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第四話
じこちゃんを探して
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「じこちゃんを探してください。」
事務所に入ってくるやいなや、その人は言った。
「じこちゃん?」
「はい。僕の彼女の梶琥珀です。あ、これがじこちゃんの写真です。」
「彼女ですか。」
その人が見せてくれた写真には、綺麗な女の人が映っていた。
「ちょっと前から連絡が取れなくて、この前デートの約束をしてたんですけど、来なくて。」
「そういうことは、今まで無かったんですか?」
「はい。初めてです。じこちゃんはいつも僕のことを一番に考えてくれていて、連絡もこまめにしてくれるんです。」
「そうですか。」
「なるべく早く見つけて下さい。じゃないと、僕、違う人と結婚させられてしまうんです。」
「へ?」
「今、親に薦められている人がいて、今までは彼女がいるからって断ってきたんですけど、行方不明になってることが親に知られたら、どうなるか。」
「それは、大変ですね。わかりました。我々もなるべく早く見つけます。」
「お願いします。進展があったら、電話ください。」
そう言って、その男の人は名刺をくれた。
そして、そのまま事務所を出ていった。
彼女か、良いな。
俺の方が格好いいのに、あんな人でも彼女ができるのか。
ふと名刺を見ると、思わず
「え!?」
と叫んでしまった。
「慶さん、どうしたんですか?」
「これ、見てみろ。」
「ん?え!」
大和は名刺を見ると、固まってしまった。
「この事務所も、ビッグになったな。こんな人が来るなんて。」
名刺に書かれてあったのは、日本人なら一度は聞いたことあるような大企業の名前。
そして、取締役社長の文字。
金持ちかよ。
たぶん彼女は金目当てだな。
そういうことにしよう。
俺は自分に言い聞かせた。
事務所に入ってくるやいなや、その人は言った。
「じこちゃん?」
「はい。僕の彼女の梶琥珀です。あ、これがじこちゃんの写真です。」
「彼女ですか。」
その人が見せてくれた写真には、綺麗な女の人が映っていた。
「ちょっと前から連絡が取れなくて、この前デートの約束をしてたんですけど、来なくて。」
「そういうことは、今まで無かったんですか?」
「はい。初めてです。じこちゃんはいつも僕のことを一番に考えてくれていて、連絡もこまめにしてくれるんです。」
「そうですか。」
「なるべく早く見つけて下さい。じゃないと、僕、違う人と結婚させられてしまうんです。」
「へ?」
「今、親に薦められている人がいて、今までは彼女がいるからって断ってきたんですけど、行方不明になってることが親に知られたら、どうなるか。」
「それは、大変ですね。わかりました。我々もなるべく早く見つけます。」
「お願いします。進展があったら、電話ください。」
そう言って、その男の人は名刺をくれた。
そして、そのまま事務所を出ていった。
彼女か、良いな。
俺の方が格好いいのに、あんな人でも彼女ができるのか。
ふと名刺を見ると、思わず
「え!?」
と叫んでしまった。
「慶さん、どうしたんですか?」
「これ、見てみろ。」
「ん?え!」
大和は名刺を見ると、固まってしまった。
「この事務所も、ビッグになったな。こんな人が来るなんて。」
名刺に書かれてあったのは、日本人なら一度は聞いたことあるような大企業の名前。
そして、取締役社長の文字。
金持ちかよ。
たぶん彼女は金目当てだな。
そういうことにしよう。
俺は自分に言い聞かせた。
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