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刺さる棘 2
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「クリスマスに先生に言ったこと、本当なんです」
美術準備室のドアを開けて中に入った俺の、第一声がそれだった。
ここには先生しかいなくて、そして彼はあの日俺に手伝わせたでっかいキャンバスに向かって何かを描いていた。だけど俺の姿と声にその手を止めた彼は、大きく目を見開いて俺を凝視した。
でも驚きは一瞬で、彼はあっという間に苦しそうな顔になっていく。
そんな顔をさせたのは俺。あなたを苦しめてる。分かってたのに俺はそれを選んだんだって改めて実感した。
クリスマスの時「自分を認めて大事に」って言ったのはあなただけど、逆に俺はあなたを大事に思っちゃいないのかもしれない。自分ばっかり大事で、だからあなたをそれで苦しめて。自分のことが酷く醜く感じた。
「篠原の気持ち、俺は知らなかった。ずっと傍にいてくれてたのにな。気付かなくてごめん。お前を苦しめた」
筆を置いた先生は、俺の顔をじっと見て、頭を下げた。頭なんて下げて欲しくないよ。俺があなたを苦しめてるのに。
「い、いえっ、俺こそご迷惑ばかりかけてすみませんっ」
そして、顔を上げた先生は、はっきり言ったんだ。
「篠原、だけど、返事はNOだ。すまん。ありがとうな」
その返答は、限りなく予想してた結末で、俺のわずかな期待なんて1ミリも叶うことなく、綺麗に消えた。
でも、逆にすっきりした気分になったのは嘘じゃない。
「ありがとうございました。……はっきり言ってくれて、ホッとしました」
今度はオレがペコリと頭を下げたんだ。
そして先生は、
「学級委員、ほんとやるのか? 他の誰かに頼んだ方が良くないか?」
と心配そうに声を出した。
「……本当にすみませんでした。でもせめて3月まではちゃんと学級委員やらせてください。これまでと同じで、それだけでいいので」
俺は頭をあげることなく、彼に頼んだ。それは、泣きそうな顔を見られたくなかったし、振られたのに、あなたの傍にいたいってまだ思う自分を卑しく感じたからで。それでも2年生になるまでの残り三ヶ月。それくらいは許してください。俺のわがままです。
すると先生は「わかったよ。お前がやってくれるのは凄く助かるし、他の奴らにお願いするより、俺が嬉しい」って言ってくれた。
「じゃあ俺、教室戻ります」
「ああ」
美術室を出たとたん、我慢してた涙がぼろって出てきそうになった。俺慌てて走って1Aの教室に駆け込んだ。そして自分の席に座ったら、それはやっぱりもうどうしようもなく溢れてきてしまって。
「篠原、どうだっ、た……?」
それに返事もせず、机に突っ伏した俺。そんな俺のことをもう何も言わずポンポンと頭をなでた勝山。
あふれた涙は、顔の下にある制服の袖に吸われて消えてく。
分かってたんだ、叶うことないって……
「……あれ? 篠原くん、どうしたの?」
ぐす、って静かに泣いてた俺に、後ろの席にいる世良さんの声が聞こえた。
「振られたんだと」
俺の代わりに勝山が小声で答える。
「そっかぁ。片思いだって聞いてたけど、ダメだったのかぁ……」
さみしそうな声で世良さんは囁いた。
その時、キーンコーンカーンコーンってチャイムが鳴り響いた。もう昼休みは終わり。泣いてる場合じゃない。次の授業の準備しなくちゃ。
ぐっと涙を拭いて、顔を上げたとき、俺、ちょうど教室に入ってきた江嶋先生とバシって目が合ったんだ。
……うそ、5限目って、数学、だったの?
「うわ、もう先生来てるよ。篠原っ、泣きやめっ」
でも俺、先生の顔見たら、結局涙が止まらなくなった。
(先生が好きだったんです……大好きだったんです)
彼から目が離せなくて、泣き顔を晒してるのに顔を隠すことも出来なくて、クラスのみんなに泣いてるのバレちゃう、って思ったけど、俺の視界は涙のせいでひどく歪んだまま。だから、気付かなかったんだ。先生が俺の傍まで歩み寄っていたことに。
そして、先生が俺の顔に何かを当ててた。ハッと気付いてそれを手に取れば、きれいにアイロンの掛かった藍色のハンカチで、でもそれは俺の涙に濡れてすでに少し色が変わってしまってた。
「う……っ」
俺、なんも言えずにそのハンカチをギュウって握りしめたんだ。そしたら今度は目の前が一気に暗くなった。そして、先生からいつも香るあの甘い匂いと一緒にほわっと温かい何かが俺を包んで。
それは先生が着てるスーツのジャケットだった。彼は俺の頭の上からそれをパサリと掛けてくれたんだ。泣き顔を皆に見えないようにするために。
「篠原はちょっと体調不良で仮眠してるから、気にすんな」
そんなことを言って彼は教壇に戻る。そしてクラスはわぁっ!ってざわめいた。
「先生男前っ」
「すっげっ」
「超かっこいいっ」
「篠原、お前なんで泣いてんだよっ」
「篠原くんもしかして振られたの?」
「こらっ誰だ事実言ったのっ」
「オレ、泣くくらい好きだったんですぅ~」
「だめよぉ、それは言わないでよぉ~」
「振ったの誰よっ」
「篠原、女に振られたくらいで泣くなっ」
「男泣き切ねぇ~」
「いいじゃないっ、純情って素敵じゃん篠原くん」
「案外可愛いとこあるのねっ」
クラスメイトはなんかすげぇ楽しそうに色々言ってた。そんな彼らに「ほら、授業始めるぞ」とマイペースに声をかけた先生。
「ぅ、……ぁっ……っ」
彼のジャケットから俺に広がる温もりと香りに、余計苦しくなった。授業の迷惑になるから嗚咽は何とか我慢したけど、涙だけは俺止まんなくて、そのまま彼のハンカチを握って机の上に縮こまる。
こんなに好きになったの初めてだった。傍にいたくてあなたをずっと見てたくて。でもバレたか困るから必死に隠してた。
だけと伝えてしまえば、こんなあっさり振られてしまった。
分かってたんだ、叶うことだってないってどっかで分かってた。でも、言ってしまった。言いたくてしょうがなかった。もしかしたら……って言う微かな可能性も考えてた。あの人が俺のこと好きになってくれるとか。そんな甘いこと。
だけど、現実は……
ジャケットから伝わるあなたの微かな体温。でも今の俺には、そこに痛みしか感じない。
胸に突き刺さる痛みと、教室に広がる先生の数学講義を聞きながら、俺は泣いたんだ。
……先生が、大好きでした
*
俺が振られて泣いたってことは、あっという間に学校に広まった。でもそれは江嶋先生が俺にジャケット掛けたことが主であって俺はそのおまけ。そんで見たことない女子が教室の前で江嶋先生の顔を見に待ってるっていう状況がいきなり生まれてる。俺のせいなんですけどね。
「みんなに知られちゃって災難だな。まあ、昼休みに飛び出したお前がバカなんだけどな。放課後だったらもうちょっとマシだったろうに」
って勝山は笑うだけ。
「うるせ、仕方ないだろ、言っちゃったもんは」
「でもこんだけ騒がれたら、失恋の痛みも何処へやら、だよな」
早く忘れて、次に行けよって言われた。
そんな簡単に行けるもんじゃないんだけどね、毎日彼の授業を受けてるし、ほぼ毎日彼と一緒になにかしら学級委員の仕事してるから、俺。
忘れなきゃって思うたびに、胸が痛くてしょうがない。あの時刺さった失恋って言う棘は一週間経っても俺を苦しめる。
「おまえの告白相手は誰かって探してる奴らもいるらしいな。まあ、向こうが名乗り出る訳もお前が言える訳もないしなぁ。でも俺にくらい教えてくれない?」
にやっと笑った勝山にその人は噂の張本人な江嶋先生なんですけどと心の中で呟いて「言えません」って俺は笑った。
「あ、そろそろ俺、職員室行ってくるよ」
6限が終わってHRを待つばかりの俺たち生徒だけど、俺には学級委員としての仕事がある。俺はやっぱまだ先生のこと好きだから、一緒に歩く時はまだそこまで会話が続かないんだけど、この仕事だけはちゃんとやるって彼にも宣言しちゃった手前、絶対途中放棄はしたくない。
席を立って教室を出た俺だけど、切なさはどうしても残ってるから、軽快とは言えない足取りで、職員室へ向かった。
だけど、「よぉ、コバンザメ、今学期もそのコバンは活用されそうなのかい?」といつもと変わらない軽々しい声がして、俺は足を止めた。
声で日高先生ってわかってたけど、振り返ればそこにはやっぱり彼女がいた。はあ、って嘆息しつつ、俺は歩きを再開。隣に来た彼女は「噂は聞いたよ、コバンザメ」と言う。
「日高先生……もう、いい加減その呼び方やめてくださいよ」
「あはは、でも告白相手は秘密みたいじゃん。てかあいつだろ?」
「振られましたよ今度はちゃんと。だからもうほっといてくださいよ」
バカにされそうな気がして、投げやりに答えた俺。
「そっか……辛いな。お前、あんなに好きだったのにな」
でも、先生はしんみりと呟いた。その声は心底そう思ってくれてるみたいに俺には聞こえて。
「……もう、ほんとに、好きだった、んですっ……からっ」
俺の好きな人、唯一知ってる先生にそんな風に言われたら、思わず泣きそうになってしまった。ジャケットの温もりと失恋という痛い棘が胸いっぱいに思い出されて、奥がじくじく疼く
。
寒さ対策に閉じられてる渡り廊下の扉を開ければ、そこは冬の風が勢いよく吹いていてその痛みをより増していくみたいだ。
「こら、私の前で泣くなよ。巻き込まれ事故はイヤだからな」
「もう、泣きませんっ」
寒さと胸の痛みで泣きそうな気分を何とか声だけでごまかした。足取りもより重くなってしまう。
「一人で泣くなら問題ないよ。それくらい好きだったって事だから、気にすんな」
「俺みたいな男に惚れられて、告白されて……ほんとに迷惑かけました」
そしたら日高先生は俺の頭をくしゃくしゃした。それは江嶋先生の手の温もりと比べて小さなサイズだったけど、凄くホッとして俺、ちょっと落ち着いた。
「仕方ない、俺も先生も男で、もうその時点でダメだったんですから」
自分に言い聞かせるように言ったその言葉だったけど、日高先生が「それは違う」と言い俺の頭をまた一回くしゃくしゃした。
「なあ篠原。お前断られたときなんて言われたんだ?」
「返事はNOだって」
「ほら、お前が男だからダメとか言われなかったろ?」
「それは言われませんでしたが……て言うか、俺の告白を断った理由は聞いていません」
「なんだ、聞いてないのか」
その口振りに「先生っ、知ってるんですかっ?」って聞いてしまった。でも、
「知る訳ないだろ? でもま、彼女がいるからって言う理由じゃないことだけは確かだよ」
って言った彼女。
「ど、ゆ、事ですか?」
「あれ、言わなかったっけ? あいつの付き合ってた人、私の知り合いなんだよね。二人、別れてるからさ、年明け早々」
「うそ……」
「何で別れたのかは知らないけどさ、ま、きっかけも合コンだったし。別にお互いそんな趣味も好みなんかも共通点が無かったし、私の知る限りじゃ、彼女の方がアイツに飽きてきてたみたい。まあ、別れを切り出した彼女を引き留めようともしないアイツもアイツだし、結局二人の間には愛情が育たなかったって事なんだろうねぇ」
「そうだったんですか……でも俺が振られたことには変わりないですから」
彼女と別れてたって、江嶋先生が俺のこと好きじゃないから俺は断られたわけで、今その話を聞かされても俺が振られた事が覆るはずもなくて。
でも日高先生は、なんか楽しそうな顔して喋るのを止めなかった。
「てゆーか、おもしろかったよ~、年始明けに学校来たときの江嶋先生。私が肩叩いたらビクってして、『あ、なんだ、日高先生か』ってホッとした顔見せて。篠原かと思ったんだろうね。いつもの冷静な先生からしたら、余りに挙動不審だったからついカマ掛けちゃった『コバンザメに告白されたんだったよね』って。そしたら案の定目が点になっちゃってさ。もう、笑いこらえるのに必死だったよ私。後で『何で知ってんだ』って問いつめられたから言っちゃった。『コバンザメの気持ちずっと前から気付いてた』って。感情丸出しなお前のことなんにも気付かない方が悪いんだよ」
けたけた笑う日高先生だったけど、俺は笑えなくって。
「先生、やっぱり動揺してたんだ。俺が告白したから……告白しない方が良かったんだ……先生を苦しめるだけだったし、結局振られて終わったし……」
なんか、また悲しくなってきた。俺、めっちゃ無駄な事しただけじゃんっ。
はぁ、って溜め息が出た瞬間、バコンって頭を思い切り殴られた。
「ってぇっ」
思わず先生をにらんだけど、逆にニヤって笑った日高先生。
「なに落ちこんでんだ。振られたって言っても『今は』じゃん。お前を振ったのも、あいつがすぐに白黒結論つけたがる理系男だからだよ。今は好きだって気持ちがないかも知れないけど、それはこれからまた変わる余地があるって事。荒れ果てた地でも心込めて耕せば実りも期待できるって教えたの忘れたのかい? あの鈍感男がお前のことようやく意識したんだ。スタート地点にきたんだから、良いかったじゃん。泣くくらいアイツが好きなんだろ? だったらこの3学期、惚れさせるべく頑張ったらいいんじゃないかな」
その言葉に、俺は目を見開いた。
そうだ、確かに先生はクリスマスまで俺の事なんて只のいち生徒としか見て無かったんだ。告白したのも、言わなきゃ始まらないって思ったからなんだ。
俺、日高先生の言うように、これからの可能性に賭けてみたい。でも、
「ど、どうやって頑張れば……」
先生の言葉に勇気もらったけど、やっぱり自信なくて。
「ばか、あんな合理主義な鈍感男振り向かせる方法なんて知らないよ。でもさ、お前隠そうとしても隠せないくらい好き好き光線出してるから、気持ちはちゃんと伝わると思うよ。私の持論だけど、振る理由もないし、好きになる理由もないんだよ。理由なんてないんだ。好きって言う気持ちは、どうしようもなくわき出るもんだから。お前が一番分かってんだろ?」
もっと、彼のことを見ろと励ましてくれた日高先生。おかげで、あんなに泣いてたのに、なんか逆に胸が変な希望で膨らんできてしまった。俺、すげえ単純なのかも。
「日高先生……ありがとうございます」
そして寒い渡り廊下を通りきった時、とどめとばかりに、日高先生は俺に嬉しいことを言ってくれたんだ。
「お前さ、キャンバス張り頼まれたじゃん。あれさ、あいつ最初私に張るの頼んだんだよね。でも私ヤだったから『生徒にたのめば』って言ったんだ。そしたら江嶋先生『篠原にばっか頼むの申し訳ないし』って言ったんだ。私別に篠原の名前出した訳じゃないし普通は部員を考えるだろ? なのにあいつはお前を考えた。それって篠原を凄く意識してるって事じゃないの? そんで結局あいつお前に頼んだ訳じゃん。可愛いとこあるじゃないか。よっぽどお前が良かったんだろうな」
「うそ……」
「まあ、そんなことだから、これからもめげずに頑張ってくれ。見てんの超楽しいから。あ、もう職員室ついちゃった。話はここでおしまい。じゃあな」
日高先生は軽く俺に手を挙げ、さっと扉を開けて職員室へと入っていった。そして俺はその扉の前で、少し立ち止まった。江嶋先生が一番に俺のこと考えてくれたって、そんな話聞いて、すげぇ嬉しくなってしまって。
新年始まって早々、先生に振られて、恥ずかしながら授業中に泣いてしまって、失態ばかりの俺。俺はずっと、今まで先生のこと、好きって気持ちだけでしか見てなかった。
自分の気持ちばかりでいっぱいいっぱいで、今先生が先生として俺たち生徒をどう思って、何を考えてるのか、そんな事も考えられてなかった。
だから、クリスマスの夜まで、あなたが俺たち生徒に沢山くれた優しさにも気付かなかったんだ。
でも先生は俺の告白を断った時だって、男に告白なんてお前バカじゃね? って言っておかしくないのに、彼は彼女を引き合いに出したりせず、俺のこと軽蔑したりもせず、俺の目を見て、ちゃんと言ってくれた。
『好きな自分を認めて大事にしろ』って言った彼は、俺の気持ちをちゃんと認めて受け止めてくれて……俺のことを真剣に考えてくれてたんだ。
だから、泣いてる俺にハンカチ貸してくれて、ジャケット掛けてくれたんだ。
さっき日高先生が『これから変わる余地ある』『気持ちはちゃんと伝わる』って言ってた。もし、そうなら江嶋先生との駆け引きは、本当にこれからで……
失恋したあの鋭い痛みはそのままなのに、そこに、フワフワと違う感情が湧いてきてしまった。深く深く刺さったその痛い棘が、でもなぜか暖かくて、俺はその感覚にどうしようもなく戸惑ってしまった。
先生が好きな気持ちに嘘はつけない。
あなたの優しさと誠実さに、心からの感謝と謝罪を。
先生に、俺は何が出来るだろうか。学級委員としてあなたの傍にいられる時間はあと3ヶ月しかない。その間、俺は出来る限りあなたを知りたい。あなたが俺のことちゃんと見て、受け止めてくれたみたいに、あなたを見て、あなたを受け止めたい。それは俺が振られた事実を昇華するだけなのかもしれないけど。
胸に刺さって大きくなる棘は痛いけど、それは俺に勇気を与えてくれた。
俺は顔をしっかりとあげて目の前の扉に手を掛けた。
「失礼します」
職員室にいる彼の傍へと進む俺の足取りは、さっきとは明らかに違ってとても軽かった。
美術準備室のドアを開けて中に入った俺の、第一声がそれだった。
ここには先生しかいなくて、そして彼はあの日俺に手伝わせたでっかいキャンバスに向かって何かを描いていた。だけど俺の姿と声にその手を止めた彼は、大きく目を見開いて俺を凝視した。
でも驚きは一瞬で、彼はあっという間に苦しそうな顔になっていく。
そんな顔をさせたのは俺。あなたを苦しめてる。分かってたのに俺はそれを選んだんだって改めて実感した。
クリスマスの時「自分を認めて大事に」って言ったのはあなただけど、逆に俺はあなたを大事に思っちゃいないのかもしれない。自分ばっかり大事で、だからあなたをそれで苦しめて。自分のことが酷く醜く感じた。
「篠原の気持ち、俺は知らなかった。ずっと傍にいてくれてたのにな。気付かなくてごめん。お前を苦しめた」
筆を置いた先生は、俺の顔をじっと見て、頭を下げた。頭なんて下げて欲しくないよ。俺があなたを苦しめてるのに。
「い、いえっ、俺こそご迷惑ばかりかけてすみませんっ」
そして、顔を上げた先生は、はっきり言ったんだ。
「篠原、だけど、返事はNOだ。すまん。ありがとうな」
その返答は、限りなく予想してた結末で、俺のわずかな期待なんて1ミリも叶うことなく、綺麗に消えた。
でも、逆にすっきりした気分になったのは嘘じゃない。
「ありがとうございました。……はっきり言ってくれて、ホッとしました」
今度はオレがペコリと頭を下げたんだ。
そして先生は、
「学級委員、ほんとやるのか? 他の誰かに頼んだ方が良くないか?」
と心配そうに声を出した。
「……本当にすみませんでした。でもせめて3月まではちゃんと学級委員やらせてください。これまでと同じで、それだけでいいので」
俺は頭をあげることなく、彼に頼んだ。それは、泣きそうな顔を見られたくなかったし、振られたのに、あなたの傍にいたいってまだ思う自分を卑しく感じたからで。それでも2年生になるまでの残り三ヶ月。それくらいは許してください。俺のわがままです。
すると先生は「わかったよ。お前がやってくれるのは凄く助かるし、他の奴らにお願いするより、俺が嬉しい」って言ってくれた。
「じゃあ俺、教室戻ります」
「ああ」
美術室を出たとたん、我慢してた涙がぼろって出てきそうになった。俺慌てて走って1Aの教室に駆け込んだ。そして自分の席に座ったら、それはやっぱりもうどうしようもなく溢れてきてしまって。
「篠原、どうだっ、た……?」
それに返事もせず、机に突っ伏した俺。そんな俺のことをもう何も言わずポンポンと頭をなでた勝山。
あふれた涙は、顔の下にある制服の袖に吸われて消えてく。
分かってたんだ、叶うことないって……
「……あれ? 篠原くん、どうしたの?」
ぐす、って静かに泣いてた俺に、後ろの席にいる世良さんの声が聞こえた。
「振られたんだと」
俺の代わりに勝山が小声で答える。
「そっかぁ。片思いだって聞いてたけど、ダメだったのかぁ……」
さみしそうな声で世良さんは囁いた。
その時、キーンコーンカーンコーンってチャイムが鳴り響いた。もう昼休みは終わり。泣いてる場合じゃない。次の授業の準備しなくちゃ。
ぐっと涙を拭いて、顔を上げたとき、俺、ちょうど教室に入ってきた江嶋先生とバシって目が合ったんだ。
……うそ、5限目って、数学、だったの?
「うわ、もう先生来てるよ。篠原っ、泣きやめっ」
でも俺、先生の顔見たら、結局涙が止まらなくなった。
(先生が好きだったんです……大好きだったんです)
彼から目が離せなくて、泣き顔を晒してるのに顔を隠すことも出来なくて、クラスのみんなに泣いてるのバレちゃう、って思ったけど、俺の視界は涙のせいでひどく歪んだまま。だから、気付かなかったんだ。先生が俺の傍まで歩み寄っていたことに。
そして、先生が俺の顔に何かを当ててた。ハッと気付いてそれを手に取れば、きれいにアイロンの掛かった藍色のハンカチで、でもそれは俺の涙に濡れてすでに少し色が変わってしまってた。
「う……っ」
俺、なんも言えずにそのハンカチをギュウって握りしめたんだ。そしたら今度は目の前が一気に暗くなった。そして、先生からいつも香るあの甘い匂いと一緒にほわっと温かい何かが俺を包んで。
それは先生が着てるスーツのジャケットだった。彼は俺の頭の上からそれをパサリと掛けてくれたんだ。泣き顔を皆に見えないようにするために。
「篠原はちょっと体調不良で仮眠してるから、気にすんな」
そんなことを言って彼は教壇に戻る。そしてクラスはわぁっ!ってざわめいた。
「先生男前っ」
「すっげっ」
「超かっこいいっ」
「篠原、お前なんで泣いてんだよっ」
「篠原くんもしかして振られたの?」
「こらっ誰だ事実言ったのっ」
「オレ、泣くくらい好きだったんですぅ~」
「だめよぉ、それは言わないでよぉ~」
「振ったの誰よっ」
「篠原、女に振られたくらいで泣くなっ」
「男泣き切ねぇ~」
「いいじゃないっ、純情って素敵じゃん篠原くん」
「案外可愛いとこあるのねっ」
クラスメイトはなんかすげぇ楽しそうに色々言ってた。そんな彼らに「ほら、授業始めるぞ」とマイペースに声をかけた先生。
「ぅ、……ぁっ……っ」
彼のジャケットから俺に広がる温もりと香りに、余計苦しくなった。授業の迷惑になるから嗚咽は何とか我慢したけど、涙だけは俺止まんなくて、そのまま彼のハンカチを握って机の上に縮こまる。
こんなに好きになったの初めてだった。傍にいたくてあなたをずっと見てたくて。でもバレたか困るから必死に隠してた。
だけと伝えてしまえば、こんなあっさり振られてしまった。
分かってたんだ、叶うことだってないってどっかで分かってた。でも、言ってしまった。言いたくてしょうがなかった。もしかしたら……って言う微かな可能性も考えてた。あの人が俺のこと好きになってくれるとか。そんな甘いこと。
だけど、現実は……
ジャケットから伝わるあなたの微かな体温。でも今の俺には、そこに痛みしか感じない。
胸に突き刺さる痛みと、教室に広がる先生の数学講義を聞きながら、俺は泣いたんだ。
……先生が、大好きでした
*
俺が振られて泣いたってことは、あっという間に学校に広まった。でもそれは江嶋先生が俺にジャケット掛けたことが主であって俺はそのおまけ。そんで見たことない女子が教室の前で江嶋先生の顔を見に待ってるっていう状況がいきなり生まれてる。俺のせいなんですけどね。
「みんなに知られちゃって災難だな。まあ、昼休みに飛び出したお前がバカなんだけどな。放課後だったらもうちょっとマシだったろうに」
って勝山は笑うだけ。
「うるせ、仕方ないだろ、言っちゃったもんは」
「でもこんだけ騒がれたら、失恋の痛みも何処へやら、だよな」
早く忘れて、次に行けよって言われた。
そんな簡単に行けるもんじゃないんだけどね、毎日彼の授業を受けてるし、ほぼ毎日彼と一緒になにかしら学級委員の仕事してるから、俺。
忘れなきゃって思うたびに、胸が痛くてしょうがない。あの時刺さった失恋って言う棘は一週間経っても俺を苦しめる。
「おまえの告白相手は誰かって探してる奴らもいるらしいな。まあ、向こうが名乗り出る訳もお前が言える訳もないしなぁ。でも俺にくらい教えてくれない?」
にやっと笑った勝山にその人は噂の張本人な江嶋先生なんですけどと心の中で呟いて「言えません」って俺は笑った。
「あ、そろそろ俺、職員室行ってくるよ」
6限が終わってHRを待つばかりの俺たち生徒だけど、俺には学級委員としての仕事がある。俺はやっぱまだ先生のこと好きだから、一緒に歩く時はまだそこまで会話が続かないんだけど、この仕事だけはちゃんとやるって彼にも宣言しちゃった手前、絶対途中放棄はしたくない。
席を立って教室を出た俺だけど、切なさはどうしても残ってるから、軽快とは言えない足取りで、職員室へ向かった。
だけど、「よぉ、コバンザメ、今学期もそのコバンは活用されそうなのかい?」といつもと変わらない軽々しい声がして、俺は足を止めた。
声で日高先生ってわかってたけど、振り返ればそこにはやっぱり彼女がいた。はあ、って嘆息しつつ、俺は歩きを再開。隣に来た彼女は「噂は聞いたよ、コバンザメ」と言う。
「日高先生……もう、いい加減その呼び方やめてくださいよ」
「あはは、でも告白相手は秘密みたいじゃん。てかあいつだろ?」
「振られましたよ今度はちゃんと。だからもうほっといてくださいよ」
バカにされそうな気がして、投げやりに答えた俺。
「そっか……辛いな。お前、あんなに好きだったのにな」
でも、先生はしんみりと呟いた。その声は心底そう思ってくれてるみたいに俺には聞こえて。
「……もう、ほんとに、好きだった、んですっ……からっ」
俺の好きな人、唯一知ってる先生にそんな風に言われたら、思わず泣きそうになってしまった。ジャケットの温もりと失恋という痛い棘が胸いっぱいに思い出されて、奥がじくじく疼く
。
寒さ対策に閉じられてる渡り廊下の扉を開ければ、そこは冬の風が勢いよく吹いていてその痛みをより増していくみたいだ。
「こら、私の前で泣くなよ。巻き込まれ事故はイヤだからな」
「もう、泣きませんっ」
寒さと胸の痛みで泣きそうな気分を何とか声だけでごまかした。足取りもより重くなってしまう。
「一人で泣くなら問題ないよ。それくらい好きだったって事だから、気にすんな」
「俺みたいな男に惚れられて、告白されて……ほんとに迷惑かけました」
そしたら日高先生は俺の頭をくしゃくしゃした。それは江嶋先生の手の温もりと比べて小さなサイズだったけど、凄くホッとして俺、ちょっと落ち着いた。
「仕方ない、俺も先生も男で、もうその時点でダメだったんですから」
自分に言い聞かせるように言ったその言葉だったけど、日高先生が「それは違う」と言い俺の頭をまた一回くしゃくしゃした。
「なあ篠原。お前断られたときなんて言われたんだ?」
「返事はNOだって」
「ほら、お前が男だからダメとか言われなかったろ?」
「それは言われませんでしたが……て言うか、俺の告白を断った理由は聞いていません」
「なんだ、聞いてないのか」
その口振りに「先生っ、知ってるんですかっ?」って聞いてしまった。でも、
「知る訳ないだろ? でもま、彼女がいるからって言う理由じゃないことだけは確かだよ」
って言った彼女。
「ど、ゆ、事ですか?」
「あれ、言わなかったっけ? あいつの付き合ってた人、私の知り合いなんだよね。二人、別れてるからさ、年明け早々」
「うそ……」
「何で別れたのかは知らないけどさ、ま、きっかけも合コンだったし。別にお互いそんな趣味も好みなんかも共通点が無かったし、私の知る限りじゃ、彼女の方がアイツに飽きてきてたみたい。まあ、別れを切り出した彼女を引き留めようともしないアイツもアイツだし、結局二人の間には愛情が育たなかったって事なんだろうねぇ」
「そうだったんですか……でも俺が振られたことには変わりないですから」
彼女と別れてたって、江嶋先生が俺のこと好きじゃないから俺は断られたわけで、今その話を聞かされても俺が振られた事が覆るはずもなくて。
でも日高先生は、なんか楽しそうな顔して喋るのを止めなかった。
「てゆーか、おもしろかったよ~、年始明けに学校来たときの江嶋先生。私が肩叩いたらビクってして、『あ、なんだ、日高先生か』ってホッとした顔見せて。篠原かと思ったんだろうね。いつもの冷静な先生からしたら、余りに挙動不審だったからついカマ掛けちゃった『コバンザメに告白されたんだったよね』って。そしたら案の定目が点になっちゃってさ。もう、笑いこらえるのに必死だったよ私。後で『何で知ってんだ』って問いつめられたから言っちゃった。『コバンザメの気持ちずっと前から気付いてた』って。感情丸出しなお前のことなんにも気付かない方が悪いんだよ」
けたけた笑う日高先生だったけど、俺は笑えなくって。
「先生、やっぱり動揺してたんだ。俺が告白したから……告白しない方が良かったんだ……先生を苦しめるだけだったし、結局振られて終わったし……」
なんか、また悲しくなってきた。俺、めっちゃ無駄な事しただけじゃんっ。
はぁ、って溜め息が出た瞬間、バコンって頭を思い切り殴られた。
「ってぇっ」
思わず先生をにらんだけど、逆にニヤって笑った日高先生。
「なに落ちこんでんだ。振られたって言っても『今は』じゃん。お前を振ったのも、あいつがすぐに白黒結論つけたがる理系男だからだよ。今は好きだって気持ちがないかも知れないけど、それはこれからまた変わる余地があるって事。荒れ果てた地でも心込めて耕せば実りも期待できるって教えたの忘れたのかい? あの鈍感男がお前のことようやく意識したんだ。スタート地点にきたんだから、良いかったじゃん。泣くくらいアイツが好きなんだろ? だったらこの3学期、惚れさせるべく頑張ったらいいんじゃないかな」
その言葉に、俺は目を見開いた。
そうだ、確かに先生はクリスマスまで俺の事なんて只のいち生徒としか見て無かったんだ。告白したのも、言わなきゃ始まらないって思ったからなんだ。
俺、日高先生の言うように、これからの可能性に賭けてみたい。でも、
「ど、どうやって頑張れば……」
先生の言葉に勇気もらったけど、やっぱり自信なくて。
「ばか、あんな合理主義な鈍感男振り向かせる方法なんて知らないよ。でもさ、お前隠そうとしても隠せないくらい好き好き光線出してるから、気持ちはちゃんと伝わると思うよ。私の持論だけど、振る理由もないし、好きになる理由もないんだよ。理由なんてないんだ。好きって言う気持ちは、どうしようもなくわき出るもんだから。お前が一番分かってんだろ?」
もっと、彼のことを見ろと励ましてくれた日高先生。おかげで、あんなに泣いてたのに、なんか逆に胸が変な希望で膨らんできてしまった。俺、すげえ単純なのかも。
「日高先生……ありがとうございます」
そして寒い渡り廊下を通りきった時、とどめとばかりに、日高先生は俺に嬉しいことを言ってくれたんだ。
「お前さ、キャンバス張り頼まれたじゃん。あれさ、あいつ最初私に張るの頼んだんだよね。でも私ヤだったから『生徒にたのめば』って言ったんだ。そしたら江嶋先生『篠原にばっか頼むの申し訳ないし』って言ったんだ。私別に篠原の名前出した訳じゃないし普通は部員を考えるだろ? なのにあいつはお前を考えた。それって篠原を凄く意識してるって事じゃないの? そんで結局あいつお前に頼んだ訳じゃん。可愛いとこあるじゃないか。よっぽどお前が良かったんだろうな」
「うそ……」
「まあ、そんなことだから、これからもめげずに頑張ってくれ。見てんの超楽しいから。あ、もう職員室ついちゃった。話はここでおしまい。じゃあな」
日高先生は軽く俺に手を挙げ、さっと扉を開けて職員室へと入っていった。そして俺はその扉の前で、少し立ち止まった。江嶋先生が一番に俺のこと考えてくれたって、そんな話聞いて、すげぇ嬉しくなってしまって。
新年始まって早々、先生に振られて、恥ずかしながら授業中に泣いてしまって、失態ばかりの俺。俺はずっと、今まで先生のこと、好きって気持ちだけでしか見てなかった。
自分の気持ちばかりでいっぱいいっぱいで、今先生が先生として俺たち生徒をどう思って、何を考えてるのか、そんな事も考えられてなかった。
だから、クリスマスの夜まで、あなたが俺たち生徒に沢山くれた優しさにも気付かなかったんだ。
でも先生は俺の告白を断った時だって、男に告白なんてお前バカじゃね? って言っておかしくないのに、彼は彼女を引き合いに出したりせず、俺のこと軽蔑したりもせず、俺の目を見て、ちゃんと言ってくれた。
『好きな自分を認めて大事にしろ』って言った彼は、俺の気持ちをちゃんと認めて受け止めてくれて……俺のことを真剣に考えてくれてたんだ。
だから、泣いてる俺にハンカチ貸してくれて、ジャケット掛けてくれたんだ。
さっき日高先生が『これから変わる余地ある』『気持ちはちゃんと伝わる』って言ってた。もし、そうなら江嶋先生との駆け引きは、本当にこれからで……
失恋したあの鋭い痛みはそのままなのに、そこに、フワフワと違う感情が湧いてきてしまった。深く深く刺さったその痛い棘が、でもなぜか暖かくて、俺はその感覚にどうしようもなく戸惑ってしまった。
先生が好きな気持ちに嘘はつけない。
あなたの優しさと誠実さに、心からの感謝と謝罪を。
先生に、俺は何が出来るだろうか。学級委員としてあなたの傍にいられる時間はあと3ヶ月しかない。その間、俺は出来る限りあなたを知りたい。あなたが俺のことちゃんと見て、受け止めてくれたみたいに、あなたを見て、あなたを受け止めたい。それは俺が振られた事実を昇華するだけなのかもしれないけど。
胸に刺さって大きくなる棘は痛いけど、それは俺に勇気を与えてくれた。
俺は顔をしっかりとあげて目の前の扉に手を掛けた。
「失礼します」
職員室にいる彼の傍へと進む俺の足取りは、さっきとは明らかに違ってとても軽かった。
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