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11章 不意打ちは避けられません
4.
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やわらかな風がそよぐ草原とは逆に、鋭い緊張感に支配されたカシルと辺境伯。
僕とコンラートは二人の騎士を、息をのんで見つめていた。
近くの木から鳥が飛び立つ音が聞こえた瞬間、二人が駆けた。
キン!!と高い音とともに二本の刃が触れ合う。
次の瞬間には違う角度で剣が交差しキンッと音がなる。
キンキンキン!!とそれを数回繰り返したのちバッとカシルが後ろに飛び離れた。
と思ったら左足を軸にして回し蹴り。さらに回転を利用して剣をビュウと横に薙ぐ。燕尾服のテールがひらと舞った。
そのどれもをガロディア辺境伯は屈んでのけ反ってと素早く避けた。
カシルが地に着いた瞬間に左に跳ねてガロディア辺境伯の後ろに回る。剣が下から振り上げられた。
だが見越した辺境伯が振り向きざま剣を斜め上から振り下ろす。
ガン!と剣が激しくぶつかる音が空気を揺らす。
互いに片手で受け止めた刃がギギギギと擦れる音をたてる。
二人の視線が交わった。辺境伯が何かをカシルに話している。そしてフッと二人がほんの少しだけ微笑んだとたん、互いに後方へ飛びずざった。
それぞれ片足が地面に着いた瞬間にまた駆けだす。
ガン! ガン! と大きな音をたてて交差する二本の剣。
合間に二言三言、なにかを言う二人だったが剣は止まらない。
冒険服の騎士は高速で迫る刃を最小の動きでかわし、重い剣を振り降ろす。
燕尾服の騎士は巨体が繰り出す重圧剣を、ひらと舞いつむじ風を起こして避ける。
そして風切り音を放つ鋭い刃を冒険服の騎士に繰り返しお見舞いする。
幾度それを防がれようと燕尾服の騎士の目は、輝いて見えた。
剣を振り合って戦い続ける二人はどちらも薄く微笑んでいる。
この戦いを、心から楽しんでいるのだ。
剣聖とは、きっと、この二人のような騎士のことを言うのだろう。
「カシル……っ」
僕の唇が、震えた。
僕は今までお前の何を見ていたのだろう
こんなに楽しそうに戦うカシルを
ずっと屋敷に閉じ込めていたなんて
はら、と瞳から涙が零れていく。
でもそれは、恐怖とは全く違う。
ああ、カシル
お前は本当の騎士
剣を振ることで、どこまでも光輝く
お前は僕の手を差し伸べる騎士じゃない
この世界の輝ける騎士なんだ
愛しい、大切な、僕の騎士。
早くお前を僕から解き放ちたい。
もっと自由に輝いてほしい。
「っハルトライア!?」
名を呼ばれてハッとして隣に立つコンラートを見上げる。
「な、っ、なんで泣いてんだっ。大丈夫だよ! 死んだりしねぇからっ! 怖くねぇからっ」
わたわたと手をふってどうしようと落ち着かないコンラート。
その時キィイイン! とひときわ甲高い音が鳴った。
音に顔を向けると一本の剣が空を舞っている。
「シールド!!」
宣言の通りコンラートは僕たちの前に3メートルほどの障壁を張ってくれた。
しかし舞った剣はここまでは届かず5メートルほど前方にカラン!と音をたてて落ちていった。
「ハルトライア様!」
今度はカシルの声と二つの足音。コンラートが障壁を消し、その向こうから二人が駆けよる。
そして剣を持っているのは辺境伯。ということは剣を飛ばされたのはカシル。
この勝負、負けだったようだ。
はらはらと涙が零れていた僕に「どうしたぁ? 怖くて泣いちまったのか?」と笑う辺境伯。
僕の前に屈んだカシルは辛そうな顔でポケットからハンカチを取り出し、僕の涙をそっとぬぐった。
そして
「怖い思いをさせてしまい申し訳ございません」
と謝ってくれる。
僕は頬のハンカチを受け取って首を横に振った。
「ううん、違うよ。あまりにすごくて、感動してしまって、気づいたら泣いてたみたい」
「ハルトライア様……」
僕の気持ちはとても穏やかだった。【つる】も動く気配はない。
本当に静かに泣いてしまった。こんなことってあるんだな。
悲しかったんじゃない、救われたような気持ちだったんだ。
僕が魔王と変わっても、お前は輝く騎士としてもっと高みへ行けるんだと知ったから。
僕はいつでも死んでいいという免罪符をもらったのだ。
「へぇ? 感動して泣いた? そんなこと言ったやつ初めてだぜ。騎士団の親善試合で泣くやつは怖くて途中で逃げてく令嬢ばっかだしなぁ」
ぽん、と辺境伯の大きな手が僕の頭に乗る。わしゃわしゃと撫でられて涙も落ち着いた。
「すごいかっこよかった。すごいまぶしかった」
語彙力のない自分がツライ。でもカシルは「ありがとうございます」と僕の手をそっと握ってくれた。
「コンラート、あそこの剣取ってこい」
落ちている先をあごで指して言い放った辺境伯は「あーあ、負けちまったなぁ」とボヤいた。
「え? 父上剣持ってるじゃん」
「ああ? こりゃカシルの使ってたやつだよ。俺のはアレ。こいつ俺の剣飛ばしたときに自分の剣もその場に捨ててここまで走ってきたんだぜ? 全く。どんだけ天使にぞっこんなんだよ」
「父上が負けた? マジかよっ。カシルお前すげぇなっ! てかその模擬剣両手剣なのにさっ。それ片手で振り回す奴なんて父上くらいかと思ってたのに楽々振ってたよなっ! オレとも手合わせしてくれよ!」
「ばーか、お前みてぇなガキは1秒も持たねぇよ。俺が代わりにしてやるからありがたく思え」
コンラートの首根っこをひっつかみ、ずりずりと引きずって僕たちから離れていく。
親子の模擬試合が始まるようだった。
「勝ったんだね、カシル」
おめでとう、と言おうと思ったのにカシルは首を横に振った。
「いいえ、私の負けでございます」
「え、でも」
思わず手を伸ばしてカシルの腕にしがみつく。その瞬間カシルの負けたと言った理由が分かってしまった。
触れた右腕が熱かったからだ。昨日の僕は体中が熱をもってホカホカだった。あれと一緒だ。
「申し訳ございません。禁止されている筋力増強を使ってしまいました」
「それは……、僕が泣いたから?」
「いいえ、私の鍛錬不足にございます。辺境伯の一刀はどれもとても重く、今の私には受け止めることが精一杯でした。剣を払いきる方法がほかに思いつきませんでした。辺境伯も気づいたでしょう。私が筋力増強を使ったことを。先ほどあの方は何もおっしゃいませんでしたが」
僕とコンラートは二人の騎士を、息をのんで見つめていた。
近くの木から鳥が飛び立つ音が聞こえた瞬間、二人が駆けた。
キン!!と高い音とともに二本の刃が触れ合う。
次の瞬間には違う角度で剣が交差しキンッと音がなる。
キンキンキン!!とそれを数回繰り返したのちバッとカシルが後ろに飛び離れた。
と思ったら左足を軸にして回し蹴り。さらに回転を利用して剣をビュウと横に薙ぐ。燕尾服のテールがひらと舞った。
そのどれもをガロディア辺境伯は屈んでのけ反ってと素早く避けた。
カシルが地に着いた瞬間に左に跳ねてガロディア辺境伯の後ろに回る。剣が下から振り上げられた。
だが見越した辺境伯が振り向きざま剣を斜め上から振り下ろす。
ガン!と剣が激しくぶつかる音が空気を揺らす。
互いに片手で受け止めた刃がギギギギと擦れる音をたてる。
二人の視線が交わった。辺境伯が何かをカシルに話している。そしてフッと二人がほんの少しだけ微笑んだとたん、互いに後方へ飛びずざった。
それぞれ片足が地面に着いた瞬間にまた駆けだす。
ガン! ガン! と大きな音をたてて交差する二本の剣。
合間に二言三言、なにかを言う二人だったが剣は止まらない。
冒険服の騎士は高速で迫る刃を最小の動きでかわし、重い剣を振り降ろす。
燕尾服の騎士は巨体が繰り出す重圧剣を、ひらと舞いつむじ風を起こして避ける。
そして風切り音を放つ鋭い刃を冒険服の騎士に繰り返しお見舞いする。
幾度それを防がれようと燕尾服の騎士の目は、輝いて見えた。
剣を振り合って戦い続ける二人はどちらも薄く微笑んでいる。
この戦いを、心から楽しんでいるのだ。
剣聖とは、きっと、この二人のような騎士のことを言うのだろう。
「カシル……っ」
僕の唇が、震えた。
僕は今までお前の何を見ていたのだろう
こんなに楽しそうに戦うカシルを
ずっと屋敷に閉じ込めていたなんて
はら、と瞳から涙が零れていく。
でもそれは、恐怖とは全く違う。
ああ、カシル
お前は本当の騎士
剣を振ることで、どこまでも光輝く
お前は僕の手を差し伸べる騎士じゃない
この世界の輝ける騎士なんだ
愛しい、大切な、僕の騎士。
早くお前を僕から解き放ちたい。
もっと自由に輝いてほしい。
「っハルトライア!?」
名を呼ばれてハッとして隣に立つコンラートを見上げる。
「な、っ、なんで泣いてんだっ。大丈夫だよ! 死んだりしねぇからっ! 怖くねぇからっ」
わたわたと手をふってどうしようと落ち着かないコンラート。
その時キィイイン! とひときわ甲高い音が鳴った。
音に顔を向けると一本の剣が空を舞っている。
「シールド!!」
宣言の通りコンラートは僕たちの前に3メートルほどの障壁を張ってくれた。
しかし舞った剣はここまでは届かず5メートルほど前方にカラン!と音をたてて落ちていった。
「ハルトライア様!」
今度はカシルの声と二つの足音。コンラートが障壁を消し、その向こうから二人が駆けよる。
そして剣を持っているのは辺境伯。ということは剣を飛ばされたのはカシル。
この勝負、負けだったようだ。
はらはらと涙が零れていた僕に「どうしたぁ? 怖くて泣いちまったのか?」と笑う辺境伯。
僕の前に屈んだカシルは辛そうな顔でポケットからハンカチを取り出し、僕の涙をそっとぬぐった。
そして
「怖い思いをさせてしまい申し訳ございません」
と謝ってくれる。
僕は頬のハンカチを受け取って首を横に振った。
「ううん、違うよ。あまりにすごくて、感動してしまって、気づいたら泣いてたみたい」
「ハルトライア様……」
僕の気持ちはとても穏やかだった。【つる】も動く気配はない。
本当に静かに泣いてしまった。こんなことってあるんだな。
悲しかったんじゃない、救われたような気持ちだったんだ。
僕が魔王と変わっても、お前は輝く騎士としてもっと高みへ行けるんだと知ったから。
僕はいつでも死んでいいという免罪符をもらったのだ。
「へぇ? 感動して泣いた? そんなこと言ったやつ初めてだぜ。騎士団の親善試合で泣くやつは怖くて途中で逃げてく令嬢ばっかだしなぁ」
ぽん、と辺境伯の大きな手が僕の頭に乗る。わしゃわしゃと撫でられて涙も落ち着いた。
「すごいかっこよかった。すごいまぶしかった」
語彙力のない自分がツライ。でもカシルは「ありがとうございます」と僕の手をそっと握ってくれた。
「コンラート、あそこの剣取ってこい」
落ちている先をあごで指して言い放った辺境伯は「あーあ、負けちまったなぁ」とボヤいた。
「え? 父上剣持ってるじゃん」
「ああ? こりゃカシルの使ってたやつだよ。俺のはアレ。こいつ俺の剣飛ばしたときに自分の剣もその場に捨ててここまで走ってきたんだぜ? 全く。どんだけ天使にぞっこんなんだよ」
「父上が負けた? マジかよっ。カシルお前すげぇなっ! てかその模擬剣両手剣なのにさっ。それ片手で振り回す奴なんて父上くらいかと思ってたのに楽々振ってたよなっ! オレとも手合わせしてくれよ!」
「ばーか、お前みてぇなガキは1秒も持たねぇよ。俺が代わりにしてやるからありがたく思え」
コンラートの首根っこをひっつかみ、ずりずりと引きずって僕たちから離れていく。
親子の模擬試合が始まるようだった。
「勝ったんだね、カシル」
おめでとう、と言おうと思ったのにカシルは首を横に振った。
「いいえ、私の負けでございます」
「え、でも」
思わず手を伸ばしてカシルの腕にしがみつく。その瞬間カシルの負けたと言った理由が分かってしまった。
触れた右腕が熱かったからだ。昨日の僕は体中が熱をもってホカホカだった。あれと一緒だ。
「申し訳ございません。禁止されている筋力増強を使ってしまいました」
「それは……、僕が泣いたから?」
「いいえ、私の鍛錬不足にございます。辺境伯の一刀はどれもとても重く、今の私には受け止めることが精一杯でした。剣を払いきる方法がほかに思いつきませんでした。辺境伯も気づいたでしょう。私が筋力増強を使ったことを。先ほどあの方は何もおっしゃいませんでしたが」
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