人探し探偵

餡脳(unknow)

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第四話

社長直撃

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「社長室は最上階ですね。」
さっきまで乗り気じゃなかったはずの大和が、エレベーターのボタンを押した。
「ここまで来たら、やるしかないですね。責任は目黒さんがとってくださいね。」
「おう。わかってるよ。」
エレベーターは他の階で止まることなく、最上階に到着した。
「行くぞ。」
「はい。」
エレベーターを出ると、目の前が社長室だった。
ノックするべきか。
いや、突撃しよう。
俺はドアノブに手をかけると、勢いよく扉を開いた。
部屋の中には、秘書らしき人と正面の机に座っている男の人がいた。
「どちら様ですか?」
秘書らしき人が話しかけてきた。
「目黒探知事務所の目黒慶です。って言えばわかりますか?」
「ほう、まさか会社に押し掛けてくるなんて。」
男の人は行った。
この声。
あの夜、俺にこの依頼から手を引くように言っていた声と同じだ。
「まさか、社長直々に忠告してくれてたとは。」
「その忠告を無視するとは、君たちの決断は愚かだな。」
「梶さんはどこにいる?」
「彼女は自分から雅也くんから離れることを選んだんだ。僕は知らないよ。」
「そんなことより、君たちの動き次第では、こちらも然るべき行動をとるって言ったよね。」
男の人は、にこりと笑った。
でも、目は笑っていなかった。
「松本くん。警備員を呼んでくれ。」
「わかりました。」
秘書らしき男は社長に言われ、ズボンのポケットからスマホを取り出し、電話を掛け始めた。
「社長室に不審者が入ってきた。ああ、頼んだ。」
警備員が来たら厄介だ。
今のうちに聞き出そう。
俺は、社長の方へと近づき社長の胸ぐらを左手で掴んだ。
「梶さんはどこにいる。正直に答えろ。」
「わあ、怖いな。」
俺は右手に拳を握った。
「痛い目みる前に答えろ。」
「痛い目みるのは君たちの方だよ。」
「うわっ、」
後ろで大和の叫び声がした。
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