エロ漫画同人誌を描いてる非モテオタクですが、前世の記憶が蘇ったのでBLに走ります

世羅の卒業

　当たり前だ、晶は無防備なノーパンで、俺は服も下着も付けているんだから……。
　唇を噛んで悔しそうに眉を寄せたイキ顔が、愛おしくてたまらない。
　意図しない極みに相手を追い込んだ征服感に、脳髄が痺れるほどの幸福を味わった。
　飛び散った体液を指ですくって舐めとる。
　堪らなく甘美なその味で、この人を、もっともっと辱めたいという凶々しい欲望が腹の内に沸騰する。
　――過去も今も未来も、全部、貴方の全ては俺のもの……。
　衝動のままに、まだ余韻に耽って震えている下肢を掴み開かせる。
「あっ……！？」
　足の付け根は易々と開き、物欲しげに痙攣する穴が俺を誘った。
　股間に顔を伏せ、そこにじっとりと舌を這わせると、長い悲鳴のような呼吸音が晶の喉から漏れる。
　萎えた陰茎にも指を絡めて扱きながら、ローションを垂らしてパクパクと閉じ開く穴は放置し、その上の部分……玉の付け根と穴の間の狭い場所に口付けした。
「はあン……っ、あうぅ……っ」
　射精の為に固く収縮した前立腺があるあたりだ。
　そこに唇を押しあて、音を立ててキスし、舌先をぐっと強く押し付ける。
「ああああ……っ」
　直接与えるのではない、もどかしい刺激に、それでも晶の身体はしっかりと反応して、アナルと性器がぴくぴく反応した。
　また徐々に固くなるペニスをしごいてやりながら、時々そこ――会陰を舌で押し続ける。
　皮膚越しにナカに入る刺激に、晶は無防備に自ら脚を広げながら腰を悶えた。
「やっ、あっ、入れられてないのに、なんか変っ、お尻っ、勝手にっ、あっ、きもぢぃ……っ！？」
「どんなふうに気持ちいいのです？　……ここを、私にどうして欲しいとお望みですか?」
　わざと意地悪く聞くと、晶は一瞬口をつぐみ、涙ながらに俯いた。
「……なっ、ナカからも……突かれたいぃ……」
　その言葉をわざと無視して、舌を尖らせてアナルの襞の中に深く、ゆっくりと突き込んでゆく。
　刺激と一緒に快感をそこに覚え込ませていくために……次からも、自分からそこを舐って欲しいと、自ら俺に脚を開くようにする為に。
「アッ、ちがっ、それじゃなっ……ひっ、それだめっ、はなしっ、とめてぇ……っ！」
　水音を立てながら舌先を中でジュッ、ジュッと動かすと、途端に晶が泣き叫ぶ。
　言葉とは裏腹に、舌をヒクヒクと締め付けてくる、貪欲で淫らな粘膜。
　――それに答えるように執拗に出し入れして愛撫を続けると、遂に、晶の性器が何かの歯止めを決壊させてしまった。
「おぐぅッ、なにかでちゃっ、……んひぃっ！」
　括約筋がひときわ強く俺の舌を締め上げたままになり、ハッと視線を上げた途端――。
　晶の性器から、噴水のような勢いでビュッ、ビュッと体液が吹き出てきた。
「あはぁっ、んぉあっ……や……お尻でイッでるのに……なんかでるぅ……っ」
　イキ潮を派手に撒き散らし、晶が泣きじゃくりながら脱力する。
　俺は舌を抜き、膝を伸ばして立って、淫らに乱れたその姿を上から眺めた。
「はぁっ、はあっ……」
　びちゃびちゃに濡れた、ガウンのはだけた胸。
　理性がすっかり溶けた晶の揺れる視線が、救いを求めるように俺を見上げる。
「……旦那様……もう、限界ですぅ……アスセフィごっこ、むりぃ……！　はやく……、はやくおっきいおちんちん、ナカにください……っ♡」
　その手が、自らの膝を持ち上げて、俺の舌でイッたばかりの、ゆるく収縮し続ける秘所を見せつけた。
　晶のセリフは晶のよく描いてるタイプのキャラクターの新妻もの同人誌という感じで、俺の中のセフィード様像とはもちろん、俺の中の晶像とも解釈違いだ。
　だがーー理性を失った晶があまりにも可愛すぎるのでそんなことは最早どうでもよかった。
「晶……そんなに、俺のチンポが欲しいのか……？」
　ーー早くぶち込んで、ナカをゴリゴリと突き上げて可愛く泣かせたい……。
　凶暴な衝動を理性で抑えつけながら、パンツのウエストを素早く下げて、限界まで充血してガチガチになったそれに、ポケットから取り出したゴムを着ける。
　晶の身体に上から覆い被さりながら徐々にナカを押し貫いていくと、俺のペニスが、まだイッたばかりの、濡れて温かな肉の蠕動に締め付けられた。
「んっお……っ、なかっ、すごい……っ、おおきいいよぉ……っ、これ奥まで来たらっ、すぐまたイッちゃう……♡」
　……エロすぎる……！
　前世を思い出す前の俺の中の晶はもっとこう……汚喘ぎやら♡喘ぎなどはしない、童貞処女の貞淑さを纏っていたはずなのに……！
　けしからん。
　だがそれが予想外にいい。
　胸の中に溢れる興奮とも欲情ともつかない何かを、激しい突き上げで紛らわす。
「やっ、あっ、あ“～っ！！　気持ちい……っ、ずっと、こんなふうにして欲しかった……っ、」
　のたうつ晶の締め付けに堪えて、汗ばんだ背中を抱く。
「俺も……。何回一人で抜いたか分からねぇ……」
　つい正直に言ってしまったら、腕の中の晶が天使の笑顔でにっこりと微笑んだ。
「あはっ……僕たち、生まれ変わっても、両思いになった後も、結構すれ違ってるよね……っ……」
　その顔が堪らなく愛おしくて、改めて心に誓った。
　もう二度と、この人を離すことなんて考えはしないと……。
「愛してる、晶……っ」
「僕も大好きっ、愛してるよっ、公英……っ」
「はうっ……！？」
　予想外の所で名前を呼ばれた俺は、パブロフの犬のように――条件反射でうっかり、晶のナカでイッてしまっていた……。
　夢の中みたいに、いつのまにかゴムがログアウトしてなかったのがせめてもの救いだったが……。


◇ ◇ ◇

『いやぁ、先生、最近絶好調ですねー。頂いたネーム、素晴らしかったですよー。主人公二人の新婚家庭のシーン、リアルで愛が溢れてましたねぇ』
　三月吉日。
　相変わらず、守護神か何かのようにディルドが飾られてる晶の部屋――。
　ハンズフリーにしたスマホから、上原の声が聞こえてくる。
「あはは……上原さん、ありがとうございますぅ……」
　目の前に立って上原と話している晶は、初々しいグレーのスーツ姿だ。
　向かい合っている俺は、勿論ブラックスーツである。
「晶。いつまでも話してると、式が始まっちまうぞ」
　俺がプレゼントしたネクタイを、晶の首元で締めながら注意する。
「う、うん……。すみません、上原さん、僕たちこれから出かけるので」
『式って、結婚ですか！？』
「な訳ねぇだろ。卒業式だよ。武道館」
　俺が訂正すると、何でか上原が嬉しそうな声を出す。
『おお、そうでしたか！　お二人とも、おめでとうございます。今後もお父様とお母様の人生に、沢山の幸がありますように！』
「余計なお世話だ。切るぞ！」
「すみません、上原さん……！　また後でっ」
　俺はすかさず手を伸ばし、机の上のスマホの通話終了ボタンを押した。
「さあ、こっからは仕事のことは忘れようぜ。卒業式終わった後、デートなんだからな」
「う、うん……」
　晶は緊張を滲ませながらも、嬉しそうに微笑んだ。
　一緒に部屋を出て、玄関へ向かう。
「嬉しいな。入学した時は別々だったのに、一緒に卒業できるの」
「晶が卒論頑張ってくれたお陰だな」
「あはは、講評は散々だったけどね……」
　細い廊下でくっついて話しながら、順番に靴を履いて、最後のチェックをする。
「忘れ物、ないよな？」
「うん」
　入学の時は、目も合わせない他人だった。
　だけど今は隣にいる。
　この先はずっと、一緒に生きていく――。
「思い出してくれて、ありがとうな……」
　ぼそっと言うと、晶が顔を上げて、可憐な花みたいに微笑んだ。
　……これから先、未来に何が起こるかは分からない。
　また嫉妬したり、迷ったりすることがあるかもしれない。
　だが俺は晶に、希望は自分の手で作るものだと教えられた。
「じゃあ、行くぞ」
　晶の手をしっかりと握り、扉を開ける。
　その先の真っ白な未来の一ページへと、俺たちは足を踏み出した。

〈終わり〉