身長差38センチもある後輩・白河真雪くんが隙あらば過保護に溺愛してきます

年下も可愛いかもしれないー2

「あ、もうこんな時間なんだ。
　ごめんね、遅くまで。　
　すごくおいしかったよ、ごちそうさまでした」

　私は、せめて洗い物の後片付けくらいはさせて欲しいとお願いして、白河君と並んで食器を洗う。

「ちょっと、ここのマンションのシンクって高いよね」

　私はほとんど料理をしないけど、キッチンの調理台は少し高めで、私にはちょっとやりにくい。

「そうなんだよ、そこが気に入ってここに住むことにしたんだ」


　そうか、白河君は背が高いから、低いキッチンだと腰が痛くなりそうだよね。


　白河君は、すでに私の茶碗や箸もそろえてくれていて驚いた。
　それに食器選びのセンスもいい。

「俺とおそろいにしたけど、もし気に入らなかったら一緒に買いに行こう」

「ううん、すっごくかわいいお茶椀だよね。
　北欧風っていうか、お皿も素敵なのばかりで、私は好きだよ」

「九州の波佐見はさみ焼って食器なんだけど、俺もシンプルで色使いがきれいだから好きなんだ」

「へぇ、ハサミ焼？　っていうのがあるんだ？」

　拭いた食器を仕舞いながら、白河君は微笑んだ。

　白河君は私よりも年下だけど、色々なことを知っていて、背の高さから少しお兄さんっぽい感じもしてしまう。

　つい、きれいな笑みにドキッとしてしまった。

「今日は、本当にありがとう。
　また、来週ね」

　食器も片づけ終わり、スマートフォンで時間を確認して白河君に挨拶する。

「えぇっ。　桃花、泊っていかないの？」

　バスルームの方で、棚からタオルを出していた白河君は驚いたように目を見開く。

「え、いや……泊まるって言っても……メイク落としたり、着替えもないし……」

「嫌？　俺と一緒にいるの」

　しゅーんと、タレ目がちの瞳を悲しそうに沈ませている白河君は、まるで『おあずけ』と言われた大型犬みたい。

「ううん……嫌ってことはないけど」

「じゃあ、メイク落とすヤツと、着替えを持ってきて。
　桃花、今夜は一緒にいよう？　ダメ？」

　さっきまで、ちょっと年上っぽい感じさえしてたのに、急に甘えてくる白河君にキュンとしてしまう。

　
　……年下も可愛いかもしれない。

　それに、今日は独りだと嫌な気持ちを思い出して、夜を過ごすのが辛そうだ。


　コクリと頷うなずいて、わたしは同じマンションの14階から3階の自分の部屋へと一旦帰ることにした。