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婚活再開しました

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「あ……!」
 自分で望んだこととはいえ、メチャクチャに動揺した。好きなヒトとはいえ、俺、犬に犯されちゃう訳で。
 でも、熱の先端が俺の中にじゅぐ、と入り始めると、もう幸福感と充足感しか無くなって、雌犬になりきって自分からも尻を上げてヌルヌルの雄を受け入れた。
「ふぁ……入っちゃってる……俺ん中に、犬塚さんの……っ」
 切ないくらい嬉しくて堪らない。
 発情をどんなに自分で慰めても、こんな満足感はなかったってくらいに。
 ヤワヤワになっちまってるせいか痛みは少しだけで、根元まで突き刺されると、尻の奥でギュンと何かが疼くのが分かる。
「……っあ……」
 俺の、オメガの部分……。
 赤ちゃんが出来るところに届いてる。
 激しい幸福感に涙が溢れた。
 本能的な何か、なんだと思うけど。
 ――なんて、そんな処女喪失の感慨に浸ってたのも束の間、俺に乗っかってる毛皮の腰はすぐに情け容赦ない激しい動きを始めてくれた。
「あ――っ……!」
 人間じゃあり得ねぇくらいの激しいピストン運動に、俺の穴が凄まじい勢いで犯され始める。
 ちょ、俺処女……っ、もうちょい手加減とかできねぇの……!?
 一瞬発情のフワフワした気分も吹っ飛んだ。しかも、動いてる最中なのに既になんか、じょわぁって何か出てる感じするし……っ。
 でも、それがどんどん穴の中をなめらかにしてくれて、凄く気持ちよくなってくのには驚いた。
 激しくされても、全然痛くなったりしなくて、奥をズコズコ突かれる陶酔感だけが俺の中で膨らんでいく。
 背中には長い腹毛がザワザワ当たって、気持ち良くてあったかくて、気が付けば何もかもどうでもいいくらい、エッチな律動に浸っていた。
「はぁっ、気持ちいよ……っ、犬塚さん、……どうしようお尻すげぇきもちいい……っ」
 あまりに激しく突かれてるせいで、俺の喘ぎ声まで変な感じに震えてる。
 そんな中で、少しずつ、柔らかくなった穴を拡げるように、突き立てられたものの根元が膨らんでくのを感じた。
「あっ……なんか、ヤバい……中、キツくなってる……っ?」
 以前犬塚さんのを見たときに、コブがあったのを思い出した。
 あれ、入れられてる……!?
 ちょっと焦り始めた時にはもうガッチリそこは固定された状態になってて、なのに小刻みな腰使いと中に精液注がれる勢いは止まらない。
 その内に腹の奥が何度か痙攣して、尻の中が勝手にキュウンと大きく収縮し始めた。
「……!? 何これ、なに……」
 経験したことのない、体の内側が順番にひっくり返るみたいな凄い快感がそこから巻き起こる。
 出されてる体液を吸い上げるような動きを繰り返しながら、身体がブワあっと浮き上がるみたいな長くて深い絶頂感が俺を包んだ。
 射精する時の何倍も気持ちよくて、後ろから受け入れたまま意識と感覚がメロメロになり、息も絶え絶えに喘ぐ。
 四つん這いでいることすらキツくなって斜めに崩れてしまって、俺の背中にしがみ付くみたいにしてた犬もひょいとシーツの上に降りた。
 とはいえ、下の方がまだガッチリ繋がってて、俺もまだヒクヒクしながらイキ続けてて、……しかも中ではまだ出されてる。
 相手は俺と繋がったまま静かに反対向いてシーツの上で身を伏せ、舌を見せてハッハッと呼吸しつつ動きを止めてしまった。
 俺は俺で、激しくて長いオーガズムがどうにか耐えられる範囲に収まるのを待ちながら、ぼーっと壁を見る。
 ……何か……よく考えると今、人間同士だとまずあり得ねぇようなおかしな状況な気がすんだけど……ダメだ、頭にモヤがかかってて何も考えられない。
 これ、いつまで続くんだろ……。
 犬の射精って長いんだな……。
 ってか、さっきのって俺、女みたいに入れられてイッたってこと……? 
 ちんぽ入れられるの、気持ち良かった。いや、まだ入ってるっちゃあ、入ってるけど。
 中メチャクチャに突いてもらうのも、死にそうなくらい感じた。
 けど、初めてでナカイキするとか、俺そんな淫乱だったのか……?
 オメガはみんなこうなんだろうか……。
 それとも……。大好きな犬塚さんだから……?
 中に入ってるのをまだキュンキュン締め付けながら、夢見心地で目を閉じる。
 思春期越えてからずーっと体のどっかにあった渇望感が、20年越しくらいでやっと全部満たされてくれた感じで、こうして不思議に繋がってるのもただただ幸福だった。
 発情で完全にアホになってる俺には、目の前のこと以外何一つ見えないから。
 ーー数十分が過ぎて長い射精がようやく終わる頃には、俺はすっかりウトウトして、裸のままうずくまって眠り込む寸前になっていた。
 中を埋め続けて、まるでもう自分の一部みたいになってたのが抜かれた時には凄く寂しかったけど、足元に現れた誰かが、そこからこぼれ落ちた液体と一緒に身体を優しく拭ってくれて、凄く嬉しかった。
 そしてその少し後に……優しい手に腰を抱かれて新しい下着を着せられ、ベッドの下の方に溜まってた布団をちゃんと上に掛けて貰った気がする。
 最後には、あったかい腕にそっと抱きしめて貰って……天国にいるみたいな満ち足りた気分で眠りについた。
 その人の気持ちも、この後のことも、何一つ考えもせず……。
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