しずくの旅路

しろがね白昼夢

文字の大きさ
上 下
3 / 45

3お休み前世、おはよう今世

しおりを挟む
 転生しティアとして誕生した時の話をしよう
 あれは五百年前の出来事

 私は飲食店で働く平凡な人間で
 唯一の楽しみが寝ることで、最高の眠りを追求し寝具は何よりこだわった
 ベッドには身体に負担のない低反発マット、
 肌触りが最高のシーツそれに包まれた最高級な羽毛布団、
 枕もその日の体調で変える為何個も持っていた
 だけど何の代わり映えのない生活
 あの日もいつも通り仕事して帰宅し、愛用の寝具に入り寝たはずだった

「う~ん、、背中痛いんだけど…」
 身体が痛くて目をさますと
 昨夜寝に入った私の寝具達は消え、何故か石製の祭壇の上に寝ていた

「目を覚まされたぞ!」「なんと愛らしい」
「神よ感謝します」「世界に恵みを」
「‼」
 私が寝ていた祭壇を数人が囲んでいた、
 人が寝ているのを見るのマナー違反だよ?

 家で寝てたのはずなのに、突然の周囲の変化に混乱していると
 1人の男性が話しかけて来た
「ティア様この度の誕生、我ら心より
 お待ちしておりました」
 飲食店に働いているので人と話すのは慣れているが、この人格好いい!
 腰まで長い髪はストレートの艶のある黒髪で、整った顔に宝石みたいな碧い瞳
 装束だろうか神父さんの様な服を着ているが、モデルみたいだ

「ティア様?もしかして私の事でしゅか!?」
 緊張して噛んでしまった!恥ずかしくて顔が熱くなる

「はい」
 それにも関わらず普通に返答される
 そんな良い顔で返事しないで欲しい!さらに恥ずかしいんですけど!

「あのっ、名前が違うので人違いでは?」

「いえ、貴方こそ神により賜るティア様です」
 さらに微笑んできた‼慣れないからやめて!
 そのティアって何?

「そのっティア様…って?後、ここ何処です?私は家で寝たはずなんですが」

「ティア様、私はティア教会の神官長のオレンと申します。貴方様が居る此処はティア教会の中にある聖杯の間です」
 物凄く聞き慣れない言葉が返ってきた
 教会?しかもティア教会…
 普通、教会って神様とかあのクリスマスに生まれた人とかを信仰してるよね?

「えっと、ティア教会?そんな教会名知らないのですがそんな所に何故私が此処に?」

「ティア様は前世有しておられる様なので混乱されているかと存じますが
 この世界には神と神から賜るティア様を祀るティア教会がございます」

「知りませんでした、そうなんですね…………、前世?」

「はい、珍しいですが何代か前のティア様も
 前世の記憶をお持ちだったと聞いております」

「前世って…私死んだの何で、、?
 あぁーっ手!小さくなってる!背も低い!あっ髪すっごいサラサラ…あっ夢!夢だねきっと!よし寝よ~」
 こういうは寝たら夢だったって話だよねと寝る事にしよう

「混乱されても仕方が無いですが
  現実です寝ないで下さい!」

 オレン神官が呼ぶが関係なく深く眠りにつくのでした
 残念な事に目覚めてもティアのままだったけど…

 当時は自分が死んだ記憶が無いために、
 もう[目黒 涙(めぐろ るい)]の人生には戻れないという現実、そして何でか自分が信仰の対象だなんて理解出来ないでいた
 普通混乱する、絶対にする‼
 あぁ、私の愛する寝具達に会いたい
しおりを挟む

処理中です...