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婚約式に向けて動きだす
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目覚めたら、目の前に綺麗なレオンハルトの顔が……レオンハルトの顔が⁉︎
「ぎゃっ」
びっくりして飛び起きようとしたけどできなかった。お腹にロイスの腕が絡まっていて、身動きが取れない。これどういう状況?
ロイスの向こうからこちらを覗くオーランドが見える。
「リトおはよう。昨日リトが寝ちゃった後ね、一度はリトの部屋へ連れて行ったんだけど……皆リトと離れがたくてね。そうしたらレオンハルトがリトと一緒に寝るってごねだして」
レオンハルト?と隣を見やると、ばつの悪そうな顔をしている。
「そうしたら私もロイスも一緒に寝たいってなって、結局この屋敷で一番ベッドが大きいのはロイスのベッドだという話でここに来たんだ」
「すまない……勝手なことをしてしまった」
ロイスがしゅんてしてる。今気づいたのか、俺のお腹に回した手を慌ててほどいた。
「こ、これは無意識で……すまない」
謝ってばかりのロイスの向こうから、オーランドがにこにことこちらを見てくる。
「皆でお泊まりなんて夢のようだったよ。でもリトの隣は二人に譲ってもらえなくて、私はロイスのごつい体を背に眠ったんだ。可哀想だと思わない?慰めてくれる?」
「殿下は帰ればよかったのに」
「えっ、レオンハルト酷くないかい?」
レオンハルトに後ろから引き寄せられる。レオンハルトの頭をよしよししながら、ロイスに頷いておいた。
「ロイス、そんなに謝らなくてもいいから」
「すまない……」
「えっ、リトも私を無視かい?」
騒ぐオーランドを連れて、皆で一緒に朝ごはんを食べることになった。
普段ロイスは早朝に起きて鍛錬をしているから、一緒に朝食を食べられるのは珍しい。レオンハルトとはいつも食べてるけどな。
「ほら、リトおいで」
オーランドが席に座ると同時に両手を広げて俺を呼ぶ。その手はなんだ?無視しようと思ったけど、なんかしゅんって垂れた耳と尻尾が見えるようで、だんだん可哀想になってきた。オーランドのそばに近寄ると、ぐいと腰を引き寄せられて膝の上に座らされた。
「え、なにこれ」
「昨夜はロイスとレオンハルトに譲ったんだ。私もリトと少しはくっつきたい」
「だからって今?」
うるうると黄金の瞳に見つめられたら断れない。……仕方ないな。
「あーんもして欲しい」
「殿下は帰ればよかったのに」
「レオンハルトも後であーんしてあげるから」
「殿下は帰ればよかったのに」
八重歯を覗かせて笑うオーランドを恨めしげに睨むレオンハルト。二人の間に挟まれたロイスが苦笑いしてる。
オーランドがずっとにこにこしてて、こんなに幸せそうな顔されたら拒否できないんだよなぁ。
好きだと自覚してから、ますます皆が可愛くみえるから困る。
「はい、あーん」
お肉と野菜を小さく切り分けてオーランドに差し出すと、目を見開いて動かなくなった。
「オーランド?」
「…………。」
ぼっと顔を赤くして、恥ずかしそうに口を開ける。何だよ、自分から仕掛けておいて照れてるのか?
「ふははっ!オーランドっ」
こういうところ、めちゃくちゃ可愛いと思うのは俺だけかな。
実は一番照れ屋だったりするよな。
「笑わないで……朝から浮かれちゃってて、自分でも制御できないんだ」
「ぷふっ、うん、笑わないから。あーんしたかったんだろ?」
ちょっとぎこちない動きで、でも小さく口を開けて食べてくれる。
目の端でレオンハルトとロイスが羨ましそうに見ているのに気づいて、二人にもあーんする。
「はい、レオンハルト。あーん」
「…………。」
レオンハルトが目元を赤く染めてぱくりと食べてくれる。尻尾が見えたらぶんぶん振り回してそうだ。
「ロイスもあーん」
「す、少しだけ待ってくれ」
深呼吸をして意を決したように口を開けるロイスが可笑しくて、くすくす笑いながらフォークを口に運んだ。あーんてさ、そんな今から戦に出る武士みたいな顔でするもんじゃないだろ。
「次はリトの番だよ。はい、あーん」
オーランドがいい笑顔でパンケーキの乗ったフォークを差し出してくるので口に入れたら、レオンハルトが慌ててお肉を差し出してくる。一口がでかい。一生懸命咀嚼してから、ロイスがそろそろと差し出してきた野菜も食べた。このペースで食べてたら夜になりそうだし、もうお腹ぱんぱんだ。
「そういえばさ、ハーレム作るのって具体的にどうすればいいんだ?」
この時間を活用して疑問だったことを聞いてみることにした。日本だったら婚姻届を役所に提出して手続きするよな。この世界ではどうなってるんだろう。
「教会で婚約式をして誓いを立てるんだ。それからハーレム申請の書類を国に出せばいいんだよ。国への手続きは私がしておくとして、問題は婚約式だね」
婚約式って結婚式みたいなものか?
「式って、人を呼んでするの?」
「ううん、婚約式は当人達だけで行うよ。その後ハーレム申請を出して、婚約発表の夜会を開くのが通例かな」
オーランドの話を聞く限り、この世界には結婚式というものはないみたいだ。
「リトが良ければ、婚約式は早めにしたいんだけど……」
「うん、別にいいよ」
「王都の教会が一番近いけど、ロイスはどこがいいと思う?」
「そこがいいだろうな。ここから近くならそれだけ護衛の人員も動かしやすい」
「じゃあ、王都の教会で決まりだね。いつにしようか…すぐにでも行きたいけど、警備を万全にしてからだと、最短で一週間後?」
え、そんな早いのか。何だかどきどきしてきた。
「じゃあ、私は戻ってさっそく手続きの書類を持ってくるよ」
オーランドが立ち上がって俺の頬にキスをする。
「いつもありがとう……忙しいのに大変じゃないか?」
心配になって聞くと、「実は」とちょっと気まずそうに目を逸らす。
「手続きに必要な書類はもう作ってあるんだ……」
「えっ!」
「ちょっとそうなれたらいいなぁって妄想して作ってただけで!気持ち悪いとか思わないでね!でも手続きは早い方がいいかなって。リトの気が変わらないうちに……」
言いかけて、でも俺の顔を見て続きの言葉を飲みこんだ。「ごめん」と眉を下げる。
「リトの気持ちを疑ってるわけじゃないんだ。ただ、嬉しくて気が急いてしまって」
「わかってるよ。俺も早く皆を……その、お、夫にしたいから」
言ってて急に恥ずかしくなってきた。そっか、こんなに素敵な人たちが俺の夫になるのか。
「「「リト」」」
甘い空気に耐えられず、俺は赤くなった顔を冷やそうと水を飲む。
三人が愛おしそうに見つめかえしてくれる。幸せだなって素直に思った。
「私も早くリトを妻にしたいよ」
「私もリトを妻にしたいです」
ロイスとレオンハルトも同じように赤い顔を綻ばせてくれる。
「そうだな、その為にも早急に警備を整えよう」
「そっちはロイスとレオンハルトに任せたよ」
「ああ」
「はい」
力強く頷く二人を見届けて、オーランドは王宮に戻っていった。
俺も何か手伝えることはないかって聞いてみたけど、リトはゆっくりして待っていてって言われて結局庭園の四阿でお茶を飲んでる。
暇だ……三人共、俺の夫になる為に動いてくれてるのに。あ、そうだ!ロイスとオーランドの分の押し花を作ろう。そうと決まれば花びらを拾いに行かないとな。
「ぎゃっ」
びっくりして飛び起きようとしたけどできなかった。お腹にロイスの腕が絡まっていて、身動きが取れない。これどういう状況?
ロイスの向こうからこちらを覗くオーランドが見える。
「リトおはよう。昨日リトが寝ちゃった後ね、一度はリトの部屋へ連れて行ったんだけど……皆リトと離れがたくてね。そうしたらレオンハルトがリトと一緒に寝るってごねだして」
レオンハルト?と隣を見やると、ばつの悪そうな顔をしている。
「そうしたら私もロイスも一緒に寝たいってなって、結局この屋敷で一番ベッドが大きいのはロイスのベッドだという話でここに来たんだ」
「すまない……勝手なことをしてしまった」
ロイスがしゅんてしてる。今気づいたのか、俺のお腹に回した手を慌ててほどいた。
「こ、これは無意識で……すまない」
謝ってばかりのロイスの向こうから、オーランドがにこにことこちらを見てくる。
「皆でお泊まりなんて夢のようだったよ。でもリトの隣は二人に譲ってもらえなくて、私はロイスのごつい体を背に眠ったんだ。可哀想だと思わない?慰めてくれる?」
「殿下は帰ればよかったのに」
「えっ、レオンハルト酷くないかい?」
レオンハルトに後ろから引き寄せられる。レオンハルトの頭をよしよししながら、ロイスに頷いておいた。
「ロイス、そんなに謝らなくてもいいから」
「すまない……」
「えっ、リトも私を無視かい?」
騒ぐオーランドを連れて、皆で一緒に朝ごはんを食べることになった。
普段ロイスは早朝に起きて鍛錬をしているから、一緒に朝食を食べられるのは珍しい。レオンハルトとはいつも食べてるけどな。
「ほら、リトおいで」
オーランドが席に座ると同時に両手を広げて俺を呼ぶ。その手はなんだ?無視しようと思ったけど、なんかしゅんって垂れた耳と尻尾が見えるようで、だんだん可哀想になってきた。オーランドのそばに近寄ると、ぐいと腰を引き寄せられて膝の上に座らされた。
「え、なにこれ」
「昨夜はロイスとレオンハルトに譲ったんだ。私もリトと少しはくっつきたい」
「だからって今?」
うるうると黄金の瞳に見つめられたら断れない。……仕方ないな。
「あーんもして欲しい」
「殿下は帰ればよかったのに」
「レオンハルトも後であーんしてあげるから」
「殿下は帰ればよかったのに」
八重歯を覗かせて笑うオーランドを恨めしげに睨むレオンハルト。二人の間に挟まれたロイスが苦笑いしてる。
オーランドがずっとにこにこしてて、こんなに幸せそうな顔されたら拒否できないんだよなぁ。
好きだと自覚してから、ますます皆が可愛くみえるから困る。
「はい、あーん」
お肉と野菜を小さく切り分けてオーランドに差し出すと、目を見開いて動かなくなった。
「オーランド?」
「…………。」
ぼっと顔を赤くして、恥ずかしそうに口を開ける。何だよ、自分から仕掛けておいて照れてるのか?
「ふははっ!オーランドっ」
こういうところ、めちゃくちゃ可愛いと思うのは俺だけかな。
実は一番照れ屋だったりするよな。
「笑わないで……朝から浮かれちゃってて、自分でも制御できないんだ」
「ぷふっ、うん、笑わないから。あーんしたかったんだろ?」
ちょっとぎこちない動きで、でも小さく口を開けて食べてくれる。
目の端でレオンハルトとロイスが羨ましそうに見ているのに気づいて、二人にもあーんする。
「はい、レオンハルト。あーん」
「…………。」
レオンハルトが目元を赤く染めてぱくりと食べてくれる。尻尾が見えたらぶんぶん振り回してそうだ。
「ロイスもあーん」
「す、少しだけ待ってくれ」
深呼吸をして意を決したように口を開けるロイスが可笑しくて、くすくす笑いながらフォークを口に運んだ。あーんてさ、そんな今から戦に出る武士みたいな顔でするもんじゃないだろ。
「次はリトの番だよ。はい、あーん」
オーランドがいい笑顔でパンケーキの乗ったフォークを差し出してくるので口に入れたら、レオンハルトが慌ててお肉を差し出してくる。一口がでかい。一生懸命咀嚼してから、ロイスがそろそろと差し出してきた野菜も食べた。このペースで食べてたら夜になりそうだし、もうお腹ぱんぱんだ。
「そういえばさ、ハーレム作るのって具体的にどうすればいいんだ?」
この時間を活用して疑問だったことを聞いてみることにした。日本だったら婚姻届を役所に提出して手続きするよな。この世界ではどうなってるんだろう。
「教会で婚約式をして誓いを立てるんだ。それからハーレム申請の書類を国に出せばいいんだよ。国への手続きは私がしておくとして、問題は婚約式だね」
婚約式って結婚式みたいなものか?
「式って、人を呼んでするの?」
「ううん、婚約式は当人達だけで行うよ。その後ハーレム申請を出して、婚約発表の夜会を開くのが通例かな」
オーランドの話を聞く限り、この世界には結婚式というものはないみたいだ。
「リトが良ければ、婚約式は早めにしたいんだけど……」
「うん、別にいいよ」
「王都の教会が一番近いけど、ロイスはどこがいいと思う?」
「そこがいいだろうな。ここから近くならそれだけ護衛の人員も動かしやすい」
「じゃあ、王都の教会で決まりだね。いつにしようか…すぐにでも行きたいけど、警備を万全にしてからだと、最短で一週間後?」
え、そんな早いのか。何だかどきどきしてきた。
「じゃあ、私は戻ってさっそく手続きの書類を持ってくるよ」
オーランドが立ち上がって俺の頬にキスをする。
「いつもありがとう……忙しいのに大変じゃないか?」
心配になって聞くと、「実は」とちょっと気まずそうに目を逸らす。
「手続きに必要な書類はもう作ってあるんだ……」
「えっ!」
「ちょっとそうなれたらいいなぁって妄想して作ってただけで!気持ち悪いとか思わないでね!でも手続きは早い方がいいかなって。リトの気が変わらないうちに……」
言いかけて、でも俺の顔を見て続きの言葉を飲みこんだ。「ごめん」と眉を下げる。
「リトの気持ちを疑ってるわけじゃないんだ。ただ、嬉しくて気が急いてしまって」
「わかってるよ。俺も早く皆を……その、お、夫にしたいから」
言ってて急に恥ずかしくなってきた。そっか、こんなに素敵な人たちが俺の夫になるのか。
「「「リト」」」
甘い空気に耐えられず、俺は赤くなった顔を冷やそうと水を飲む。
三人が愛おしそうに見つめかえしてくれる。幸せだなって素直に思った。
「私も早くリトを妻にしたいよ」
「私もリトを妻にしたいです」
ロイスとレオンハルトも同じように赤い顔を綻ばせてくれる。
「そうだな、その為にも早急に警備を整えよう」
「そっちはロイスとレオンハルトに任せたよ」
「ああ」
「はい」
力強く頷く二人を見届けて、オーランドは王宮に戻っていった。
俺も何か手伝えることはないかって聞いてみたけど、リトはゆっくりして待っていてって言われて結局庭園の四阿でお茶を飲んでる。
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