてぇ、ヒヒヒ」
は?
本当に気持ち悪い。
せめて私に聞こえない所で話してよ。
AVなんて誰が出るか!
こうやって童顔や胸が大きいことを、いやらしい目で見られるのは慣れているけれど、腹が立つ。
でも他部署の人だし、揉めるのも面倒。
白河君もいるし、聞こえなかったふりをして、怒りを我慢だ。
私は、大きなため息をつく。
一緒に並んでいた白河君は、くるりとそちらへ振り向くと、その失礼な先輩たちを高身長から見下ろし、自分のスマートフォンを掲げた。
あれ? どうしたの、白河君?
「先輩方、お疲れ様です。
今の会話をスマホで録音したんですけど、これコンプライアンス委員会に提出するのと、上層部に報告するのはどちらがいいんですか?」
ゾッとするほどきれいに微笑んだ白河君は、スーッと冷酷な無表情に変えながら低い声を響かせた。
「加工品グループの坂井先輩と、高橋先輩ですよね?」
「な……なんで俺たちの名前……」
普段、全然関わりがない部署の人たちなのに、なんで白河君は名前まで知ってるんだろう?
「先輩たちの名前は、6月の社内報に写真付きで記事が載っていたからわかります。
それよりも、社内のセクシャルハラスメントはどう対応すべきなのか、新人だから、わからないんですよ。
教えて下さい、先輩」
社内報なんて、一度読んだら誰もがすぐに忘れちゃうような内容も覚えてるの?
記憶力オバケの白河君が、冷静に凄む様子は、隣で見てても震えるほど怖い。
私、白河君のこと怒らせないようにしよう……。
絶対勝てる気がしない。
セクハラ発言の現行犯たちは、白河君の怖さを感じているのか、顔色がみるみる悪くなる。
エレベーターが開いたが、先輩たちは固まって乗ろうとしなかった。
「あ、あの……すみませんでした。
えっと、白河クン? その録音、消してくれるよね?」
「すみません、もう言いませんから。
報告だけは……」
ヘコヘコと情けない声を出して、先輩たちが謝ってくる。
エレベーターに乗った私と白河君は、ホールの方を振り返って、青くなっている先輩たちを見た。
「あ、録音してると思ってたら、録音アプリ起動してませんでした」
無表情のまま、白河君はスマートフォンの真っ黒な画面を先輩たちに見せて、ドアが閉まる。
録音してたとか、謝らせるためのウソだったんだな。
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