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血が止まった後も手当を頑張った甲斐があってか、男の人の寝息は少しずつ安らかになった。
そして、俺は知らないうちに、ベッドの端っこに突っ伏すように座り込んで眠っていたらしい。
気付いたら、鎧戸の隙間から夜明けの眩しい朝日が差し込んでいた。
と言っても、フランスの12月の日の出はとことん遅いので、せいぜい朝の8時半てとこだ。
仕事の疲れもあいまって、うっかり眠ってしまったんだな。
そうだ、そういえば男の人は……!
もしベッドで冷たくなっていたら……と不安になって、俺はそっと枕元の方に膝でにじり寄った。
彫りの深い瞼が閉じていて、血で汚れた上半身の服を取り去った裸の胸が、穏やかな呼吸で上下している。
ふーっと安堵のため息が漏れ、色素の薄い金髪を掻き上げるように額に触れた。
うん、熱もない。
今の所は傷が膿んだりもしてないみたいだ。
布団を掛けなおし、改めて首をひねった。
――この男は、本当に俺を殺しに来たんだろうか。
そうだとしたら、誰の命令で?
それが父さんを殺した人と同じなら、もしかしたらこの人も父さんのことを知っているのかもしれない。
若そうだから、まさか俺の父さんを殺した本人ではないだろうけど……。
もし少しでも何か知っているなら、怖いけれど、訊いてみたい――俺の父親はどこのどんな人だったのか……。
そもそも、眼を覚ますかも分からないけれど。
男は一晩経った今も意識を取り戻す気配がなかった。
もしずっとこのままだったらどうしたら良いんだろう。
警察に通報すれば連れて行って貰えるだろうか。
でも、何て言えばいい?
この人、多分俺を殺しに来た人だと思うんです、って?
銃を持った謎の人が倒れてます、と事実だけを言った方がいいだろうか。
何しろ名前も顔も全く知らない人だからな。
考え込んでいて、ふと気付いた。
そうだ……この人、銃だけじゃなく身分証とか、何か身元のヒントになるものを持っているんじゃないだろうか?
俺は慌てて、椅子に掛けていた男の黒いトレンチのポケットを探った。
四角くて厚みのある硬いものと、革製品の感触がして、両方取り出す。
一つはスマートホンで、画面にヒビが入り、壊れているのか電池が切れているのか真っ暗だ。
革の方は分厚いカード入れだった。
開くと蛇腹状になっていて、中には青い銀行カードと身分証、それに運転免許証が入っている。
「レピュブリック・フランセーズ」の文字の入った政府発行の正式な身分証と免許証に書いてある名は、ミッシェル・マルタン。198×年11月1日生まれ。
……至って普通のフランス人の名前だ。見た目は北欧やドイツ系の人っぽいけど、移民だろうか。
住まいはパリ市内13区とあるけど、この国の身分証に書いてある住所はアテにならない。
それにしても、銃以外の持物が普通のフランス人過ぎて拍子抜けした。トレンチコートは上等で身なりもいいし、ボロボロの着古したパーカーとチノパン姿で有色人種の俺の方が、よほど犯罪者に見えるかもしれない。
こんな人を警察に通報して、果たして信じてくれるのか自信がなくなってきたなぁ……。銃には俺の指紋が付いちゃっただろうし、逆に俺が逮捕されるかも。
――悩みが深まっていた、まさにその時だった。
「エィ」
静かな部屋に、低い男の声が響く。
それが自分に掛けられた呼び声だと気付き、心臓が跳ね上がった。
「!?」
びっくりし過ぎてカード入れを逆さにしてしまい、中のカードがばらばらと床に散る。
「あっ……」
しまった、とパニックになりながら顔を上げると、例の男が目を覚まし、ベッドを起き上がる所だった。
肉体美を誇示するような分厚い胸板の上半身が粗末な毛布を這い出て、声もなく俺が固まっていると、男の深いラピスラズリ色の瞳と目が合う。
額の包帯の痛々しい、女の人みたいな綺麗な顔立ちに、肩に垂れる、血で汚れたホワイトブロンドの髪、広い肩幅と、脱がせた時にもびっくりした、普通にしててもバキバキの腹筋。
一瞬まじまじと見つめあってしまった次の瞬間、ハッと我に返り、俺はズサーッと本棚に背中がつくまで後ずさった。
「ごご、ごめんなさい!! 殺さないでくださいっ、命だけは……っ!!」
「Кто ты?」
錯乱している俺を訝しげに見ながら、男が謎の言語を口にする。
「すみません、俺、あなたが何語で何を言ってるのか分からなくて……っ、あの、英語かフランス語は分かりますか!?」
通じているかも分からないフランス語で尋ねると、青年は、思い出すようにしばらく頭をひねった後、辿々しい口調で話し始めた。
「お前、誰? ここが、どこか、分かるか?」
思い出しながら喋ってるみたいにゆっくりだけど、確かにフランス語だ。
良かった、言葉が通じる……。
ホッとしたと同時に、男の言葉を奇妙に感じた。
ここがどこか、俺が誰かも分からないって……俺を殺すために待ち伏せていたのなら、そんなこと普通あるか?
「あのう……? 貴方がわざわざ入ってきたんですよね、この、俺の部屋に」
危険人物だということも忘れ、思わず突っ込む。
すると相手は酷く落ち込んだような表情で俯いてしまった。
「覚えてない……」
「ええ……っ」
どういうことなんだろう。
まさか頭を酷く打って、脳がおかしくなってしまったんだろうか。
「あの、本当に何も覚えてないんですか……?」
銃を持って、俺の部屋に入ってきたのに――。
固唾を呑んで相手の反応を待っていると、男は大きな手で額を押さえたまま、ゆっくりと自分のことを語り出した。
「……名前は覚えてる。俺は、ミハイル・アンドーレエヴィチ・シロフ」
うーん、早速身分証と食い違ってますね!?
もしかしたら生年月日も全然違うのかもと思い、聞いた。
「あの、お歳は……?」
「歳は、12だけど」
「じゅう……に?」
思わず、上から下まで彼の姿を眺めてしまった。
顎には金色の無精髭が生えてるし、身体は筋肉隆々だし、胸には結構な胸毛。うん、どう見ても成人してる。
「いや、嘘ですよね……?」
恐々否定すると、憮然とした顔をされた。
「嘘ついてどうすんだよ。お前、中国人?」
「いや、俺は日本人で……」
答えながら俺は混乱していた。
まるでこの人、あれみたいだ。
昔テレビの再現ドラマでやっていた、頭を打って記憶を失い、子供に戻っちゃった……的なやつ。
いやでも、そんな映画みたいなこと現実にあるか……?
まさかそういう作戦で俺を殺そうとしてる!?
俺は膝でにじり寄るようにベッドに近づき、慎重に彼に話しかけた。
「あの、シロフさん。その、どこからどうやって俺の家に来ましたか……?」
「……? ……気がついたら、ここに居ただけだ。俺はさっきまで、チェルタノヴォに居たはず、だから」
チェルタノヴォ……?
テレビでそういう名前のサッカーチームを見たことがある。
確かあれはモスクワのチームだ。
名前もロシア人で、住所もロシアということか……特におかしいことはないな。
って、おかしいよ! それなら何でフランス人の身分証持ってるんだ。
俺を殺しに来たのがフランス人の身分証を持つ自称ロシア人だなんて、複雑すぎて頭が混乱する。
「おい、お前。さっきから俺に質問するばかりで、俺の質問に答えてない。ここは、どこなんだ。住所は」
男が、横柄な、でもどこか子供っぽい口調で俺を急かした。
そういえば失礼なことをしてしまったなと、慌てて答える。
「ベルヴィルです。パリの」
驚いたように青年が深い紺青の瞳を見開いた。
「モスクワじゃ、ないのか……?」
その表情はどこかあどけなくて、嘘をついてるとか、演技をしているようには見えない。
「いや、パリです……フランスの首都の、パリ」
そして、俺は知らないうちに、ベッドの端っこに突っ伏すように座り込んで眠っていたらしい。
気付いたら、鎧戸の隙間から夜明けの眩しい朝日が差し込んでいた。
と言っても、フランスの12月の日の出はとことん遅いので、せいぜい朝の8時半てとこだ。
仕事の疲れもあいまって、うっかり眠ってしまったんだな。
そうだ、そういえば男の人は……!
もしベッドで冷たくなっていたら……と不安になって、俺はそっと枕元の方に膝でにじり寄った。
彫りの深い瞼が閉じていて、血で汚れた上半身の服を取り去った裸の胸が、穏やかな呼吸で上下している。
ふーっと安堵のため息が漏れ、色素の薄い金髪を掻き上げるように額に触れた。
うん、熱もない。
今の所は傷が膿んだりもしてないみたいだ。
布団を掛けなおし、改めて首をひねった。
――この男は、本当に俺を殺しに来たんだろうか。
そうだとしたら、誰の命令で?
それが父さんを殺した人と同じなら、もしかしたらこの人も父さんのことを知っているのかもしれない。
若そうだから、まさか俺の父さんを殺した本人ではないだろうけど……。
もし少しでも何か知っているなら、怖いけれど、訊いてみたい――俺の父親はどこのどんな人だったのか……。
そもそも、眼を覚ますかも分からないけれど。
男は一晩経った今も意識を取り戻す気配がなかった。
もしずっとこのままだったらどうしたら良いんだろう。
警察に通報すれば連れて行って貰えるだろうか。
でも、何て言えばいい?
この人、多分俺を殺しに来た人だと思うんです、って?
銃を持った謎の人が倒れてます、と事実だけを言った方がいいだろうか。
何しろ名前も顔も全く知らない人だからな。
考え込んでいて、ふと気付いた。
そうだ……この人、銃だけじゃなく身分証とか、何か身元のヒントになるものを持っているんじゃないだろうか?
俺は慌てて、椅子に掛けていた男の黒いトレンチのポケットを探った。
四角くて厚みのある硬いものと、革製品の感触がして、両方取り出す。
一つはスマートホンで、画面にヒビが入り、壊れているのか電池が切れているのか真っ暗だ。
革の方は分厚いカード入れだった。
開くと蛇腹状になっていて、中には青い銀行カードと身分証、それに運転免許証が入っている。
「レピュブリック・フランセーズ」の文字の入った政府発行の正式な身分証と免許証に書いてある名は、ミッシェル・マルタン。198×年11月1日生まれ。
……至って普通のフランス人の名前だ。見た目は北欧やドイツ系の人っぽいけど、移民だろうか。
住まいはパリ市内13区とあるけど、この国の身分証に書いてある住所はアテにならない。
それにしても、銃以外の持物が普通のフランス人過ぎて拍子抜けした。トレンチコートは上等で身なりもいいし、ボロボロの着古したパーカーとチノパン姿で有色人種の俺の方が、よほど犯罪者に見えるかもしれない。
こんな人を警察に通報して、果たして信じてくれるのか自信がなくなってきたなぁ……。銃には俺の指紋が付いちゃっただろうし、逆に俺が逮捕されるかも。
――悩みが深まっていた、まさにその時だった。
「エィ」
静かな部屋に、低い男の声が響く。
それが自分に掛けられた呼び声だと気付き、心臓が跳ね上がった。
「!?」
びっくりし過ぎてカード入れを逆さにしてしまい、中のカードがばらばらと床に散る。
「あっ……」
しまった、とパニックになりながら顔を上げると、例の男が目を覚まし、ベッドを起き上がる所だった。
肉体美を誇示するような分厚い胸板の上半身が粗末な毛布を這い出て、声もなく俺が固まっていると、男の深いラピスラズリ色の瞳と目が合う。
額の包帯の痛々しい、女の人みたいな綺麗な顔立ちに、肩に垂れる、血で汚れたホワイトブロンドの髪、広い肩幅と、脱がせた時にもびっくりした、普通にしててもバキバキの腹筋。
一瞬まじまじと見つめあってしまった次の瞬間、ハッと我に返り、俺はズサーッと本棚に背中がつくまで後ずさった。
「ごご、ごめんなさい!! 殺さないでくださいっ、命だけは……っ!!」
「Кто ты?」
錯乱している俺を訝しげに見ながら、男が謎の言語を口にする。
「すみません、俺、あなたが何語で何を言ってるのか分からなくて……っ、あの、英語かフランス語は分かりますか!?」
通じているかも分からないフランス語で尋ねると、青年は、思い出すようにしばらく頭をひねった後、辿々しい口調で話し始めた。
「お前、誰? ここが、どこか、分かるか?」
思い出しながら喋ってるみたいにゆっくりだけど、確かにフランス語だ。
良かった、言葉が通じる……。
ホッとしたと同時に、男の言葉を奇妙に感じた。
ここがどこか、俺が誰かも分からないって……俺を殺すために待ち伏せていたのなら、そんなこと普通あるか?
「あのう……? 貴方がわざわざ入ってきたんですよね、この、俺の部屋に」
危険人物だということも忘れ、思わず突っ込む。
すると相手は酷く落ち込んだような表情で俯いてしまった。
「覚えてない……」
「ええ……っ」
どういうことなんだろう。
まさか頭を酷く打って、脳がおかしくなってしまったんだろうか。
「あの、本当に何も覚えてないんですか……?」
銃を持って、俺の部屋に入ってきたのに――。
固唾を呑んで相手の反応を待っていると、男は大きな手で額を押さえたまま、ゆっくりと自分のことを語り出した。
「……名前は覚えてる。俺は、ミハイル・アンドーレエヴィチ・シロフ」
うーん、早速身分証と食い違ってますね!?
もしかしたら生年月日も全然違うのかもと思い、聞いた。
「あの、お歳は……?」
「歳は、12だけど」
「じゅう……に?」
思わず、上から下まで彼の姿を眺めてしまった。
顎には金色の無精髭が生えてるし、身体は筋肉隆々だし、胸には結構な胸毛。うん、どう見ても成人してる。
「いや、嘘ですよね……?」
恐々否定すると、憮然とした顔をされた。
「嘘ついてどうすんだよ。お前、中国人?」
「いや、俺は日本人で……」
答えながら俺は混乱していた。
まるでこの人、あれみたいだ。
昔テレビの再現ドラマでやっていた、頭を打って記憶を失い、子供に戻っちゃった……的なやつ。
いやでも、そんな映画みたいなこと現実にあるか……?
まさかそういう作戦で俺を殺そうとしてる!?
俺は膝でにじり寄るようにベッドに近づき、慎重に彼に話しかけた。
「あの、シロフさん。その、どこからどうやって俺の家に来ましたか……?」
「……? ……気がついたら、ここに居ただけだ。俺はさっきまで、チェルタノヴォに居たはず、だから」
チェルタノヴォ……?
テレビでそういう名前のサッカーチームを見たことがある。
確かあれはモスクワのチームだ。
名前もロシア人で、住所もロシアということか……特におかしいことはないな。
って、おかしいよ! それなら何でフランス人の身分証持ってるんだ。
俺を殺しに来たのがフランス人の身分証を持つ自称ロシア人だなんて、複雑すぎて頭が混乱する。
「おい、お前。さっきから俺に質問するばかりで、俺の質問に答えてない。ここは、どこなんだ。住所は」
男が、横柄な、でもどこか子供っぽい口調で俺を急かした。
そういえば失礼なことをしてしまったなと、慌てて答える。
「ベルヴィルです。パリの」
驚いたように青年が深い紺青の瞳を見開いた。
「モスクワじゃ、ないのか……?」
その表情はどこかあどけなくて、嘘をついてるとか、演技をしているようには見えない。
「いや、パリです……フランスの首都の、パリ」
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