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熱に絆されて
page.2 第二章
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「はぁ…」
「どうしたんですか?尽さん」
「え?あ、いやなんでもないよ。」
いつの間にか溜息を付いていたようだ。
彼が来なくなってから、もう1ヶ月はすぎただろう。
…どうしたんだろう。
やっぱりキスしてしまったのがいけなかったのだろうか?
俺は最低だ…
「どうしようかな…?」
「…そう言えば!この前来てくれたって言ってた方って、大学生の方ですよね?」
「うん。そうだけど…」
「名前ってなんて言うんですか?」
「え?どうして…?」
「いえなんて言う名前なのかなって思いまして。」
名前。
まぁそれくらいなら…
「北条要っていうんだけど…それがどうしたの?」
「いえ。聞きたかっただけです。」
「そう。」
優しく微笑んだ目の前の子はここのBARのバイトの子だ。
濃い黒紫の髪が揺れる。
彼の名前は、喜助揚羽。
優しくて丁寧でお酒を作るのも上手で、それに綺麗だ。
男から見ても綺麗で、人形みたいだ。
「……どうしたんですか?」
こっちに気がついたようで柔らかく微笑む。
「ううん。何もないよ。…やっぱり揚羽くんは綺麗だね。」
「そんな綺麗だなんて…やめてください。」
照れながら笑う。
「ふふっ。本当だよ。」
なんだか嬉しくなって何度も綺麗だと繰り返す。
「~~~っ!尽さん!やめてくださいっ!」
「あははっ!ごめんって!」
「~~~っ!もうっ…!」
揚羽くんを見ていたら暗かった気持ちも晴れた。
……要くん…いつ来るんだろう…?
「なぁ!要!」
グッと顔を近づけて来た金髪の男。
「何?楓。」
外はセミが鳴いてる。
こんなクソ暑いのに元気なもんだ。
「な。海行かね?」
「は?」
「海だよ!海!兄貴が誘って来てさぁ。向こうは後一人いるんだけど、四人にしたいらしくて…だからな?行こうぜ !」
「はぁ?ヤダよ。何でこんな暑い中外なんかに…」
「いーや。もう行くって言ったもんね~!」
「はぁ!?何で勝手に…!」
「でもよぉ…」
肩に手を乗せて来る。
小さな声で…
「女の子いるんだぜ?」
「行かないよ。」
「なぁ~お願いだって!俺、この夏捨てたいんだよ~」
「は?何を?」
「何って…そりゃ…童貞だろ。」
「はぁーでた。何それ。そんなの俺いなくてもいいじゃん。」
別に俺はいなくても全然いいだろう。
そもそも根本的に合わない。
俺がいって何のメリットがある?
「そこをどうか!」
「ヤダ。いや。絶対。」
「だって向こうの女の子達四人来るんだぞ?人数は合わせたいじゃん!」
あ、そういうことか。
確かにそうだな。こいつは童貞を捨てたがってる。
俺がいかなかったらあいつは捨てるまでずっとこう言うことを言ってくるだろう。
それはウザい。
「わかった。わかったから。行くから。」
「マジで!?ありがとうっ!」
満面の笑顔。
何がいいんだか…
「何の話?」
「あ、柳。」
「うげっ」
「いま、海行こうって話しててさ。」
「へぇ海か。」
「柳も行こうよ。」
「はぁ!?何で!てか、無理だし!」
明らかに嫌がる楓。
「え?だって俺とお前と兄貴と、楓。ちょうど四人じゃん。」
「違うって!兄貴とその友達一人と俺らで四人!」
あ、そうか。
「あーごめん柳。無理みたい…」
「別に。大丈夫だよ。じゃあね。」
そのまますたすたと歩いていく。
……申し訳ないことをしたかな?
そんなことを思いながら俺の頭の中は尽さんのことでいっぱいだった。
~page.2 第二章終わり~
「どうしたんですか?尽さん」
「え?あ、いやなんでもないよ。」
いつの間にか溜息を付いていたようだ。
彼が来なくなってから、もう1ヶ月はすぎただろう。
…どうしたんだろう。
やっぱりキスしてしまったのがいけなかったのだろうか?
俺は最低だ…
「どうしようかな…?」
「…そう言えば!この前来てくれたって言ってた方って、大学生の方ですよね?」
「うん。そうだけど…」
「名前ってなんて言うんですか?」
「え?どうして…?」
「いえなんて言う名前なのかなって思いまして。」
名前。
まぁそれくらいなら…
「北条要っていうんだけど…それがどうしたの?」
「いえ。聞きたかっただけです。」
「そう。」
優しく微笑んだ目の前の子はここのBARのバイトの子だ。
濃い黒紫の髪が揺れる。
彼の名前は、喜助揚羽。
優しくて丁寧でお酒を作るのも上手で、それに綺麗だ。
男から見ても綺麗で、人形みたいだ。
「……どうしたんですか?」
こっちに気がついたようで柔らかく微笑む。
「ううん。何もないよ。…やっぱり揚羽くんは綺麗だね。」
「そんな綺麗だなんて…やめてください。」
照れながら笑う。
「ふふっ。本当だよ。」
なんだか嬉しくなって何度も綺麗だと繰り返す。
「~~~っ!尽さん!やめてくださいっ!」
「あははっ!ごめんって!」
「~~~っ!もうっ…!」
揚羽くんを見ていたら暗かった気持ちも晴れた。
……要くん…いつ来るんだろう…?
「なぁ!要!」
グッと顔を近づけて来た金髪の男。
「何?楓。」
外はセミが鳴いてる。
こんなクソ暑いのに元気なもんだ。
「な。海行かね?」
「は?」
「海だよ!海!兄貴が誘って来てさぁ。向こうは後一人いるんだけど、四人にしたいらしくて…だからな?行こうぜ !」
「はぁ?ヤダよ。何でこんな暑い中外なんかに…」
「いーや。もう行くって言ったもんね~!」
「はぁ!?何で勝手に…!」
「でもよぉ…」
肩に手を乗せて来る。
小さな声で…
「女の子いるんだぜ?」
「行かないよ。」
「なぁ~お願いだって!俺、この夏捨てたいんだよ~」
「は?何を?」
「何って…そりゃ…童貞だろ。」
「はぁーでた。何それ。そんなの俺いなくてもいいじゃん。」
別に俺はいなくても全然いいだろう。
そもそも根本的に合わない。
俺がいって何のメリットがある?
「そこをどうか!」
「ヤダ。いや。絶対。」
「だって向こうの女の子達四人来るんだぞ?人数は合わせたいじゃん!」
あ、そういうことか。
確かにそうだな。こいつは童貞を捨てたがってる。
俺がいかなかったらあいつは捨てるまでずっとこう言うことを言ってくるだろう。
それはウザい。
「わかった。わかったから。行くから。」
「マジで!?ありがとうっ!」
満面の笑顔。
何がいいんだか…
「何の話?」
「あ、柳。」
「うげっ」
「いま、海行こうって話しててさ。」
「へぇ海か。」
「柳も行こうよ。」
「はぁ!?何で!てか、無理だし!」
明らかに嫌がる楓。
「え?だって俺とお前と兄貴と、楓。ちょうど四人じゃん。」
「違うって!兄貴とその友達一人と俺らで四人!」
あ、そうか。
「あーごめん柳。無理みたい…」
「別に。大丈夫だよ。じゃあね。」
そのまますたすたと歩いていく。
……申し訳ないことをしたかな?
そんなことを思いながら俺の頭の中は尽さんのことでいっぱいだった。
~page.2 第二章終わり~
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