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初めての新人指導は驚きの連続ー6
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これまで私の説明を聞きながら、返事をするだけだった白河君から質問!
よし、何でも答えるぞ。
「うん、なぁに? 何でも聞いて」
私はちゃんと聞いていてくれたんだと嬉しくなりながら、笑顔で問い直した。
「紅先輩は、その無糖のストレートティーが好きなんですか?」
「……はい?」
メガネの太いフレームを指で上げ、キラリとレンズを光らせて白河君が尋ねた。
どうやら、私が今飲んだペットボトルのお茶のことを聞いているらしい。
「えっと、うん、そうだね。 よく買うけど」
てっきり仕事のことを聞かれると思ってたのに、予想外過ぎる質問で、思わず首が横に傾いてしまう。
「そうなんですね。 覚えておきます」
白河君は満足気に口角を上げ、白くてキレイに並んだ歯をチラリと見せた。
お願いだから、私のお茶の好みより、仕事を覚えてちょうだいねっ。
先月まで白河君は、製造管理部だったと言うから、この営業部とは全く違う仕事をしていたわけだ。
入社して3ヶ月でも、イチから教えないといけないことがたくさんある。
営業部内の説明を終えた私は、白河君にパソコンで提案書や見積書の作り方を教えて、仮のお客様を想定したシミュレーション作成をしてもらうことにした。
「わからないところがあったら聞いてね」
白河君が作業している間に、私も自分の仕事を進めようとパソコンに向かう。
だけど、ちょっと集中力が途切れたのか、画面を見ながら違うことを考えてしまった。
やっぱりこの短期間の新入社員研修って、意味わかんないや。
だって3ヶ月したら、違う部署に正式配属になるんでしょ?
教える方も、教えられる方も中途半端になってしまって、無駄じゃない?
余計、会社の離職率も上がりそうだけどな。
白河君に教えてることも、無駄になっちゃうのかなと、少しため息をついた。
おっと、ため息なんてダメダメ。
会社の方針に愚痴りたいけど、顔には出さないようにしなきゃ。
新人の白河君が、一番大変なんだしね。
私は任された仕事を頑張ろう。
「出来ました、紅先輩」
教育係としてのヤル気を、再び密かに燃え上がらせていると、私の長い髪に顔を近づけるように、白河君がボソリと声をかけた。
「うわぁっ! ビックリした」
「……驚かせてすみません。出来ました」
椅子から飛び上がった私に、白河君は少し下を向き、パソコンを指さす。
「え、あ、もう出来たの? 早いね」
ちょっと考え事していた間に、白河君は私が出した課題をやってのけた。
仮想のお客様を設定して作られた提案書や見積書は、何も修正する所がないほど完璧。
「わぁ、すごいね白河君。
もうこれお客様に出しても大丈夫なくらいだよ」
私がそう言うと、嬉しそうにジワリと口元を緩めていた。
「えっと、でもね」
書類作成は花丸だけど、声のかけ方はバツだ。
よし、何でも答えるぞ。
「うん、なぁに? 何でも聞いて」
私はちゃんと聞いていてくれたんだと嬉しくなりながら、笑顔で問い直した。
「紅先輩は、その無糖のストレートティーが好きなんですか?」
「……はい?」
メガネの太いフレームを指で上げ、キラリとレンズを光らせて白河君が尋ねた。
どうやら、私が今飲んだペットボトルのお茶のことを聞いているらしい。
「えっと、うん、そうだね。 よく買うけど」
てっきり仕事のことを聞かれると思ってたのに、予想外過ぎる質問で、思わず首が横に傾いてしまう。
「そうなんですね。 覚えておきます」
白河君は満足気に口角を上げ、白くてキレイに並んだ歯をチラリと見せた。
お願いだから、私のお茶の好みより、仕事を覚えてちょうだいねっ。
先月まで白河君は、製造管理部だったと言うから、この営業部とは全く違う仕事をしていたわけだ。
入社して3ヶ月でも、イチから教えないといけないことがたくさんある。
営業部内の説明を終えた私は、白河君にパソコンで提案書や見積書の作り方を教えて、仮のお客様を想定したシミュレーション作成をしてもらうことにした。
「わからないところがあったら聞いてね」
白河君が作業している間に、私も自分の仕事を進めようとパソコンに向かう。
だけど、ちょっと集中力が途切れたのか、画面を見ながら違うことを考えてしまった。
やっぱりこの短期間の新入社員研修って、意味わかんないや。
だって3ヶ月したら、違う部署に正式配属になるんでしょ?
教える方も、教えられる方も中途半端になってしまって、無駄じゃない?
余計、会社の離職率も上がりそうだけどな。
白河君に教えてることも、無駄になっちゃうのかなと、少しため息をついた。
おっと、ため息なんてダメダメ。
会社の方針に愚痴りたいけど、顔には出さないようにしなきゃ。
新人の白河君が、一番大変なんだしね。
私は任された仕事を頑張ろう。
「出来ました、紅先輩」
教育係としてのヤル気を、再び密かに燃え上がらせていると、私の長い髪に顔を近づけるように、白河君がボソリと声をかけた。
「うわぁっ! ビックリした」
「……驚かせてすみません。出来ました」
椅子から飛び上がった私に、白河君は少し下を向き、パソコンを指さす。
「え、あ、もう出来たの? 早いね」
ちょっと考え事していた間に、白河君は私が出した課題をやってのけた。
仮想のお客様を設定して作られた提案書や見積書は、何も修正する所がないほど完璧。
「わぁ、すごいね白河君。
もうこれお客様に出しても大丈夫なくらいだよ」
私がそう言うと、嬉しそうにジワリと口元を緩めていた。
「えっと、でもね」
書類作成は花丸だけど、声のかけ方はバツだ。
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